2013年04月16日

巨大カタツムリがフロリダを襲う

成長するとネズミほどの大きさになるカタツムリがいる。手のひらよりでかいカタツムリだ。アフリカマイマイという。それが米フロリダ州で繁殖を続けており、州にとっての大いなる脅威となっている。

フロリダ州でアフリカマイマイが発見されたのは2011年9月だった。それ以来、州当局は毎週1000匹以上を捕獲しており、既にその捕獲数は11万7000匹に達したという。

しかも当局をびびらせているのは、後7週間もするとフロリダ州は雨期に入る。そうすると冬眠していたアフリカマイマイも目覚めるため、いったいどれほどの数が出現するのか想像できない。

アフリカマイマイの恐ろしさは、その貪欲さだ。

「彼らの通り道にあるものはなんでも」

食べてしまう。

作物は当然のこと、500種類以上の植物が餌食となる。また、カルシウムを補給するために砂や石も喰い、建物の漆喰やコンクリートまで食い荒らしてしまう。プラスチック製品も食い荒らし、その殻の強く鋭いことは、車のタイヤをパンクさせることもあるという。

なんとも強烈なカタツムリである。

それだけではない、このアフリカマイマイには「広東住血線虫」という寄生虫が寄生しており、人に感染すると髄膜脳炎を発症し、死に至ることもある。

幸い、まだフロリダ州では寄生虫による被害は出ていないが、大量発生している以上、このままでは犠牲者が出かねない。実際、寄生虫を持つアフリカマイマイが既に確認されているからだ。

しかもこの寄生虫は、アフリカマイマイが這った後に触れただけでも寄生される可能性があるというから非常に恐ろしい。姿を見ないからといって、安心できないのだ。今掴んでいるその欄干も、アフリカマイマイが這った後かもしれないのだ。

まるでパニック映画のようだが、現在まだアフリカマイマイの繁殖はマイアミデイド郡に留まっていると言う。しかしその持ち込み経路が不明なため、全く別の飛び地から繁殖する可能性もある。

恐らく旅行者の荷物などに紛れ込んだか、貨物に紛れ込んでいたとみられているが、少々気になるのは、マイアミにある宗教団体だという。この宗教団体は西アフリカ・カリブをルーツとするが、儀式に巨大なカタツムリを使っていたことが2010年に見つかっている。もしかすると、それがアフリカマイマイだった可能性は高い。

フロリダはパニックだ。なにしろこのアフリカマイマイは無敵なだけでなく、繁殖力が強い。僅か1年で成体になると産卵を始める。雌雄同体であるため、2匹が出会えば交尾し、双方が産卵する。しかも1回の産卵で100〜1000個の卵を産むが、それが約10日の周期で繰り返されるというのだ。恐るべき繁殖力である。

しかもそれが寿命とされる9年ほど続くのだ。ねずみ算を遙かに超える勢いで増殖する可能性がある。

作物も、建築物も、人間も危険にさらされている。まるでエイリアンによる侵略映画ではないか。

これほど危険なアフリカマイマイは、日本では植物防疫法により有害動物指定を受けている。勿論、生体の持ち込みは禁止されている。さらに外来生物法においても要注意外来生物に指定されている。

それだけではない。世界の侵略的外来種ワースト100にも選ばれている。

冒頭でネズミほどの大きさになると書いたが、より具体的には殻径が8p、殻高が20pにも達する。想像したら吐きそうになった。

基本的には夜行性であるため、昼間は草地や土中に潜んでおり、発見が遅れやすい。しかも移動速度も速く、一晩で50メートル以上移動するという。

とにかく何でも食べる。植物、動物の死骸、菌類、砂、石、コンクリート、プラスチック。化け物だ。

農業だけでなく、都市にとっても恐怖だ。

さらにアフリカマイマイの強靱さは、通常のカタツムリより乾燥に強い。いざとなれば、殻口に蓋をして、仮眠状態に入る。そうなると、半年以上乾燥に耐えるという。

ただ、弱点はある。寒さだ。寒いと活動できない。とはいえ、冬眠するので暖かくなれば、一気に活動を再開し、あらゆる物を貪り、繁殖を繰り返す。

フロリダ州は、アフリカマイマイを撃退することができるだろうか。



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