2014年03月04日

昆明の無差別殺傷事件犯人拘束。次は何処だ?

3月3日、中国の公安省の発表に依れば、1日に中国雲南省昆明市内の鉄道駅で刃物で武装した集団が無差別に170人以上を殺傷した事件の容疑者3人が警察によって拘束された。

犯行グループは8人で、既に4人は警察によって現場で射殺されており、1人も先に拘束されていたので、生存者全員が拘束されたことになる。

当局は既にこの事件を新疆ウイグル自治区の独立勢力テロリストの犯行であると断定した。まだたいして取り調べが行われていないにもかかわらずだ。

まぁ、おそらくそうであろう。しかし慎重さがない。

それにしても「また」だ。昨年10月にも第18期中央委員会第3回総会(いわゆる3中総会)直前に北京の天安門前で車両自爆テロが起きている。

今回は3月5日の全国人民代表大会(いわゆる全人代)直前だ。

犯行グループがどのような素性であれ、この事件は習近平国家主席指導部に対する貧富の拡大や少数民族への弾圧を不満とする者たちの声だと受け取られるであろう。

そうであれば、今後同様の犯行は繰り返されるであろう。

この度の昆明駅での無差別殺傷事件では、死者が29人以上、重軽傷者は143人以上と言われている。

犯行グループは全員が黒色の服と黒色の覆面を着用していたらしい。40センチから70センチの刃渡りがある刃物を使って、人々を襲った。

それにしても、現場は1日の夜の内に犯行の跡形も無く清掃されていたという。現場の検証は十分に行われたのだろうか。当局のこの素早さは異様だ。何かを隠蔽しようとしたとしか思えない。まぁ、鉄道事故が起きれば人もろとも車両を埋めてしまう国だから、何が起きても不思議では無いが。

評論家の宮崎正弘氏は犯行グループを次の様に推測している。

「組織化されていることと、武装状態からみると、ウイグル独立派の犯行と考えるのが妥当だろう。独立派は非暴力的と暴力的な組織の2つがあり、16くらいセクトがあるが、イスタンブールやミュンヘンなどに拠点を置く主流派ではなく、非主流派の東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)らの関係が疑われる」(zakzak:2014/3/3)

また同氏は、習近平国家主席指導部も3月5日の全国人民代表大会前で警戒していたはずだと言う。

「天安門前で車両自爆テロがあったことを受け、北京や主要都市では厳重な警備を敷いてきた。ただ、昆明は比較的警備が薄かった。そこがねらわれたが、結果的に防ぐことができず、習指導部は赤っ恥をかかされたことになる。この事件で、ウイグル独立派に対する弾圧は一層激しくなり、テロはますます繰り返されるだろう」(同上)

一方、3月4日に、亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長は、この事件で中国政府がウイグル族を悪者に仕立て上げないようにと危惧している。

「中国がこの事件に理性的に対処し、ウイグル人を敵のように扱わないことが大事だ」(ニューズウィーク日本版:2014/3/4)

しかし既に習近平国家主席指導部はこの犯行をウイグル自治区の過激派によるテロだと断定している。

ウイグル族への弾圧は強化されるであろう。



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