2013年07月04日

エジプトでクーデター。モルシ大統領は拘束され、憲法は一時停止された。

3日夜、エジプト軍トップのシシ軍最高評議会議長兼国防相は全土に向けたテレビ放送を通じて、モルシ大統領の権力を最高憲法裁判所のマンスール長官に移譲することを宣言した。

同時に、軍はモルシ大統領の身柄も拘束した。大統領警護隊の本部で拘束されている様だ。そのためモルシ大統領は外部との接触を断たれた状態にある。

また、軍は憲法を一時停止することも表明した。この後4日にマンスール長官が暫定大統領として就任宣言を行う様だ。

これは事実上のクーデターと言えるのか。但し、軍は自ら権力を継承することは否定している。そのため、速やかに大統領選を実施し、先送りされてきた人民議会選の準備を行う事も宣言している。

シシ国防相は言う。

「ムルシ氏が国民の目標を達成できず、軍の通告にも従わなかった」

また、マンスール長官には憲法発布の権限を持たせ、「強力で多様な」政権を樹立すると表明した。

シシ国防相は、モルシ大統領の権限を剥奪したことについて、

「軍が国を守るために歴史的責任を果たした」

と主張した。

衛星放送のアルジャジーラは、モルシ大統領の声明を流した。

「我々は自ら障壁を克服できる。これは国民の意思であり、取り消すことはできない」

しかしこの放送直後、エジプトの放送局が襲撃され、スタッフも拘束されたようだ。

モルシ大統領の支持母体であるムスリム同胞団の放送施設も封鎖された。

首都カイロ中心部のタハリール広場に集まっていた反大統領派は、シシ国防相の発表を知ると、熱狂に包まれ、花火を打ち上げるなどした。

その一方で、モルシ大統領支持派は、「打倒軍政」と声を上げた。が、軍は既にナイル川にかかる橋を封鎖しており、モルシ支持派が集まっていた広場も包囲していた。

モルシ氏はこの軍の発表直前、Facebookに書き込みをした。

「クーデターが進行中だ。民主主義においては、現在のような状況の結果として、大統領が次の選挙に敗れるか、与党が次回選挙でつけを負うという結末しかない。それ以外はすべて暴民政治だ」

しかしこれに対して野党側は、反論している。

「断じて軍事クーデターではない。これは革命だ」

それに対してムスリム同胞団は抗議した。

「明らかなクーデターであり、選挙に基づく人々の意思を損なうものだ」

以上の一連の動きに対し、オバマ米大統領が声明を発表した。

「軍部がモルシ大統領の権限を剥奪したことに深い懸念を示し、軍部に対し、民主的に選ばれた文民政権への迅速な復帰を求める」

また、

「軍部が平和的集会や適正手続き、民間法廷での自由公正な裁判の権利など、エジプトのすべての男女の権利を保証することを期待する」

とも語った。

同時に米国はこの軍部の行動を直接批判することは控えている。

サキ報道官は、エジプト軍がモルシ大統領を解任する権限を持っているのかとの問いに答えている。

「この件について一方の立場を擁護はしない」

いずれにせよ、反大統領派とモルシ大統領支持派が存在する以上、軍がモルシ大統領を拘束したとしても、混乱は収まらない。

速やかな新政権の樹立が行えるのかどうか。


以下、エジプト関連の記事です。

『エジプトのデモに、軍が介入を宣言。48時間後に何が起きるのか』(2013/07/02)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/368115223.html

『エジプトのデモ、再び。経済政策への失望と、イスラム化への警戒』(2013/07/01)
http://newsyomaneba.seesaa.net/?1372750119

『分裂が顕在化するエジプト』(2012/11/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/304087623.html

『クリントン国務長官とエジプトのモルシ大統領と会談。まずはお互いの思惑は一致
』(2012/07/15)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/281136899.html

『エジプト新大統領モルシー氏は、ぬかるみへの第一歩を踏み出したかもしれない。』(2012/06/25)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/277224870.html

『エジプト大統領選の結果は、どっちに転んでも新たな火種だ』(2012/06/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/277009953.html

『エジプトのムバラク大統領に死刑求刑。軍部への不満を反らす見せしめか』(2012/01/06)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/244591656.html

『エジプト騒乱の続章の幕開けか。暫定統治の軍と、イスラム原理主義の衝突』(2011/11/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/236099759.html

『エジプトの、新たな混乱が始まるのか。』(2011/02/12)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/185542674.html

『ムバラク大統領は、権力亡者となり暴走しているのか。後ろ盾の米国にも読めず。』(2011/02/11)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/185457860.html

『デモの長期化はムバラクに有利か、反ムバラクに有利か』(2011/02/05)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/184439695.html

『ムバラク大統領の退陣は、新たな対立を産む可能性がある』(2011/02/02)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183849084.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第五部。』(2011/01/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183236111.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第四部。』(2011/01/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183159468.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第三部。』(2011/01/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183150487.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第二部。』(2011/01/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183086820.html

『エジプト全土にムバラク大統領退陣要求デモの背景:第一部。』(2011/01/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/183082938.html



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