2013年07月10日

シリアでサリンを使ったのは反体制派だとロシアが報告

9日、ロシアはシリアで今年3月に使われたサリンについて独自の調査を行い、その結果を潘基文(パンギムン)国連事務総長に提出した。

今年3月に使われたサリンとは、シリア北部のアレッポ公開に着弾したロケット弾からサリンが放出され、軍人16人を含む26人が死亡し、86人が負傷したというものだ。

ロシアの調査の結論は、この化学兵器の製造と使用は、反体制派側であったとするもので、既に米英仏が結論したアサド政権側が使用したということと対立する。

ロシアのチュルキン国連大使によると、この度の調査はアサド政権からの依頼で行ったという。そこで、ロケット弾の着弾地点でサンプルを採取し、ロシアの施設で分析した。

その結果分かったことは、ロケット弾が大量生産品ではなかったこと、また、化学兵器用でもなかったことだという。それらのことを持って、

「分析の結果は、カーン・アルアッサルで使用された武器が工業的に製造されたものではなかったこと、そしてその武器にはサリンが充填されていたことを明確に示している」

そう、結論を出した。なお、提出された報告書は80ページに及ぶ。

さらにチュルキン国連大使は付け加えた。

「ロシアはこのミサイルが武装グループBashair al-Nasrによって製造されたものであるとの情報を得ている」

「Bashair al-Nasr」は自由シリア軍と関連がある武装グループだという。

これらのロシア側の発表を受けて、米国は、シリアの反体制派が化学兵器を使用した証拠は無い、という従来からの西側諸国の見解を改めて強調している。

さらにこの米国の主張にたいして、ロシア側は、西側諸国にもロシアの報告書を送付すると述べた。そしてロシアの専門家は米英仏が提供した証拠に「感銘を受けていない」と述べている。

ところで国連の立場だが、いまのところ西側諸国が提出した資料については、その証拠の出所について国連の専門家が検証出来ていないことをもって、

「決定的な証拠とはいえない」

という立場をとったままだ。

いずれにせよ、この度のロシアの発表は、米国が反体制派に武器供与を決めたことに対する牽制であるとみられている。


以下、シリアに関する記事です。

『米国がシリアの反体制派への武器供与拡大を決定』(2013/06/14)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/366304428.html

『シリアに対する日本政府の立ち位置』(2013/06/11)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/365988776.html

『シリア内戦を停止させる国際会議の開催は可能か』(2013/05/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/364050350.html

『シリアの内戦がレバンノンに飛び火する』(2013/05/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/

『シリア・ヒズボラ連合で攻勢をかけるアサド大統領の狙い』(2013/05/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/362493849.html

『国連総会がシリア国民連合を、政権移行の対話者として認める決議を行った』(2013/05/16)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/361570283.html

『イスラエルが内紛中のシリアを空爆する理由』(2013/05/05)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/359067477.html

『(続)シリアでサリンが使用されたという情報は、米国を参戦させるための捏造か』(2013/04/26)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/357324613.html

『シリアでサリンが使用されたという情報は、米国を参戦させるための捏造か』(2013/04/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/357023672.html

『シリアで化学兵器が使われたのか。お互いを非難する体制派と反体制派』(2013/03/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/348363101.html

『シリア反体制派が暫定政府に首相を選出したが…』(2013/03/19)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/347857251.html

『シリアの使ったガスは化学兵器か?態度を変えつつあるロシア。』(2012/12/25)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/309829131.html

『シリア、サリンを準備中か』(2012/12/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/305190492.html

『ロシアとトルコ、経済では協力、対シリア外交では距離』(2012/12/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/305180076.html

『シリアの砲撃に報復するトルコ。シリアは何故トルコ//砲撃したのか。』(2012/10/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/295414151.html

『シリアは化学兵器を使用するか』(2012/07/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/282860806.html

『シリアで200人規模の虐殺。アサド政権側か、反政府側か。』(2012/07/13)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/280748896.html

『シリアは「戦争状態」にあると認めたアサド大統領に焦りが見られる』(2012/06/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/277587322.html

『シリア軍がトルコ軍戦闘機を撃墜。しかしNATOを敢えて刺激するだろうか。』(2012/06/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/276862619.html

『シリアのシャッビーハ(シャビハ)という狂犬の暴走』(2012/06/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/273939512.html

『撤退どころか越境し始めた。シリア軍の暴走が止まらない』(2012/04/10)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/263642669.html

『シリアに対し、一枚岩になれないアラブ連盟』(2012/04/01)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/261615315.html

『シリアのアサド政権を維持させたいロシアの思惑』(2012/02/06)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/250749829.html

『国際社会による軍事介入の可能性が高まるシリア政府の強硬姿勢』(2012/01/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/248074698.html

『シリアの自爆テロは、反体制派か、アサド政権の自作自演か』(2012/01/08)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/244957285.html

『シリアで任務についたアラブ連盟の監視団。しかしどうにも怪しい。』(2011/12/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/243414862.html

『シリアの報道は事実か?あまりに狂気を帯びた惨状が報じられている。』(2011/11/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/237704569.html

『リビア化するシリアの弾圧とアサド大統領の強硬姿勢』(2011/11/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/236176084.html

『シリアで何が起きているのか。シリア騒乱への経緯。』(2011/11/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/233918198.html




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