2013年11月28日

中国が勝手に設定した防空識別圏をみんなで飛ぼうよ

中国という国は恐らく世界中にとって不快な連中だが、敢えてタイトルは軽めにしてみた。この記事を書いている時点では既に、この防空識別圏を米軍、自衛隊、韓国軍が中国への事前通知無しで飛行して見せた。それらについては後述したい。

11月23日のことだった。中国は突然設定した防空識別圏(ADIZ)の海図と座標を発表した。

そしてこの防空識別圏を飛行する場合は、以下の三項目が必要だと言い出した。

・事前に中国に通告すること。
・双方向の無線通信を維持すること。
・機体に国籍を明示すること。

そしてこの規則は発表された23日の午前10時から施行されたという。

──世界に喧嘩売ってるんか?

そう、恐らく売っているのだろう。何しろ中国が発表した防空識別圏には、沖縄県の尖閣諸島上空も含まれており、日本の防空識別圏と広く重なっている。

そしてさらに問題なのは、この中国側の規定に従わなかった航空機に対して、中国が、

「防御的な緊急措置を取る」

と主張しだしたことだ。

全く図に乗っている。

では防空識別圏とはなんぞや。

実は既に日本がこの範囲を防空識別圏に設定したのはとっくの昔の1968年だ。つまり以前から存在する概念ではあり、決して新しい概念では無い。

詰まり、各国が自国の領空の外側に緩衝帯として設定している空域である。

ただ、従来の防空識別圏であれば、各国が勝手に設定していることから、法的な根拠はないとされる。つまり、近隣諸国が協議して決めているわけではないのだ。

では何のために設定するのかというと、敵対国や非友好国の航空機が領空に接近することを早期に警戒するためである。

ところが今回中国が防空識別圏に規定した内容は、まるで領空扱いなのだ。明らかに領空・領海拡張の野心が丸見えで有ることに世界中が警戒しているのだ。

しかも今回日本の防空識別圏と重なっている範囲については、既に日本が1968年8月29日に設定したことを世界中が知っている中、敢えて挑発するように防空識別圏を設定して「オラのもんだ!」と言い出したのだ。尖閣諸島に対する領土主張と同様だ。それまで全く異議を唱えていなかったくせに、軍事力が整った途端に強引で根拠の無い主張を始めたわけだ。

しかも盗っ人猛々しいと言うか、中国は「日本の識別圏は違法だ」と主張している。

それだけでは無い。韓国も慌てた。韓国が海洋科学基地を建設して実行支配している離於島(中国名:蘇岩礁)の上空も中国が設定した防空識別圏に含まれていたからだ。

これに対し韓国は、

「識別圏が設定されても離於島への管轄権に変わりはないと主張。韓国機は中国への事前通告なしでこの空域を通過する」

と反応した。

そして米国は、中国の防空識別圏に対する考え方がおかしいと指摘している。米国のケリー国務長官は指摘した。

「米国は領空に入る意思のない外国機にADIZの規則を適用しない」

それに対して中国の規則では「通過するだけの」航空機と「領空に入ろうとする」航空機を区別しないとしている。これは問題だ。

そのような事情もあり、28日、オーストラリアのビショップ外相が中国に反対する立場を表明した。

「東シナ海の緊張を高める一方的、あるいは高圧的なあらゆる行為に反対することは我が国の長年にわたる方針です」

既に26日にはオーストラリア駐在の中国大使を呼び出し注意した。しかし中国外務省はこのことに対し、27日になると表明した。

「オーストラリア側の無責任な発言は受け入れられない」

いつものことではある。

同じ27日、小野寺五典防衛相はヘーゲル米国防長官と電話会談し、中国の防空識別圏設定については、日米が共同で対処することを確認した。

また、ヘーゲル国防長官は改めて、

「米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が尖閣に適用される」

ことを示している。

ところが中国軍機に襲われたらたまらない、と乗客の安全を優先した日本航空と全日本空輸は23日から台湾線や香港線の便について、中国当局へ飛行計画を提出し続けていた。

これすなわち、中国の主張を受け入れたことになる。

そこで26日、国会内での会合で、安倍晋三首相は言った。

「(中国に飛行計画書を)通告する必要はない旨を、関係省庁を通じて(航空会社に)通告している」

その結果、日本航空と全日本空輸は中国に飛行計画を提出しないことを決定している。

しかし、具体的に日本政府が航空会社の安全をどのように確保できるのかについては定かでは無い。

それでその中国の本気度だが、早速確かめてみたのが米軍だった。

25日に、B52戦略爆撃機2機を中国が設定した防空識別圏で訓練飛行させた。戦闘機に対抗できない爆撃機を飛ばしたのは、必要以上に緊張を高めることもあるまい、との配慮である。

しかしこの行動は、「防空識別圏設定後も米軍機の運用が影響を受けることはない」との意思表示であるとみられている。

結果、中国側からの緊急発進はなかった。

すると28日に、実は自衛隊機と海上保安庁の航空機も中国への通告無しに防空識別圏を飛行していたことが分かった。

これにも中国側の反応はなかった。

そしてもう一カ国、中国が設定した防空識別圏を通告無しに飛行した国があった。韓国だ。

28日、韓国国防相は、中国が防空識別圏に設定した離於島上空を韓国海軍のP3C哨戒機が26日に飛行したと発表した。中国には通告していない。

離於島は中国と管轄権を争っている暗礁だ。そして中国からは何も反応は無かった。

しかしこれらの通告無しの飛行に対して、27日に中国外務省の秦剛報道官は会見で述べた。

「私たちは東シナ海の防空識別圏の空域を有効に管理し、コントロールする能力を持っている」

ウザイ国だ。



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