2013年04月10日

日本と台湾で尖閣諸島周辺に共同水域を儲け、中国を牽制。中国から予想通りの反応

日本政府と台湾は、尖閣諸島周辺に共同水域を儲け、操業ルールを設ける魚漁協定を締結することを合意した。

共同水域は丁度、日本と台湾がそれぞれ中間線として主張している線が食い込み合っている水域にほぼ重なっている。

この水域は日本にとっては日本の排他的経済水域(EEZ)だが、その一部を台湾の漁船が操業しても良い共同水域にするという提案だ。

この協定について、日台は10日午後、台北で4年ぶりに再開された日台漁業協議で調印した。

日本がこのような妥協案を台湾と締結するのは、中国が尖閣諸島の領有権を主張するために台湾と連携しようとしたためだ。それを崩す狙いがある。

そもそも台湾も尖閣諸島の領有権を主張していたが、台湾が特に求めていたのは尖閣周辺水域での漁業だった。これまで日台間では漁業協定がないため、台湾の漁船が日本の排他的経済水域で違法操業している状態が続いていた。

そのため、日本からも台湾からも、双方の漁業関係者からこの問題の解決が求められていた。これが、友好関係にある日台間での唯一の外交問題とまで言われていた。

そこで日本側としては、尖閣諸島の領有権には触れないまま、台湾側が求めていた水域での操業を認めることにしたのだ。台湾としても、名より実をとる方向に向かったといえる。

しかも台湾は、今月から漁期に入っていたため、この協議の早期妥結を優先した。領有問題は後回し、つまり棚上げで構わないという状態だった。

そのタイミングに日本側も乗った、ということか。

日本としても協定が締結されれば、台湾の漁船を違法操業として取り締まる必要がなくなる。

従って菅義偉官房長官は言う。

「妥結したしないにかかわらず、我が国の尖閣諸島に関する基本的立場は変わらない」

つまり、この度の協定は、尖閣諸島の領有問題ではない、と切り離した協議であることを示した。

従って、この度の協定では、台湾の漁船が尖閣諸島の領海に入ることは認めていない。あくまでその外側での操業を認めた形だ。

そのようにして、台湾と漁業協定を締結し、この海域の問題を一旦解決させ、台湾が中国と連携することを防ぐことができると踏んだようだ。

台湾政府としても、自国の漁業関係者にたいして、一応の成果を示すことができる。

さて、早速中国が予想通りの反応を示した。今回は非常に分かり易い。

10日の記者会見で中国国務院台湾事務弁公室の范麗青報道官はこの日台漁業協定について不快感をあらわにした。つまり、

「釣魚島は中国固有の領土」

なのだから、

「領土主権を守るという基礎の上で、(尖閣周辺という)伝統的漁場での両岸(中台)漁民の漁業権益を維持することは、両岸双方に責任がある」

だから関係の無い日本が勝手に協定を締結するとは何事か、ということである。

すっかり台湾に裏切られた形になった。

ただ、台湾にも親中派はいるし、尖閣諸島を領土問題として終わらせないとする一派もいるので、ことある毎に問題が発生する可能性はある。

しかし、この度の日本側の大きな譲歩は、とりあえずは日台の友好関係を維持することに役立ち、中台の連携を崩すことにはなるだろう。



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