2013年02月05日

生活費世界一が東京だと大はしゃぎ、デフレ対策をねじ曲げるかもしれない日本のマスコミ

4日、EIUという英経済誌エコノミストの調査部門が、毎年実施している世界の主要都市での生活費について発表した。以下がその結果で、生活費が高いトップ10だ。

1位、東京
2位、大阪
3位、シドニー(豪)
4位、オスロ(ノルウェー)
4位、メルボルン(豪)
6位、シンガポール(シンガポール)
7位、チューリヒ(スイス)
8位、パリ(仏)
9位、カラカス(ベネズエラ)
10位、ジュネーブ(スイス)

前回のトップはチューリヒだったが、今回は7位に下がり、前回2位だった東京がトップとなった。

さぁ、読売を初めとする日本のマスコミがどよめいた。こんなに物価が高いのに、インフレターゲットや公共投資に財政出動して良いのか?と言いたげだ。いったどこがデフレなのか?とも。

読売新聞のサイトでの見出しは『デフレなのに…生活費世界1位は東京、2位大阪』だ。

おいおい、デフレは海外にたいする商品やサービスの価格比較で決まるものでは無い。デフレとは、物価が持続的に下落している現象だから、単なる生活費の国際比較では分からない。

また、今回の生活費の高さに貢献したのは、恐らく食費や光熱費や家賃だろう。しかし、これらは総合物価指数からは除かれる。気候や国際情勢による影響が強く、乱高下するからだ。

だから、マスコミがはしゃいでいる物価高だからデフレでは無い、というのは、誤りだ。彼らは個別物価と一般物価水準を混同している。

まぁ、これがマスコミのレベルなので、そういうものか、と思えば良いのだが、マスコミの国民への影響力を考えると、心配にはなる。

マスコミの誤った(あるいは意図的な?)報道に扇動されて、正しい(かもしれない)デフレ対策を行う政治家が支持されなくなる可能性があるからだ。

だからもう少し続けたい。

物価を推し量るためには、消費者物価指数なるものがあり、英語でConsumer Price Indexと呼ぶので、略してCPIと呼ぶ。しかしこのCPIがくせ者で、さらに日本ではコアCIPとコアコアCPIがある。

コアCPIは生鮮食品が除かれる。理由は前述した通りだ。
さらにより正確なインフレやデフレの常態を推し量るものとしてコアコアCPIがあり、こちらはさらに食料とエネルギーを除く。

前々回の投稿のコメントで触れているが、日本でいうところのコアコアCPIを、国際的にはコアCPIと呼んでいるズレがある。日銀は姑息にもこのズレを利用して、コアCPIで物価上昇率達成を判断するつもりらしい。

どういうことかというと、中東の紛争などでエネルギー価格が跳ね上がったら、実際には日本の物価が上がっていなくても指数が跳ね上がってしまう可能性があるのだ。それを持って「はい、2%達成」などとして、金融政策の変更をする可能性がある。

『インフレを頭で理解しても、物価上昇に追いつかない賃金上昇に私は耐えられるか。私はうだうだ考えてしまうのだ』(2013/01/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/316848811.html

そのための地ならしかどうかは分からないが、マスコミはことある毎に正しい経済状況や政策を、まっとうに報道しない可能性がある。

しかも今回のランキングは、国単位では無く、都市単位でもある。東京が日本でも特殊な状況であることは誰もが分かっているが、前述のようなランキングを見せられてしまうと、「東京=日本」と思い込んでしまう可能がある。

実際、コアコアCPIではなくただのCPIで比較しても、日本のデフレ状態は分かるのが以下のグラフだ。どこよりも水平なのが日本。

消費者物価指数(年平均値)の推移(1980〜2012年) - 世界経済のネタ帳

ロイターなどは、きちんと今回の調査を担当したジョン・コープステイク氏のコメントを記載していた。

「東京の首位復帰は大きな驚きではないとし、その理由として、不動産価格や賃貸料の高騰などが考えられる。」

「日本の都市が上位を占めた主な要因は食パンなど一部の食料品やガソリンなどの価格が、ほかの都市に比べて割高だったため」

ほら、見事に食料とエネルギー価格が原因であることを、述べている。しかし、日本のマスコミはこの部分を意図的に記載しない(私が見た限りの各社のサイトでは記載されていなかった──が、これから掲載されるかもしれない)。

はっきりとは書かないが、それとなくミスリードをする報道が、最も達がわるい、と思ったニュースだった。
私の思い過ごしであれば、それで良いが…。




posted by しげぞう | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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