2014年01月15日

米ジャーナリスト、ロシアから追放。プーチン批判が原因か

ソチ五輪目前に奇妙な事件が起きた。

モスクワ在住だった米国人ジャーナリストのデービッド・サッター氏がロシア当局から国外追放と5年間の入国禁止処分を受けた。

ロシア当局は、この処分は単にビザの規定に関する違反が理由だと述べている。

しかし14日、米国務省はこの件に関して「失望した」とのコメントを発表した。

ソチ五輪直前で、米ロ間にいったい何が起きているのか。

追放されたデービッド・サッター氏は、ロシアの専門家と言っても良い。旧ソ連時代から英フィナンシャル・タイムズ紙や米ウォールストリート・ジャーナル紙のモスクワ特派員を経験している。

最近では昨年の9月からモスクワに滞在していた。そこでの主な活動は「ラジオ自由欧州・ラジオ自由」というチェコに本部がある米議会系メディアが運営しているロシア語ラジオ局の「スバボーダ」(自由という意味らしい)の顧問を務めていた。

ところがデービッド・サッター氏が昨年11月に国外旅行からモスクワに戻った際に問題が発生した。

ロシア当局の言い分では、このモスクワに戻った後、ビザ更新手続きが遅れたため、デービッド・サッター氏は5日間の「不法滞在」を行ったことになるというのだ。

それで裁判所はデービッド・サッター氏に対し、国外追放と5年間の入国禁止という移民関連法案の規定に基づいた処分を決定した。

一見、ロシア当局の言い分には問題は無さそうに思える。

ところが、処分によりロシアを出国して現在ロンドンに滞在しているデービッド・サッター氏は、この処分というか手続きの遅延はロシア当局が意図的に行ったと主張しているのだ。つまり、自分は罠にはまったという。

「ロシア外務省は新たなビザの発給に必要な書類を迅速に出さなかった。(国外追放は)官僚的な策略だ」

そして同氏はプーチン政権を批判する。

「(ロシアはソチ五輪を目前にしながら)テロの脅威を払拭できていない」

デービッド・サッター氏が罠だと語るには思い当たる理由があった。

同氏は最近、1999年にモスクワで起きたアパート連続爆破事件がFSB(連邦保安庁)の関与によるものだと指摘する著書をロシア語で出版していたのだ。

このFSBはプーチン大統領の出身母体であった。つまり、デービッド・サッター氏はこの著書で、プーチン批判をロシア語でやってしまった。

だからロシア当局の罠にはまったのだ、と主張しているのだ。

これに対して、ロシア当局は反論している。ロシア外務省は言う。

「法律違反で3〜10年間のロシア入国禁止になっている外国人は約50万人にのぼる」

だから今回の国外追放と入国禁止処分も、その一つに過ぎず、政治的な背景は無いとしている。

しかしこのロシア当局の言い分に対し、欧米ではデービッド・サッター氏の言い分を重視して、

「言論の自由を侵害するものだ」

と批判しているのだ。

その流れで、前述した米国務省のハーフ副報道官が14日に記者会見で「失望した」という発言に繋がる。

ハーフ副報道官は言う。

「情報の自由な流れを邪魔することは、発展を目指して自由に議論する環境を損なうものだ」

ソチ五輪を目前に、米側のロシア批判が高まっている。

元CIA職員のスノーデン容疑者の亡命をロシアが受け入れたこと、同性愛宣伝禁止法を成立させたこと(対抗措置として、米側はソチ五輪に同性愛者の元テニス選手を含む政府代表団を派遣する)、そして今回のジャーナリスト国外追放事件となる。

特に言論の自由を巡る今回の事件は、米ロ関係を悪化させるのではないかと懸念されている。

デービッド・サッター氏は自信のウェブサイトでプーチン政権を批判している。

「私はこの国から追放された。これは、ロシアにいるすべてのジャーナリストと言論の自由にとって、不吉な先例となる」



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