2013年04月24日

飢餓に追い詰められるかもしれない北朝鮮。米国の柔軟姿勢とモンゴルでわかったこと

先月、北朝鮮の兵士が死を覚悟してまで脱北している背景に、兵士の飢餓状態があるという記事を投稿した。

『北朝鮮の兵士が飢え始めているのではないか?拷問や死を覚悟の上で脱北している。』(2013/03/22)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/349886204.html

さて、このような事情が一般人のブログで書かれるくらいであるから、米国はさらに具体的な情報を掴んでいるはずだ。

23日、米国務省のベントレル報道部長は、北朝鮮への食糧支援について言及した。

「国民の手に物資が届くとの確信があれば検討する」

闇雲に食料を支援しても、上層部や軍隊に回ってしまっては逆効果だ。そえを危惧しているということだろう。

しかし、ここ最近の金正恩体制についての不信感を語った。

「北朝鮮による挑発行為でそうした信頼は生まれていない」

従って、まずは北朝鮮が米国他との信頼関係を構築するのが先だろう、という考えだ。

それでも付け加えたのは、

「北朝鮮の国民に対しては敵対心はない」

という、北朝鮮に対する逃げ道を示唆している。その上で、北朝鮮へのメッセージを述べた。

「北朝鮮政府が国民向けに財源を投入し、生活の向上に取り組むべきだ」

この北朝鮮への食料支援については前日の22日にも、キング北朝鮮人権問題担当特使が、

「北朝鮮から要請があれば、原則として支援を検討する」

と述べていたばかりだった。これは米国が、北朝鮮の飢餓状態を把握しており、そこを突くことで、現状を変えるヒントを北朝鮮に与えていることになりそうだ。

というのも、米政府は昨年2月に食料支援と引き替えに北朝鮮がウラン濃縮活動を停止することで合意したにもかかわらず、同年4月の弾道ミサイル発射で米朝合意が破棄されてからは、新たな食糧支援には否定的な態度をとってきているからだ。

ここで条件付きながらも、飢えている北朝鮮に対して、食糧支援をちらつかせることで、北朝鮮からの譲歩を引き出そうとしていると考えられる。

さて、このような柔軟姿勢をちらつかせ始めた米国が、どの程度の情報を把握しているのかは分からないが、思わぬところから北朝鮮の飢餓に対する恐怖が伝わってきた。

なんと、北朝鮮が米国や国際社会に対して核保有国であることを認めろと強気の姿勢を見せているその後ろ側で、友好国のモンゴルに食糧支援を要請していることが分かったのだ。

なんとも間抜けというか、情けない外交である。

北朝鮮の南西部にある穀倉地帯では、昨年の2012年春から夏にかけて、大規模な飢饉が起こったことは知られている。それ以降、食糧事情が改善されているという情報はないのだ。

恐らく現在も食糧事情がひどい状態にあることは、米国が把握しているだろう。

そんな中、4月22日には、北朝鮮の外務省が国営朝鮮中央通信を通じて主張している。

「他の核保有国と対等な立場(を要求する)」

当然、米国や国際社会はそれを認めようとはしていない。

そんな強気の姿勢を示している北朝鮮が、同じ頃の4月16日に友好国であるモンゴルでは、着任したばかりの北朝鮮のホン・ギュ大使の信任状捧呈式が行われていた。

モンゴルのエルベグドルジ大統領は声明を出した。

「モンゴルと北朝鮮の国交樹立65周年にあたり、2国関係はさらに強化されるだろう」

これに対し、ホン・ギュ大使は、

「金正恩第1書記がエルベグドルジ大統領を北朝鮮に招待したい意向を持っている」

ことをエルベグドルジ大統領に伝えた。

ところがこの会談の最後に、ホン・ギュ大使は最も重要な要請を伝えていたのだ。

「北朝鮮は、ひどい食糧不足に直面するかも知れない。モンゴルには、北朝鮮への食糧支援の可能性を検討するようにお願いしたい」

おそらく「なるかも」ではなく、「なっている」のだろう。北朝鮮としては、できるだけ早くモンゴルからの食糧支援が欲しいはずだ。

アジアプレスが北朝鮮在住の協力者から得た情報として伝えているところに依れば、昨年2012年の4月から6月の飢饉では、1万人以上が飢えて死んだらしい。悲惨な死に方だ。

また、日本でも実感できたとは思われるが、天候不順が多かった。北朝鮮では台風や大雨により穀物の生産が落ち込んだにもかかわらず、僅かに収穫できた穀物は都市部に送るために強制的に農民達から取り上げられたのだという。それで農民達が飢えた。自分たちがなんとか収穫した穀物を食料にできなかったのだ。

そして今年にはいってからも状況は改善されなかったため、いよいよ兵士の食料も不足してきた。それで3月初めに武装兵が12人集団で中国に脱出している。

北朝鮮の食糧事情が特に悪化するのは毎年4月から9月であるとされている。トウモロコシの収穫時期だ。それを乗り切るためにも、モンゴルからの食料支援を取り付けたいと北朝鮮は焦っている。

焦った結果、その実態が筒抜けになり始めているといえる。

以下、関連記事です。

『北朝鮮の兵士が飢え始めているのではないか?拷問や死を覚悟の上で脱北している。』(2013/03/22)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/349886204.html




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