2013年10月22日

エジプトでキリスト教の教会が銃撃されたが、犯人はムスリム同胞団か

21日、エジプトの首都カイロで痛ましい事件が起きた。キリスト教の一派であるコプト教の教会でのことだ。

教会では結婚式が行われており、多くの人が集まっていた。やがて結婚式が終わると、参列者達が教会から出てきたのだが、そこに覆面をしてバイクに乗った男(とのこと)が参列者に向けて銃を乱射した。

その結果、新郎新婦は無事だったが、参列者から8歳の少女を含む4人が死亡し17人が負傷するという痛ましい惨状となった。

事件を受けたエジプト暫定政権のビブラウイ首相はすぐに声明を発した。

「このような凶悪な行いは断じて許されるものではない」

エジプトではコプト教は少数派であり、人口の約1割に過ぎない。このような一見非力な少数派と思えるコプト教を襲った事に対し、ニュースではエジプトの宗教間の対立が原因と報道しているが、それだけだろうか。

もし、単純な宗教対立であれば、コプト教など取るに足らない一派ではないかと思える。もう少し事情がありそうだ。

発砲した男は、無差別に撃ったらしい。その後、犯行声明は出されていないので、犯人の決め手は今のところ無い。

しかし、と、ここからはあくまで憶測になるが、情報を集めてみると、どうやら暫定政権に対する不満分子の仕業ではないかと思えるのだ。

その不満分子とは、ずばりムスリム同胞団だ。あるいはそれを支持する者たちの一人だ。

というのも、モルシ大統領が幽閉され、軍の最高指導者であるアブドルファターフ・アッシーシ将軍はクーデター(本人はこの呼び方はしていないが)が成功したとき、テレビで発表した。

問題はそのテレビ映像で、アッシーシ将軍の傍らに映っていたのが、コプト協会の最高指導者であるタワドロス2世教皇だったのだ。

しかもこのとき、タワドロス2世教皇は、アッシーシ将軍が示したエジプトの今後のロードマップについて、

「エジプトの最善の利益を願う高潔な人達によって案出されたものだ」

と称賛した。

この放送を見たイスラム教徒達は、ごく自然な成り行きとして、モルシ政権を倒したクーデターの背後に、このタワドロス2世教皇、つまりコプト教の存在を強く感じたであろう。

その証拠に、モルシ政権が打倒されると、イスラム教徒達の一部は、コプト教徒や彼らの店舗や住宅などを襲撃している。

ただ、あくまで犯行を行った覆面の男はムスリム同胞団の指示で行ったのでは無く、恐らく個人的に、あるいは極一部の過激派の意思としてコプト教会を襲った可能性も高い。

というのも、事件の直後、ムスリム同胞団も、この事件を非難する声明を出しているからだ。

しかしムスリム同胞団がコプト教を敵視していることは間違い無さそうである。それを裏付けるように、この銃撃事件と同日、コプト教と良好な関係を築いていたイスラム教スンニ派の総本山であるアズハルの大学が、ムスリム同胞団の学生ら約3000人に襲撃されているのだ。

学生達は治安警察と衝突したが、催涙弾などを使う警察に解散させられた。

大学は、ムスリム同胞団の学生等が、今後も集会やデモを計画していることを知り、暫くは休校措置を執ることを検討している。

果たして、暫定政権の黒幕にコプト教が居るのか、そしてムスリム同胞団支持者が、コプト教の教会を銃撃したのだろうか。


以下、エジプト関連の記事です(新しい順)。

『エジプトは内戦化するか。米国の支援打ち切りのもたらすもの』(2013/10/10)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/377124323.html

『エジプトのデモで51人死亡。未だ根強いムスリム同胞団支持』(2013/10/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/376858296.html

『エジプトでムスリム同胞団の活動禁止命令。治安はさらに悪化する可能性』(2013/9/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/375652624.html

『ムスリム同胞団を潰しにかかるエジプト暫定政権』(2013/08/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/372509993.html

『エジプトでクーデター。モルシ大統領は拘束され、憲法は一時停止された。』(2013/07/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/368267408.html

『エジプトのデモに、軍が介入を宣言。48時間後に何が起きるのか』(2013/07/02)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/368115223.html

『エジプトのデモ、再び。経済政策への失望と、イスラム化への警戒』(2013/07/01)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/368008662.html

『分裂が顕在化するエジプト』(2012/11/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/304087623.html

『クリントン国務長官とエジプトのモルシ大統領と会談。まずはお互いの思惑は一致
』(2012/07/15)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/281136899.html

『エジプト新大統領モルシー氏は、ぬかるみへの第一歩を踏み出したかもしれない。』(2012/06/25)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/277224870.html

『エジプト大統領選の結果は、どっちに転んでも新たな火種だ』(2012/06/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/277009953.html

『エジプトのムバラク大統領に死刑求刑。軍部への不満を反らす見せしめか』(2012/01/06)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/244591656.html

『エジプト騒乱の続章の幕開けか。暫定統治の軍と、イスラム原理主義の衝突』(2011/11/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/236099759.html

『エジプトの、新たな混乱が始まるのか。』(2011/02/12)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/185542674.html

『ムバラク大統領は、権力亡者となり暴走しているのか。後ろ盾の米国にも読めず。』(2011/02/11)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/185457860.html

『デモの長期化はムバラクに有利か、反ムバラクに有利か』(2011/02/05)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/184439695.html

『ムバラク大統領の退陣は、新たな対立を産む可能性がある』(2011/02/02)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183849084.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第五部。』(2011/01/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183236111.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第四部。』(2011/01/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183159468.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第三部。』(2011/01/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183150487.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第二部。』(2011/01/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183086820.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第一部。』(2011/01/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183082938.html


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