2013年05月07日

米中冷戦が垣間見える年次報告書

6日、米国防総省は、中国の軍事・安全保障に関する年次報告書を公表した。

報告書では、中国が尖閣周辺を領海とする「基線」を主張していることについて次の様に指摘してその主張を退けている。

「不適切に引かれた線だ」
「国際法を矛盾している」

また、中国の軍備について、陸空海軍全てにおいて、装備の近代化が加速していることを指摘している。

中国が「不適切に引いた」基線とは、日本が尖閣諸島を国有化した2012年9月後、中国は尖閣周辺を領海とするために、独自に「基線」を設定し、海図に書き込むと国連に提出していたものだ。

この「基線」は、尖閣諸島の魚釣島、南小島、久場島のすぐ外側を直線で囲んだ形となっている。実際の地図が入手できなかったので、残念ながら私には確認できていない。

これについて米国防総省の年次報告書では、

「中国は2012年9月、不適切に引かれた尖閣諸島周辺の直線基線を使い始め、国際法に合致しない海洋権益の主張に加えた」

と述べたのだ。

ただ、米国は尖閣諸島の主権については特定の立場をとらない、という姿勢は維持していながら、尖閣諸島には日米安保が適用されると認めている微妙な立場にいる。

ただ、この度の年次報告書での主張は、これまでより踏み込んだ米国の意思表示とはなっている。また、ヘルベイ国防副次官補(東アジア担当)は記者会見で述べた。

「尖閣諸島は日本の施政下にあるという米国の立場は、いかなる一方的な行動にも影響されない」

さらに日米両政府は、中国の海洋監視船など公船による周辺海域での領海侵犯に対しては、以下のコメントで牽制している。

「現状の変更を試みる、力によるいかなる一方的な行為にも反対する」

また、中国政府が公表した2012年の国防費は1060億ドル(約10兆5000億円)だが、米国側は1350億ドルから2150億ドルに上ると見積もったという。

しかも年次報告書は、中国の武力行使にも言及している。

「(尖閣諸島に関して)中国が自らの『核心的利益』に挑まれたと認識した場合、武力行使も辞さない立場を取っている」

その例として、

「南シナ海のスカボロー礁や東シナ海の尖閣諸島があてはまる」

と指摘している。

さらにこのような中国の海上進出の根拠として、

「東シナ海には1,000億バレルの石油が埋蔵され、中国は、日本の海岸にほとんど届く沖縄トラフまで、自国の大陸棚だと主張している」

と分析した。かなり踏み込んだ内容かつ中国への牽制を示す内容になっている。

報告書は中国の今後の動きにも言及している。

中国国家海洋局など5つの海洋執行機関「ファイブ・ドラゴン」が、現在尖閣諸島に対して公船を使い圧力を掛けているが、その後方には海軍艦船が支援していると指摘している。

さらにこのファイブ・ドラゴンは、2015年までに新たに30隻の公船を投入するであろうとみている。

ヘルベイ国防副次官補は言う。

「公船を使って挑発を繰り返しているのが中国軍の最近の特徴だ」

報告書は中国の空母についても予想している。2012年9月に就航した中国海軍初の空母「遼寧」の実戦配備は3〜4年後には可能であろうと予測している。

また、これまで欧米の軍事専門家が中国の駆逐艦隊や空母群の実戦配備は10年以上かかると予想していたが、報告書はこれは前倒しされると予想している。そしてその加速は、

「地域紛争に短期間で勝利するため長期的かつ包括的な戦力の近代化を図っている」

からであると分析している。

特に米空母の接近を阻止するために、中国は短中距離弾道ミサイルや対艦弾道ミサイルの増強を急いでいるとも見ている。

一方、J20(殲20。2011年1月に認められた)というステルス戦闘機は、まだエンジンなどの技術上の課題が多いとされており、実戦配備は2018年以降になるのではないかと予想している。後発のJ31はJ20より小型になるであろうとも予測され、さらに対地攻撃用のステルス無人攻撃機も開発されているとみている。

同時に中国は、サイバースペースへの強化も図っている。それについて米国防総省は、7日に中国を名指しで、米政府のコンピューターに侵入したと発表した。中国のサイバースペースでのスパイ活動を名指しで非難するのは初めてとなった。

オバマ大統領は2014年の予算要求に、米政府のサイバーセキュリティー強化のための予算を130億ドルと現在の約10億ドル増しにすることを盛り込んだ。

米中は表(経済的)では協力関係をアピールしているが、水面下では冷戦状態にある。日本の国防は大丈夫か?



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