2013年03月03日

米歳出の強制削減発動。ついに緊縮財政主義者たちに突き落とされる米経済

いや、本当にブログの更新がままならない。

憧れの吉瀬美智子は妊娠するし、私にとっての歌姫の中島美嘉が映画「サンブンノイチ」のヒロイン役(キャバ嬢役)に抜擢されるし、TPPに関するマスコミの変更報道は相変わらずで、安倍晋三首相が単にオバマ大統領からTPPの条件について譲歩させる条件を引き出しただけで、参加表明だというデマを垂れ流しているし…。

とにかく書きたい事がたくさんあったが、皆忙しくてスルーしてしまった。

で、やっと時間ができたので何を書こうと思ったところに、オバマ大統領が腹を立てている動画が飛び込んできた。ならば、これを書く事にしよう、そう思った次第です(ここまでの長い前振りに特別意味はございません。単に忙しいことの愚痴でした。失礼しました)。

さて、オバマ大統領の努力の甲斐無く、議会側との赤字削減に関する話し合いはまとめることが出来なかった。

そのため、2021年度までに米連邦予算を総額で1兆2千億ドル削減することが米政府に義務づけられてしまう制度がこの1日に発動してしまった。

と、どうなるか。まず遡るが昨年10月から今年9月までの13会計年度において、850億ドル削減せねば成らない。そのためには連邦予算の約1割を削る必要があるが、当然軍事活動費も縮小せねばならないし、様々な雇用を削減せねば成らない。

必然的に失業者は増え、需要も減り、米経済は失速する。議会が緊縮財政論者という昨今世界中にはびこっている狂信者達に動かされているのだ。

彼らに対し、オバマ大統領は真っ向から対立していたが、今回は負けてしまった。しかし、オバマ再選を支持した国民が望んだ結果ではあるまい。

民主主義の難しさよ。この民主主義の難しさについては、最近読んだ以下の本に興味深く書かれていますので、是非ご参考ください。



この度の歳出削減の中心は国防費になる。13会計年度に約13%削減する必要があるという。国防費以外からは約9%の削減が予定されるだろうという見込みだが、詳細はこれから詰められる。

敗北し、署名するに至ったオバマ大統領の憤懣はやるかたない。

私も動画で見たが、オバマ大統領は1日の記者会見で、非常に不愉快そうな表情で怒りも込めて語った。

「歳出の強制的な削減は経済成長率を0.5%押し下げ、75万人の雇用が犠牲になる」

これでは雇用を叫び続けたオバマ大統領の公約と真逆になってしまう。

そして、これは野党共和党のせいであることも強く訴えた。

「共和党が歳入を増やすための税金の抜け道を防ぐことを拒否した結果だ」

オバマ大統領は、富裕層への増税を主張していたのだ。しかし共和党は、それを拒んだ。

同日、国防費の削減については、国防総省のカーター副長官が記者会見で言及していた。

「文民職員の勤務日数を減らすための自宅待機に加え、兵士の訓練を削減したり、調達契約を延期したりするなどの措置など検討している」

これは国防にとって由々しきことだが、後ほど改めて触れてみたい。

それでもオバマ大統領はなんとかこの経済的ダメージを食い止めたい意向だ。

「重要なのはすべての国民がこの痛みをただちに感じないようにすることだ」

そのためにも早く削減措置を停止するための協議を議会側と行う必要がある、と述べている。

ただ、3月中(26日までだが)は、13会計年度の暫定予算というものがあるので、この間はすぐには影響は無い。

しかし暫定予算が27日に失効すれば、予算の執行ができず、例えば政府機関の窓口閉鎖などが起こり始める。

このような物別れに至ったのは、目的は同じだが手段が異なるということだった。

大統領と民主党側としては、財政赤字削減のために、富裕層への増税(というか、富裕層の税の抜け穴を塞ぐ)による歳入増と歳出の削減を組み合わせて行うべきだと主張していたが、共和党は歳出削減のみで赤字削減を実現すべきだと主張し、とうとう譲ることがなかった。

その結果、米経済が失速しようともだ。

それにしても、いよいよ政府機関の窓口閉鎖に至るとは尋常では無い。そこで下院では、現在の暫定予算を9月末まで延長しようではないか、という案が出ており、これについては既に共和党指導部の指示も取り付けているのだという。つまり、共和党案だ。

そうなると、上院が問題だ。上院は民主党が過半数を握っている。ここで共和党の案を受け入れるかどうか、今のところ見えない。

しかし9月末までに計850億ドル(約7兆9535億円)がカットされると、前述の通り国防費からその半分を削減するとしても、例えば政府職員を一時解雇せざるを得なかったり、税関や空港管制塔など、あるいは教育などの公共サービスからも何かしらの手段で経費を削減する必要がある。手っとり早いのは解雇だ。

そうやって大量の失業者や休職者が発生すれば、景気の悪化は容易に想像出来る。

だからオバマ大統領は言う。

「(強制削減措置が)長期化すればするほど米経済の損害は膨らむ」

しかし緊縮財政教の共和党は、

「歳出削減に集中すべきだ」

主張して譲らない。ここに理屈など無い。もはや信仰なので、米経済が失速しようがそんなこと気にしない。

いや、この信仰をばかげていると笑えない。現在のユーロ諸国の南側など、みなこの緊縮財政教に支配されており、国民は貧困にあえいでいる。また、日本でも、アベノミクスが登場するまでは(いや、今でも)緊縮財政原理主義者たちがデフレを長引かせることに貢献しているのだ。

それほど世界的に緊縮財政原理主義は強い。オバマ大統領を再選させた米国においてもそうなのだ。

そう考えると、この度の選挙で財政出動と金融緩和を主張した安倍政権が日本に誕生したのは、驚くべき事だ。世界が注目している所以だ。

さて、米国での話に戻るが、そうはいっても共和党とて政府閉鎖は望むところでは無い。そこで、彼らは9月末までの予算を、強制削減と同じくらいに圧縮効果がある予算案として下院に提出することになる。

しかし、大統領と民主党は、これに税制改革による歳入増を盛り込むことを主張するはずだ。

そうなると落としどころとしては、とりあえず暫定予算の延長を9月末まで行いましょうということになるだろうと見られている。

何処の国もねじれでは苦労する。こんな事をしていたら、オバマ大統領はその他の政策の遂行が捗らないことになるだろう。

それにしてもオバマ大統領の憤懣は収まらない。

「発動により、多くの中間層家庭が給与カットや一時解雇に直面する。長引けば経済への打撃もより深刻になる」

と述べ、その結果として、

「国民が不満を訴え始めれば、議会もそれに呼応すると確信している」

と議会に圧力を掛けている。

さて、前述したが、気になるのは削減の半分を負担する国防力の低下だ。米国の国防力低下は、日本の国防力にも影響がある──と中国などは見ているだろうと想像できる。

米国防総省は言う。

「長期に及ぶ深刻な打撃を被る」

国防費に限らないが、一旦削減したものを復旧させるのは困難なのだ。これは長いこと「公共事業は悪」としてきた日本において、東北の復興事業による景気回復を行おうにも、それを担える土木建設業の供給力が既に破壊されてしまっていたことでも分かる。

一旦削減し、破壊した供給力は、必要だからといってすぐには用意できない。

米国防に話を戻すと、例えば兵器の整備や修理費を長期にわたり削減すると、いざ必要になったときに、そのスタッフも技術も、物資も失われており、再調達するためには長期間必要となる。

また、部隊の訓練が縮小されると、これまたいざ必要になったときには、同じく訓練された人員の再調達はえらく困難になる。

もっと具体的な話として、カーター国防副長官は言う。

「戦闘機乗りが訓練を中断すると安全に飛行できなくなる。結局、能力を回復する長い道のりに戻らなければならない」

これは分かり易い。また続けて言う。

「修理施設での艦船の修理・改修計画は数年先まで決まっており、ひとたび空白が生じると、再開しても後れを取り返せない」

そういうことだ。

そして実際にどの程度の規模のことが実施されるのかというと、国防費を今年9月末までの2013会計年度だけで約460億ドル(約4兆3000億円)削減せねば成らない。

そのために、4月以降には、整備要員等75万人(前述の大統領発言の数字はここから出ているのだろう)の職員に22日間、当然無給(!)で自宅待機を命じることになるという。

もちろんそれだけでは削減に間に合わない。

そこでイランの有事を警戒するためにペルシャ湾に展開する予定だった空母1隻の展開を中止せざるを得ない。また、4月以降順次に、4個空母航空団の活動を停止する。同時に上陸作戦を担う海兵隊の水陸両用即応軍の展開も延期することになるという。

さらに日本の次期主力戦闘機となるステルス戦闘機F35の13年度調達数も19機から17機に減らされるため、開発が遅れるだろうと言われている。

この中国脅威論が高まっているときになんということだ、と思っていたら、国防総省は、

「アジア太平洋でのプレゼンスは維持する方針」

であると発表した。それを裏付けるように、最新鋭の沿海域戦闘艦LCSをシンガポールに向けて出港させた。

また、もっと日本に身近な話としては、横須賀基地で第7艦隊の艦船整備を行う日本人技術者達は、一時帰休の対象から除外されている。

そのようなことから、防衛筋では、

「日本を含む東アジアでの抑止力に急激な影響は出ないだろう」

との見方が強いようだ。

しかし就任直後のヘーゲル米国防長官は言う。

「米国は世界で最も強力な戦闘部隊を有しており、この能力がむしばまれる事態は容認できない。こうした現実は予期していた」

だから自分の課題として、米軍の能力維持に全力を挙げることを自らの方針として語った。

この成り行きに最も注目しているのは、中国かもしれない。



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