面白いことに朝鮮日報の4月1日版では、韓国自動車(現代、起亜、韓国GM、双竜、ルノーサムスン)らの3月国内・海外販売台数が長期不況にもかかわらず前月比で11.5%増加したと報道し、まるで韓国自動車が躍進しているかのような印象を与えている。
が、本当のところどうなのか。
長期不況と朝鮮日報が報道している中、実は米国での3月の新車販売台数は前年同月比でも3.4%増加した145万2946台と3月としては6年ぶりの高水準を記録している。
さぞや韓国自動車が売れたのだろうと思いきゃ、これが芳しくなかった。
まず、米国自動車市場を概観してみる。
米国の景気回復の兆しが見えたのか、あるいは金利が下がったことがローン販売の促進したのか、実は良く分からないが、何故か米国では高級車や大型車が売れ始めている。
そうなると自国米国車の得意分野だ。実際、米自動車3社の売り上げが5〜6%増加して市場を引っ張った。
この市場の好況に日系各社もうまく乗ったようだ。
しかし韓国を代表する現代自動車は見事に失速した。
売れた分野を見ると、実は乗用車は1.3%減少しているのだが、大型ピックアップトラックが9.0%も増加している。またSUV(多目的スポーツカー)に至っては12.6%も増加した。
そのため、米フォード・モーターなどは、Fシリーズと呼ばれるピックアップの売り上げが16%も伸びた結果、米フォード・モーターの販売台数全体の3割を占めている。
また、これも良く分からない結果だが、高級車が売れている。例えば米ゼネラル・モーターズでは、シボレーといった大衆車が伸びずに横ばいだったのに対し、なんとキャデラックといった高級車は49.5%も伸びている。
この妙な現象はトヨタ自動車でも起きている。トヨタ自動車全体としては1.0%の増加しかなかったものの、高級車ブランドのレクサスは19.4%も伸びたのだ。
この妙な結果について、米ゼネラル・モーターズの幹部は言う。
「トラック販売は住宅市場の回復に歩調を合わせて改善している。(比較的価格が高い)クロスオーバー型SUVの好調は、米国人の経済の健全性に対する自信を示している」
うーん、良く分からない分析だ。印象論なのだろう。
一説では2008年秋の金融危機で消費者が自動車の買い控えを行っていたことの反動が起きたのだという。これも有りそうで良く分からない。
ただ、ずっと継続してきた金融緩和がようやくローン購入の後押しを始めたのだ、ということはありそうだ。
このような状況にもかかわらず、この良い波に現代自動車は乗り損ねた。各社売り上げを伸ばす中、現代自動車だけは前年比マイナスとなっており、傘下の起亜自動車も含めて3月は7.7%減少している。
原因は、韓国勢が主力としてきた安物自動車への消費者の関心が無くなったことや、例の燃費捏造問題があると言われている。
何しろ嘘が国民性の韓国の自動車会社だ。まだ嘘があるかもしれない。こういうことに米国の消費者は反応する。彼らは嘘つきは嫌いなのだ。
ちなみに、米国自動車市場では、ガソリン価格の高止まりの影響もあり、日本が得意とするハイブリッド車への買い換えも進んでいる。
各社の販売伸び率(前年同月比)をまとめると以下の通りだ。
ゼネラル・モーターズ:6.4%
フォード:5.7%
クライスラー:5%
トヨタ:1%
ホンダ:7.1%(!)
日産:1%
現代自動車:−2%
起亜自動車:−14.6%(!)
韓国勢だけが失速していることが良く分かる。
ここで今度は現代自動車の状況に注目してみる。
現代自動車の失速は2012年7月〜9月期から始まったようで、連続する10月〜12月期にかけて2四半期続けて減益となっている。
もちろん、最も大きな原因はウォン安政策が継続できなかったことにもあるだろう。
実際、2012年10月〜12月期はウォンの上昇につられて12%の営業減益となっている。このとき傘下の起亜自動車などは、営業利益が約半分も減った。
また、注目すべきはお膝元で圧倒的に強かったはずの韓国市場でのシェアが減少し始めていることだ。
韓国ではさすがに自動車市場の7割を現代自動車と起亜自動車で占めている。しかし2012年になると、2社の販売台数が前年に比べて2%減少した。
同時に輸入車(日本車も含む)全体の販売台数が25%増加しているのだ。
日本のおばちゃま達の間では「ソナタ」と言えばヨン様の「冬のソナタ」だが、韓国で「ソナタ」と言えば、現代自動車の「ソナタ」という大衆車を示す。それほど売れていた。日本で言えばカローラか。
ところが2013年、韓国では日本製品の非売運動がやかましく騒がれているというのに、「韓国カー・オブ・ザ・イヤー」の大賞を、なんとトヨタの「カムリ」が受賞してしまった。
「外国車なのに割安だ」
と、韓国の消費者も評価した。ちなみにカムリの同国での価格は3370万ウォン(役290万円)。
これには現代自動車の李元熙(イ・ウォンヒ)副社長もびびった。
「円安を背景に日本メーカーが攻撃的な値下げに踏み切るのでは」
と思わず呟いた。
韓国という国のメーカーは、経済評論家の三橋貴明氏が指摘するように、海外では安売りで攻勢をかけているが、自国内では寡占状態であることを良い事に、高額で売っている。同時に雇っている社員は安く雇っている。
これが韓国メーカーのビジネスモデルだ。
現代自動車もその代表だろう。実は同社の利益率は海外よりも韓国国内の方が高い。つまり同胞には知られたくないようだが、韓国で荒稼ぎした利益を海外の販促に充てているのだ。韓国人が知ったら国賊メーカーめ、と騒ぐのではないだろうか。
だから韓国国内での利益が下がると、海外攻勢の勢いにも影響が出てしまうのだ。
また、これもウォン安政策の結果だが、韓国自動車メーカーは、自国民労働者を安く使うことでグローバルな価格競争に勝ってきた。
ここがトヨタなどの日本自動車メーカーとの違いだ。日本は円高だったせいもあり、効率化と海外生産により競争力を維持した。
だから円高や円安(これは有利だが)の影響を受けないようにしてきたのだ。
しかし韓国自動車メーカーは、ウォンのレートに大きく依存している。つまり、自国内に構築した生産拠点が、ウォンが高まると足枷になってしまうのだ。
そんな最中の2011年11月に追い打ちを掛けることが起きた。韓国自動車メーカーは燃費性能を偽っていたことがばれてしまったのだ。
「ああ、やっぱり韓国人は嘘つきだ」
と、客が離れていく。
「何が日本車キラーだ。ただの嘘つきではないか」
と離れていく。
そして現代自動車の鄭夢九会長は、今年の新年の挨拶で、とうとう「2013年業績に不安」とこぼした。
ただ、彼らの活路は中国にある、と彼らは見た。何せライバルの日本車は、中国の反日活動のおかげでダメージを受けている。
今のうちとばかり、中国市場には投資している。
例えば現代自動車は今年、中国西部地域を中心として、ディーラー数を502店から860店まで増やすとしている。
実際、中国での現代自動車の販売は好調で、今年1〜2月期の販売台数は前年同期比でなんと46.4%も伸ばしている。
反日で鬼の居ぬ間になんとやら、である。