2013年10月07日

エジプトのデモで51人死亡。未だ根強いムスリム同胞団支持

当ブログでは、9月24日に、エジプトの治安がさらに悪化するであろうと予想する記事を投稿した。

『エジプトでムスリム同胞団の活動禁止命令。治安はさらに悪化する可能性』(2013/9/24)

そしてあっさりと当たってしまった。

6日、エジプト各地でムスリム同胞団の支持者らがデモを行い、治安部隊との衝突で少なくとも51人が死亡し、約270人が負傷したと伝えられた。

ムスリム同胞団はモルシ前大統領の出身母体だ。デモは7月にモルシ氏を追放したクーデターに抗議するもので、全国各地で行われた。

死者数も、8月14日からの数日間で1000人以上のイスラム主義者らが死亡したとされる衝突以降では、最多となった。

首都カイロでは、警察と軍がムスリム同胞団のデモ参加者に向けて発砲したとの目撃談もある。

また、カイロ南方約300キロにあるデルガでは、警察と衝突したデモ参加者であるムスリム同胞団の一人が死亡したと伝えられた。

この6日に大規模なデモが行われたのは、この日が第4次中東戦争の始まった記念日だからだ。なぜ記念されているかというと、1973年のこの日、エジプト軍はイスラエルに対して奇襲攻撃を行い、打撃を与えたからだ。

その結果、1979年の中東和平条約では、シナイ半島変換へと繋がったため、エジプト軍にとっては、勝利の記念日である。

そのため、カイロ中心部のタハリール広場などでは、数千人の軍支持者らによって祝賀のための行事が行われていた。

内務省の発表では、この日拘束したのは423人になるという。

ムスリム同胞団はその政治組織である自由公正党を通して声明を発表し、支持者らの死亡はシン国防相と内務相にあるとして、国際組織による調査を要請した。

暫定政権は8月14日に非常事態宣言を出し、ムスリム同胞団の弾圧を強化していた。そのため、いったんはムスリム同胞団によるデモも下火になっていたが、今回の大規模なデモにより、ムスリム同胞団が未だに大きな動員力を持っていることが分かった。

暫定政権にとっては脅威だろう。暫定政権は警告する。

「(軍に反対するデモ参加者は)外国の工作員と見なす」

そしてさらなるムスリム同胞団、あるいはイスラム主義者らへの弾圧を強化するであろう。

軍は既に、カイロのタハリール広場の入り口に検問所を設置するなどして、警戒態勢を維持している。


以下、エジプト関係の記事です(新しい順)。

『エジプトでムスリム同胞団の活動禁止命令。治安はさらに悪化する可能性』(2013/9/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/375652624.html

『ムスリム同胞団を潰しにかかるエジプト暫定政権』(2013/08/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/372509993.html

『エジプトでクーデター。モルシ大統領は拘束され、憲法は一時停止された。』(2013/07/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/368267408.html

『エジプトのデモに、軍が介入を宣言。48時間後に何が起きるのか』(2013/07/02)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/368115223.html

『エジプトのデモ、再び。経済政策への失望と、イスラム化への警戒』(2013/07/01)
http://newsyomaneba.seesaa.net/?1372750119

『分裂が顕在化するエジプト』(2012/11/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/304087623.html

『クリントン国務長官とエジプトのモルシ大統領と会談。まずはお互いの思惑は一致
』(2012/07/15)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/281136899.html

『エジプト新大統領モルシー氏は、ぬかるみへの第一歩を踏み出したかもしれない。』(2012/06/25)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/277224870.html

『エジプト大統領選の結果は、どっちに転んでも新たな火種だ』(2012/06/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/277009953.html

『エジプトのムバラク大統領に死刑求刑。軍部への不満を反らす見せしめか』(2012/01/06)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/244591656.html

『エジプト騒乱の続章の幕開けか。暫定統治の軍と、イスラム原理主義の衝突』(2011/11/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/236099759.html

『エジプトの、新たな混乱が始まるのか。』(2011/02/12)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/185542674.html

『ムバラク大統領は、権力亡者となり暴走しているのか。後ろ盾の米国にも読めず。』(2011/02/11)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/185457860.html

『デモの長期化はムバラクに有利か、反ムバラクに有利か』(2011/02/05)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/184439695.html

『ムバラク大統領の退陣は、新たな対立を産む可能性がある』(2011/02/02)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183849084.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第五部。』(2011/01/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183236111.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第四部。』(2011/01/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183159468.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第三部。』(2011/01/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183150487.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第二部。』(2011/01/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183086820.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第一部。』(2011/01/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183082938.html




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