2014年02月26日

日本企業撤退を促すか、新たなチャイナリスクとなる中国の強制連行提訴

2月26日、日中戦争時に、日本に強制連行され過酷な労働を強いられたとして中国人被害者並びに遺族が、北京で訴訟を起こした。相手は日本コークス工業(旧三井鉱山)と三菱マテリアルだ。

もし、これが受理されれば、中国で初めての強制連行訴訟となる。

中国政府は「法に基づき処理する」としているが、実際には外交カードに使うだろうと、日本側は注目している。

その日の午前、遺族や弁護士達は北京市西部の第1中級人民法院(地裁)に入った。そのうちの一人である康健(こう・けん)弁護士は語った。

「法院の判断がいつか分からないが、受理されれば勝訴する自信を持っている」(毎日新聞:2014/2/26)

同様の裁判で日本の最高裁では2007年4月に原告敗訴が確定した経緯がある。その際、最高裁は次の様に判断した。

「1972年の日中共同声明により、中国国民は裁判で損害賠償請求できなくなった」

しかし今回の訴状では、この判断に中国外務省は無効であると反発したのだと主張しており、日本コークス工業(旧三井鉱山)と三菱マテリアルに対して、中国と日本のメディアに謝罪広告を掲載することと、一人当たり100万元(約1700万円)の賠償金を払うべきであると要求している。

そして康健弁護士によれば、2社による被害者の数は9415人だと言う。

また、1995年に当時中国の銭其●(せん・きしん)≪●は王の右に「深」のつくり≫外相は日中共同声明で放棄したのは「国家間の賠償」であり、「個人の賠償請求は含まれていない」わけで、被害者が日本企業に賠償を求めることについて中国政府は干渉も阻止もしないとの見解を示している。

それでもこれまでは、中国側は実際には今回の様な提訴は抑えてきていた。日中関係と日本企業による投資意欲が減退しないことを考慮したためだ。2003年と2010年に同様の訴訟が提起されているが、両方とも中国では裁判所が受理しなかったのだ。

日本側は今回も1972年の日中共同声明で中国が賠償請求権を放棄したことに、個人の請求権も含まれていたとする立場だ。

ただ、現在韓国でも元徴用工が日本企業に対して訴訟を起こしているため、中国が韓国と歩調を合わせてくる懸念がある。

26日、菅義偉官房長官は記者会見で語った。

「日中間の請求権の問題は、共同声明後は存在していない」(毎日新聞:2014/2/26)

しかし日中関係筋は今回は受理される可能性が高いと見ているようだ。そしてもし受理されれば、同様の訴訟が中国全土で起こされる可能性がある。

そうなれば日中関係は悪化するわけで、中国側はそれを見越した上で受理するかどうかを決めるだろう。

そのため、受理するかどうかは全人代の閉会後に決定されるとみられている。

日中関係筋は言う。

「歴史問題で日本への圧力を強めるため、韓国との連携を強化する思惑もあるのではないか」(毎日新聞:2014/2/26)

日本政府は被告企業に対して、政府の見解に沿った行動を取り、政府を飛び越えて中国側と和解や賠償に応じることが無いように要請している。

同時に外務省は外交ルートで中国に対し、戦時賠償が解決済みで有ることを改めて説明すると同時に、もし日本企業の資産差し押さえなどを行った場合は、日中関係が深刻な状況になることも警告している。

何しろ中国では司法は行政から独立していない。つまり、訴訟を受理するかどうかは、習近平国家主席の胸先三寸だ。つまり法的ではなく、外交カードとして利用するはずだ。

外務省幹部は、習近平国家主席が、韓国の徴用工訴訟と共同歩調を取る可能性を危惧している。

「そうなれば日中、日韓関係は取り返しのつかないことになる」(msn 産経ニュース:2014/2/26)

しかし可能性は高い。既に中国外務省のの華春瑩報道官は日本を批判している。

「日本に対して、責任ある態度をとるように促す。労働者の強制連行は、侵略戦争と植民地統治中に、日本が犯した重大な罪だ。(強制連行は)いまだに適切に処理されていない、歴史上に残された問題だ」(msn 産経ニュース:2014/2/26)

習近平国家主席が率いる首脳部はどう判断するか。

もしこの訴訟を受理すれば、当然日本企業による投資は縮小するであろう。

評論家の宮崎正弘氏は言う。

「日本企業は中国での事業継続にイヤ気が差している。事実上、1万社が撤退している。今回の提訴が受理されれば、さらに加速するだろう」(zakuzak:2014/2/26)

今回提訴したのは元労働者と遺族代表等30人余りだが、原告団は増えるとみられている。その場合、訴訟対象も日本コークス工業(旧三井鉱山)と三菱マテリアルだけでなく、最大35社程度まで触れるのではないかと考えられているのだ。

宮崎正弘氏は続ける。

「中国のネット上でも『こんなことをして何になるのか』という冷めた意見もあるが、習執行部が『反日は権力基盤強化に利用できる』として決断すれば裁判は行われる。日本政府としては、毅然として『決着済み』『時効』という主張を発進すべきだ。中国の異常さを、世界に向けてアピールしていくしかない」

そう、今や習近平体制は、外交というより内政のために反日を利用しかねないほど不安定なのだ。

中国に進出している日本企業は、大きなリスクを負っている。



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