2013年08月21日

ドイツの選挙に影響を与えるギリシャ債務危機。国家以上の共同体への幻想

ドイツは9月22日に総選挙を控えている。そんな微妙な時期の8月20日に、ドイツのショイブレ財務相がギリシャに対して第3次支援が必要との見解を示した。

その発言はまさにドイツ北部のアーレンスブルクで行われていた選挙関連イベントで行われた。

「(ギリシャには)追加(支援)プログラムが必要になるだろう。これは常に国民に伝えられていたことだ」

実はメルケル首相率いる中道右派連立政権の支持率は、世論調査によれば最大野党の社会民主党(SPD)に僅差でしかリードしていない。

つまり、ここでデリケートなギリシャ支援問題(要するにドイツ国民にギリシャのために負担に耐えよというお話し)を出すのは、果たして吉か凶か、ということだ。もし、ギリシャ支援問題で支持率が下がれば、社会民主党(SPD)との連立を迫られる可能性もある。

だから、現在の連立与党の一つである自由民主党(FDP)のフランク・シェフラー議員は、このショイブレ財務相の発言が、選挙に不利になると懸念している。ちなみにシェフラー議員自身は、さらなるギリシャ支援に反対の立場だ。

「ギリシャ向け支援が失敗したことは今や明白だ。ショイブレ財務相はそれが事実だと認めている。有権者はかねて支援規模が十分かどうかを疑問視しており、金銭的に大きな負担が強いられることは誰の目にも明らかだった。このことは9月の総選挙で与党・キリスト教民主同盟(CDU)に悪影響を与えると私は確信している。今回の悪報を伝えたのが財務相だからだ。だがFDPも(CDUと)同じ立場にある」

しかしシェフラー議員は厳しい事態であることも分かっている。というのも、2014年末に終了する第2次ギリシャ支援プログラムが終了した後も、やっぱりギリシャへの支援を続けねばならない、というのがユーロ圏財務相会合の公約でもあるからだ。

しかし、負担せねば成らないドイツ国民の気分はどうだろう。ギリシャは所詮他国なのだ。ユーロという国家観はいまだにない。

ところが与党キリスト教民主同盟(CDU)の予算担当報道官であるノベルト・バーセル議員はショイブレ財務相の発言を援護した。

「われわれがギリシャの現状と2014年の金融支援の必要性に目を向け、新たな評価を下すことになるのは以前から明白だった。これが追加金融支援につながる可能性を排除したことはない。排除したのは新たな債務削減の可能性であり、この姿勢に変わりはない」

しかし社会民主党(SPD)は追求する。同党の予算担当報道官であるカールシュテン・シュナイダー議員は詰め寄った。

「今回の発言によって、ショイブレ財務相は秘密事項を公にした。ギリシャには追加支援が必要だと明言した以上、どの程度の費用がかかるのかを公表すべきだ。総選挙前に、具体的な数字を示す必要がある」

ちなみにギリシャは2010年から2回にわたって金融支援を受けているが、その総額は約2500億ユーロになっている。しかしIMFは警告している。ギリシャは2015年までに、さらに約110億ユーロの資金不足に見回れるであろうと。

すでにドイツは最大のギリシャ支援金を出している。まるで焼け石に水といったこの支援を継続することを、ドイツ国民はどう思うだろうか。反発することは必須ではないだろうか。俺たちが一生懸命稼いだ金を、なんで放蕩国家のギリシャに注がねばならないのか、と。

しかも緊縮財政はますます国家を疲弊させることは、とうとうIMFでさえ、認め始めたことだ。いくら金を注いでも、ギリシャは浮上できないだろう。本気でギリシャを再建するのであれば、緊縮財政を止めさせ、思い切った財政出動と巨大な支援が必要なのではないか。

本当なら、ユーロ脱退が最も手っとり早いのだが。

しかしメルケル首相は意固地になっている。

「ギリシャに対する新たなヘアカットは見込んでいない。われわれは一歩ずつ前進している。ギリシャに多くの変革が必要であることは間違いないが、前進も明確であり、われわれはそれを認識している」

もはや意地だ。国家以上の共同体というユーロ幻想は、実現可能なのであろうか。



posted by しげぞう | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。