2013年05月27日

シリアの内戦がレバンノンに飛び火する

以前、シリア内戦とヒズボラとの関係について書きの記事で言及した。

『シリア・ヒズボラ連合で攻勢をかけるアサド大統領の狙い』(2013/05/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/362493849.html

『イスラエルが内紛中のシリアを空爆する理由』(2013/05/05)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/359067477.html

ヒズボラについては上記記事を参照いただきたいが、簡単に紹介するとレバノンのイスラム教シーア派組織である。

そのヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ師は、25日にヒズボラの軍事部門がシリアでアサド政権を支援するために参戦していることを正式に表明している。

この表明は、アルマナルテレビというヒズボラ系テレビでの生中継で演説されたため、間違い無いだろう。

特にシリア西部のクサイルという町での戦闘に、ヒズボラが参加していると明らかにした。

以前からハッサン・ナスララ師は米国などの欧米諸国がアサド政権を転覆させようとすれば、ヒズボラがそれを阻止するために介入すると意思表明していた。それが実行されているということになる。

何しろヒズボラの資金援助や軍事支援は、シリアのアサド政権やイランから行われている。しかしハッサン・ナスララ師は、アサド政権側で参戦していることを以下の様に正当化している。

「ヒズボラの軍事部門はレバノンを守るために行動している。武装勢力がシリアやレバノンの国境沿いにある一部の県を掌握すれば、レバノンの国家統一やレバノン国民に大きな脅威となるからだ。我々はシリアで勝利を収める」

ただ、ハッサン・ナスララ師によれば、ヒズボラはシリアで闘っている外国人兵士のなかでは極少数派なのだとも述べている。

しかしシリアの反体制派によれば、クサイルでヒズボラは少なくとも住民30人を砲撃で殺害したと言う。

その一方で、反政府派武装組織である自由シリア軍は、ヒズボラを45人殺害したと主張している。

そしていよいよシリアの砲火はレバノンに飛び火した。

26日、レバノンの首都ベイルートにあるヒズボラの拠点に、2発のロケット弾が打ち込まれ、5人の住民が負傷した。

この、ベイルートが攻撃を受けたのは、シリアで反政府運動が始まって以来初めてとなる。

誰が打ち込んだのか、まだ分からない。犯行声明も出ていない。シリア反体制派の軍事部門を率いているイドリス准将も、自分たちが攻撃したのではない、と主張している。

しかし反体制派も一枚岩ではない。別の反体制派組織がレバノンのテレビ局に伝えてた。

「われわれは今後数日内に、今回以上の行動を取る」

だからレバノン政府は、ヒズボラをシリアから撤退させろ、と要請してきた。

しかし、既にヒズボラのハッサン・ナスララ師は25日のテレビ番組で宣言している。

「われわれは(アサド政権を守るために)最後まで戦いを続ける。この責務を受け入れ、あらゆる犠牲を受け入れる」

ところがヒズボラがアサド政権を守るためにシリア内戦に参加したことで、もともと不安定だったレバノンの政情事態が怪しくなる可能性がある。

レバノンもシリア同様、対立する宗派が混在しているのだ。きっかけがあれば一触即発の状態にある。

既に19日以降、レバノンのトリポリ(リビアにも同名の都市があるが別)では、宗派対立で30人が死亡している。

ただ、パレスチナ在住の軍事評論家であるオライカット氏は、ヒズボラの参戦がシリア内戦を長引かせると危惧している。

「ヒズボラは戦闘経験が豊富で、アサド政権の崩壊は遠のいた。一方でヒズボラが内戦への関与を深めれば、レバノンのシーア派地域が攻撃の対象となり、衝突の連鎖が始まる可能性がある」

シリアの混乱は、ヒズボラの参戦でさらに悪化していく。



以下、シリア関係の記事です。

『シリア・ヒズボラ連合で攻勢をかけるアサド大統領の狙い』(2013/05/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/362493849.html

『国連総会がシリア国民連合を、政権移行の対話者として認める決議を行った』(2013/05/16)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/361570283.html

『イスラエルが内紛中のシリアを空爆する理由』(2013/05/05)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/359067477.html

『(続)シリアでサリンが使用されたという情報は、米国を参戦させるための捏造か』(2013/04/26)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/357324613.html

『シリアでサリンが使用されたという情報は、米国を参戦させるための捏造か』(2013/04/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/357023672.html

『シリアで化学兵器が使われたのか。お互いを非難する体制派と反体制派』(2013/03/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/348363101.html

『シリア反体制派が暫定政府に首相を選出したが…』(2013/03/19)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/347857251.html

『シリアの使ったガスは化学兵器か?態度を変えつつあるロシア。』(2012/12/25)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/309829131.html

『シリア、サリンを準備中か』(2012/12/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/305190492.html

『ロシアとトルコ、経済では協力、対シリア外交では距離』(2012/12/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/305180076.html

『シリアの砲撃に報復するトルコ。シリアは何故トルコを砲撃したのか。』(2012/10/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/295414151.html

『シリアは化学兵器を使用するか』(2012/07/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/282860806.html

『シリアで200人規模の虐殺。アサド政権側か、反政府側か。』(2012/07/13)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/280748896.html

『シリアは「戦争状態」にあると認めたアサド大統領に焦りが見られる』(2012/06/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/277587322.html

『シリア軍がトルコ軍戦闘機を撃墜。しかしNATOを敢えて刺激するだろうか。』(2012/06/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/276862619.html

『シリアのシャッビーハ(シャビハ)という狂犬の暴走』(2012/06/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/273939512.html

『撤退どころか越境し始めた。シリア軍の暴走が止まらない』(2012/04/10)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/263642669.html

『シリアに対し、一枚岩になれないアラブ連盟』(2012/04/01)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/261615315.html

『シリアのアサド政権を維持させたいロシアの思惑』(2012/02/06)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/250749829.html

『国際社会による軍事介入の可能性が高まるシリア政府の強硬姿勢』(2012/01/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/248074698.html

『シリアの自爆テロは、反体制派か、アサド政権の自作自演か』(2012/01/08)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/244957285.html

『シリアで任務についたアラブ連盟の監視団。しかしどうにも怪しい。』(2011/12/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/243414862.html

『シリアの報道は事実か?あまりに狂気を帯びた惨状が報じられている。』(2011/11/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/237704569.html

『リビア化するシリアの弾圧とアサド大統領の強硬姿勢』(2011/11/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/236176084.html

『シリアで何が起きているのか。シリア騒乱への経緯。』(2011/11/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/233918198.html



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