2013年10月01日

ついに米国でオバマケアの挫折と政府機関の閉鎖。景気失速が始まった

9月30日深夜(日本時間では10月1日の昼ごろ)、OMB(米行政管理予算局)は政府機関に閉鎖計画の執行開始を指示した。これは2014年度(2013年10月〜2014年9月)暫定予算の不成立を受けたことによる。

これでクリントン政権下の1996年1月以来、18年ぶりの政府機関閉鎖が現実となった。

とはいえ、全ての政府機関が閉鎖されるわけではない。安全保障や治安関係などは緊急性が高いため、業務が遂行される。

しかし国立公園や博物館は閉鎖され、退役軍人や高齢者向け行政サービスは閉鎖に至らずとも縮小されるようだ。この結果、約82万人の職員が自宅待機となる。

当然、国民生活への悪影響は大きい。

そのため、オバマ大統領はぎりぎりまでホワイトハウスで緊急声明を出し、野党の妥協、つまり上院案の受け入れを訴えていた。

「政府閉鎖は経済に甚大な打撃を与える」

しかし下院では野党共和党が過半数を占めている。共和党はオバマケア(医療保険改革法)の見直しを主張していた。

ところがオバマ大統領はオバマケアの見直しは認めない。このまま期限とされる10月17日までに議会が連邦政府債務の上限引き上げを合意出来なければ、いよいよ政府は新たな借金ができなくなるので、米国債はデフォルト、つまり債務不履行となる可能性が出てくる。

ところで記事中でオバマケアとさりげなく書いてしまったが、これは通称だ。正式には医療保険制度改革と呼ばれる。

基本的に米国での診療は自由診療だ。従って、医療費が高額であり、各自が民間の保険会社と契約せねばならない。しかし低所得者は保険料を支払うことが出来ないし、高額な医療費も払えない。つまり、せっかく高度な医療技術があるにも関わらず、その恩恵を受けられない人々が居るのだ。

この問題はかなり以前から問題視されており、どうやらルーズベルト、トルーマン、ニクソン、そしてクリントンなどが健康保険制度の創設を試みたという。

しかし、常に財政上の問題であるフリーライダーの存在やモラルハザードなどが懸念され、いずれの試みも失敗してきた。

そしてオバマ政権も、国民に保険加入を義務づけし、保険料の支払いが困難な低所得者層には補助金を支給する、という対応により、米国人の保険加入率を94パーセント程度まで高めることを目標とした医療保険制度改革を打ち出した。これが通称オバマケアと呼ばれるようになった。

一応米国にも公的医療保険制度はあることはある。メディケアと呼ばれる高齢者・障害者向けの保険とメディケードと呼ばれる低所得者向けの制度だ。

しかし実態は、国民の6人に1人は無保険者という現実がある。しかも医療費は上がっているという社会問題が発生していた。

そこで2010年3月に、医療制度改革法を成立させたのだ。

しかもオバマ大統領は、大統領選での公約にこのオバマケアを含めていた。だから、何が何でも実現したい。

しかし米議会予算局は、このオバマケアが実現すると、これ以降の10年間で、確かに加入率は高まるが、費用が9400億ドルに達すると試算していた。

さて、オバマケアを巡って、米国債がデフォルトすることがあるのだろうか。



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