2013年07月04日

HIV(エイズウイルス)治療の新たなヒントか

AIDS(後天性免疫不全症候群)を発症させるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染者を治療するヒントが発表された。

発表されたのは3日で、マレーシアの首都クアラルンプールで開催されていた国際エイズ会議でのことだった。

今回注目されたのは2つの症例だ。

一つは、米ミシシッピ州での症例で、HIVに完成した状態で生まれた新生児に、生後数日という早い段階から抗レトロウイルス薬を投与したら、HIVが検出されなくなったというものだ。

しかも抗レトロウイルス薬の投与を止めてからも今のところ15ヶ月たってもHIVが検出されていないという。

そしてもう一つが、米ボストンでの試験だ。こちらは癌(リンパ腫)を発症した男性二人が骨髄移植を受けたところ、エイズ治療薬の服用を止めてもそれぞれ15週、7週を過ぎてもHIVが検出されなかったというものだ。

いずれの症例もまだ、もっと長い期間経過してからもHIVが検出されないかどうかを確認せねばならないが、もしかするとHIVが消滅した可能性があるという。

少なくとも研究者等は、根絶は不可能と言われていたHIVに対して、もしかすると新たな展開が期待出来るのではないかと注目している。

というのも、抗レトロウイルス薬でHIVを抑えることができるが、実はHIVが細胞内に残存するため、治療を止めれば再びHIVは活動を開始する。

従って、患者への投与を止めれば、2〜4週間後には、再発してしまう。つまり治療はできていないのだ。

ところが今回の二つの症例は、もしかすると、HIVを治療できる可能性を示しているという。エイズ専門医のティモシー・ヘンリク博士は注意深く言う。

「この期間を抜け出しつつあるところだが、まだこの期間に非常に近いところにいる。しかし来週か来月、あるいは治療停止後1、2年でウイルスがリバウンドする可能性はある。何が起こるのか様子を見なければならない」

特に骨髄移植を行った例については、その原因解明が鍵を握っている。

これは一つの仮説だが、骨髄移植によりドナーの細胞が患者の細胞を攻撃する移植片対宿主病(GVHD)という症状があるが、もしかするとこの症状がHIVの治癒に役立った可能性があるという。

本来、移植片対宿主病(GVHD)は望ましくない合併症で、場合によってはこれが原因で患者が死亡することもある。

しかしこの症状が幸いして、HIVを攻撃した可能性があるというのだ。

以上の発表は、研究者らに、HIV治癒の希望をもたらせている。



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