2011年12月31日

ホルムズ海峡の封鎖を巡り、威嚇し合うイランと米国。いずれにせよ原油価格が上がる。

17日に、イランに対する制裁法案を米国が決定したことを投稿した。

『米議会でイラン中央銀行に対する制裁法案が決定。後は大統領の署名を待つばかりだが…。』(2011/12/17)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/240962833.html

さて、この様な制裁に対してイランが反応した。

イランが原油供給の大動脈であるホルムズ海峡を閉鎖する可能性を示唆したのだ。

これに対して28日、米国防総省のリトル報道官は警告した。

「ホルムズ海峡の船舶通過を妨害することは容認できない」

また、イラン海軍がホルムズ海峡を含む周辺海域で軍事演習を行っていることに関しては、これは定期的な演習なので敵対的な行為であるとは見られないとして冷静な判断をしている。

現に、27日には米空母のジョン・ステニスと巡洋艦モービル・ベイが、ホルムズ海峡を通過していることも明らかにしている。

今のところ、イランは具体的な動きを見せていない。

それに対するように、28日、イランの国営英語衛星テレビの「プレスTV」が、イラン海軍のサヤリ司令官の言葉を報じた。

「ホルムズ海峡の封鎖はイラン軍にとって非常にたやすい。あるいはイラン人だったら、コップの水を飲むより簡単だと言うだろう」

サヤリ司令官はそう語った。しかし、同時にホルムズ海峡を封鎖する必要も無いと付け加えている。

「ただ、現時点では、オマーン湾を支配下に置いており、通行をコントロールできるため、封鎖する必要はない」

これらの発言は、米国の制裁法案だけに向けられてはいない。EUの外相理事会が3週間前にイランに対する制裁の強化を決定したことにも対している。

それで27日に、これらの制裁が加えられた場合はホルムズ海峡を封鎖して原油輸送を停止すると警告したものだ。

そしてラヒミ・イラン第1副大統領も、欧米がイランの原油輸入を削減させる制裁を行えば、

「重要なホルムズ海峡から石油が一滴も流れなくなるだろう」

と述べている。

この発言に、すぐに市場は反応した。

ニューヨーク・マーカンタイル取引所のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物相場2月物が、27日にには早速上昇した。その結果、1バレル100ドルを超ている。中東産原油の供給減を見越し、買いが広がった。

ただ、この買いには、12月の米消費者信頼感指数が改善したことも影響しているという。つまり、景気の持ち直しによる原油の需要拡大を見越したとの見方だ。

一方、イランのホルムズ海峡封鎖の示唆を受けて、世界最大の産油国であるサウジアラビアの石油省当局は、28日に、イランがホルムズ海峡を封鎖しても、石油の供給を維持する用意があると述べている。

ホルムズ海峡封鎖のインパクトが強すぎるための声明だろう。何しろホルムズ海峡は、世界の海上輸送原油の約4割が通過するルートだ。イランの脅しにはインパクトがある。

そのため、28日には米海軍第5艦隊(バーレーンを拠点とする)の報道官が以下のコメントを発している。

「ホルムズ海峡を通過する物資とサービスの自由な流れは地域と世界の繁栄のために不可欠だ〜<中略>〜(米海軍は)安定を損なう行為を阻止あるいは対抗するため、この地域に確実なプレゼンスを維持する」

また、フランス外務省も、ホルムズ海峡の国際性を強調して、以下のコメントを出した。

「1982年に採択された国連決議、および国際海事法に従って、船籍を問わず全船舶に通行する権利がある」

それに、そもそもホルムズ海峡の封鎖は、イラン自体の首を絞めることにも成る。ホルムズ海峡を通過する石油は、1日当たり1500万バレルだ。このことについて、米国の専門家は、ホルムズ海峡の封鎖はイランにとっては自殺行為だと次の様に述べている。

「中国や日本などは米国以上にペルシャ湾の石油に依存している」

ところで、実際に幅34キロのホルムズ海峡を、イランは封鎖する能力があるのだろうか。

米国のアナリストは、それは容易ではない、しかし不可能ではない、と見ている。

イランには、ホルムズ海峡を封鎖できるほどの大規模な船舶が無い。しかし、機雷を仕掛けたり、ミサイル攻撃を行うことはできるからだ。

また、ジョージ・ワシントン大学のカイトリン・タルマッジ教授(ホルムズ海峡に関する著書あり)は言う。

「イランにとって(海峡封鎖は)容易ではないが、彼らが本気で混乱を引き起こそうとすれば、それは可能だろう」

しかしイランが自由に行動することも難しい。というのは、バーレーンを拠点とする米国の第5艦隊があるからだ。もしイランが機雷を仕掛けたり、ミサイル配備を行う動きを見せれば、第5艦隊に察知されるだろうという。

ただ、すぐさま第5艦隊が攻撃するかどうかは分からない。それでも第5艦隊自体は、表明している。

「(イランが)ホルムズ海峡の通行を阻止する行為は容認しない」

要するに、武力により阻止するということだ。しかも第5艦隊はイランの海軍力を甘く見積もっている様だ。

イランは潜水艦を23隻、巡視船や小型戦艦を100隻持っているに過ぎないと。

ブルッキングス研究所のイラン専門家であるスザンヌ・マロニー氏も、第5艦隊の抑止力を当てにしている。

「米軍はイランのいかなる脅威に対しても、比較的迅速に対応するだろう」

以上の様に、実際にイランがホルムズ海峡を封鎖することは難しいという見方が多い。

しかし経済的なインパクトは、実際に封鎖されなくても発生する。

イランがホルムズ海峡の緊張を高めるだけでよい。前述したホルムズ海峡に詳しいタルマッジ教授は言う。

「イランが威嚇すれば原油価格が上昇し、イランに利益をもたらす」

本当に封鎖するまでの必要な無いわけだ。

来年も、原油価格が上がり続けるかもしれない。



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