2013年03月19日

シリア反体制派が暫定政府に首相を選出したが…

19日未明、トルコのイスタンブールで、シリア反体制派の代表組織である「シリア国民連合」は、シリア暫定政府の首相を選出した。

選ばれたのは、ガッサン・ヒット氏(ガサン・ヒットとも)というダマスカス出身の1963年生まれと言うから、52歳か。これに続けて、数日中には暫定政府の閣僚が選ばれる予定になっており、暫定政府は形を整えようとしている。

ただ、シリア国内に居る反体制派から、これが「政府」であるとして認められるかどうかはまだ分からない。

それにしても既にシリアの内戦は、7万人以上の死者を出している。しかもいよいよ周辺諸国にも火の粉は降りかかり始めているから、まとまるどころかより一層紛糾しているといえる。18日にはシリア軍の戦闘機がレバノン北東部アルサルを空爆しているという有様だ(同地域には、反体制派寄りの住民が多いとされている)。

話を戻すが、選出されたガッサン・ヒット氏は欧米で教育を受けた元ビジネスマンである。この辺りに反体制派が新たに作る政府が、欧米の支持を得たいことをアピールしてしているようにも思える。そしてガッサン・ヒット氏は、このあとすぐに、外相や国防相といった閣僚を選び、組閣することになる。

いよいよシリアには、二つの政府が並立することになる。

ちなみにガッサン・ヒット氏は穏健派とも言われている。この辺りに、「シリア国民連合」が強硬派を含む「国民評議会」他の反体制派にも抵抗がないようにとの配慮が見られる。

暫定政府としては、近い内にシリア北部の支配地域に拠点を移したい考えで、そこを中心に統治体制を確立したいと目論んでいる。

一方、フランスと英国は、シリアの反体制派に武器を送れるようにするために、6月1日に期限切れとなる対シリア武器禁輸措置をそのまま撤廃するように、EUに要求していると、オランド仏大統領が明らかにした。

これに対してケリー米国務長官は、

「米国は、それがフランス、英国、あるいはその他の国であれ、武器供与を決めた他の国々の邪魔になるつもりはない」

と語っている。つまり黙認する。

また、シリア政府軍の戦闘機がレバノンのアルサルを攻撃したことについては、ヌーランド国務省報道官がコメントしている。

「これはシリア政権によるレバノン主権侵害の大きなエスカレーションだ。こうした主権侵害は全く受け入れられない」

この攻撃の前、実はシリア政府はレバノン政府に対して、シリア反体制派を支援するために国境を越えている武装勢力を阻止するように要求していた。それが実施されていないと判断したのだろう、シリア政府はレバノンのアルサルを攻撃するに至った。

レバノンでは、シリアで反体制派運動が始まって以来、レバノン領内でもシリア政府軍と反体制派が戦闘を行っていたため、緊張状態にはあった。しかしいよいよ戦闘機が攻撃を仕掛けてきたとなると、シリア紛争は国外に一気に広がる可能性を見せ始めたと言える。

さて、反体制派は暫定政府として首相と閣僚を立てることで、外国政府からの金融上、軍事上の支援を得られると期待しているようだ。確かに「政府」である以上、顔が必要ではある。

ただ、国民連合の中には、暫定政権樹立は早すぎるという意見も出ている。暫定政権の指導者らが、実際に戦闘している人達に影響力を行使できるかどうか疑問だというものだ。確かに反体制派は一枚岩ではないし、皆が暫定政権樹立に関わることができている訳では無いからだ。

シリアの内戦は、まだまだ先が見えてこない。



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