今年は各国で選挙ラッシュだった。そして年末の19日、韓国では初めての女性大統領が誕生し、注目を集めている。
19日の投票で勝利したのは、与党セヌリ党の朴槿恵(パククネ)氏60歳だった。
朴槿恵氏は支持者等に宣言した。
「私は約束を守る大統領になる」
李明博大統領もすぐに朴槿恵氏氏の勝利を祝した。
同日、オバマ大統領も祝辞を贈った。
「2国間および地域と世界の幅広い問題に関する協力関係のさらなる強化に向け、朴政権と緊密に連携していきたい」
朴槿恵氏は、言わずと知れた、朴正熙(パクチョンヒ)元大統領(1979年に暗殺されている)の長女だ。2013年2月25日の大統領就任で、親子2代の大統領となる。
何処の国もそうだが、課題は山積みだ。
選挙では、韓国の格差が争点の一つとなった。朴槿恵氏は李明博政権で大企業優遇政策が行われた事を是正し、財閥規制を進めることで中小企業を育てると訴えた。そのことで中間層を復活させるのだという。これは相当難しい。
また、日韓関係については「未来志向で発展させる」とは主張しているが、竹島や従軍慰安婦問題では一歩たりとも譲歩しないという強硬な姿勢を示している。
つまり、経済上の協力は得たいが、領土は奪ったままだし、従軍慰安婦問題の捏造は認めない、ということだ。
政治の世界には長く身を置いているので、慣れている。何しろ朴槿恵氏は10代のころから大統領官邸で生活しており、両親の政治に関する会話を耳にして馴染んできたという。
そして1974年のフランス留学中に母が暗殺され、それ以降、父朴正熙大統領のファーストレディー役を努めた。
だがその父朴正熙大統領も、側近に射殺されるという悲劇に見舞われた。
それだけではない。朴槿恵氏本人も、2006年にソウル市内で暴漢に切りつけられ、あわや殺されるところだった、という経験をしている。このときは既に国会議員になっていた。
しかし父朴正熙元大統領の遺産は残った。それが「漢江の奇蹟」と呼ばれた経済成長を懐かしむ保守層だった。彼らがこの度の選挙を支えた人達に含まれていると言われている。
それにしても朴槿恵氏が立ち向かう課題は難しい──と前述したが改めてその一部を見てみたい。
まず、なんといっても今回の選挙最大の争点だった経済問題だろう。
李明博政権は、とにかくウォン安政策により、財閥企業の輸出競争力を高めた。その政策は成功し、韓国の輸出企業の世界におけるシェアはぐんぐんと高まった。
しかしここにきて欧州債務危機が拡大したことと、追い上げてきた新興国との競争激化により輸出の成長に陰りが見えてきた。そうなると韓国経済には致命的だ。何しろ貿易依存度はGDPに対して96%(2011年)にも達している。従って輸出に陰りが見えれば即経済衰退に繋がる。
しかもこの経済政策によって、「財閥だけに富が集中した」という国民の不満が高まった。何しろグローバル競争で勝つために、ウォン安だけでなく、企業の寡占化を行い、人件費も低く抑える必要があったからだ。
従って、朴槿恵氏の最大の課題は、この格差を是正することになる。そのためには、成長を止めないままにその富の配分をいかに公平に行うかと言った、トリッキーなものとなる。安い労働者がいなくなれば、国際競争力が落ちてしまうからだ。
また、富の偏りには、輸出の儲けが肝心の国内に還元されていない、という事情もある。というのも、大手輸出企業の株主はその多くが外国人だからだ。つまり、配当金は海外に出て行ってしまう。
日本では、「サムスンに学べ」とか「韓国経済の強さ」といった類のいかがわしい本が出版され続けているようだが、前述の通り韓国に学んでも良い事は無い。
2000年には金融政策の一環としてクレジットカードを発行しすぎ、2003年になると個人の破綻が相次いだ。その結果信用不安が高まり金融危機となっている。
それ以降もサムスンなどが絶好調になるなか、国民の消費は冷え込み続け、2008年ではいよいよ大学を卒業しても正規社員になることが困難であることが社会問題となった。
翌年の2009年の統計では、大学卒業者が55万人もいるにも関わらず、正規社員になれたのはたったの4万人だ。
どこが絶好調なのか。
そんな状況なため、優秀な若者達は、海外に流出している。特に米国や日本の企業への就職希望者も多い。
それでも確かに一部の輸出企業の業績は、ウォン安と安く抑えた労働力の効果で上昇したため、その富が一部の富裕者をますます富ませた。
ただ、安く大量に作る、といったビジネスモデルでは、中国が追い上げたため、危機的な状況を迎えることになっている。
また、前述した企業の寡占化では、サムスンへの集中が著しい。それも半端ではない。なんと韓国のGDPの18%にも達している(2008年時点)。
また、躍進している輸出(2011年度の層貿易収支333億ドルの黒字)だが、日本に対しては赤字(2011年度277億ドルの赤字)だ。これは素材や部品の多くを日本企業に依存しているためだ。
と、経済に関して長く書きすぎてしまった。大急ぎで他の課題に触れたい。
日韓関係改善がある。朴槿恵氏は、日本を「重要な友好国」と呼ぶ。上記の通り、経済的に日本に依存する部分が多いためだろう。そのため、EPA(日韓経済連携協定)の交渉再開に意欲的だ。
しかし、竹島が日本の領土で有ることは絶対に認めない(認めると韓国では非国民になる)し、従軍慰安婦問題についても、それを事実として譲らない。
この強硬姿勢を変えないままで日韓関係を改善できるのかどうか。これまでの日本であれば、売国政権である民主党が韓国に全面的に譲歩したかもしれないが、安倍政権は未知数だ。
となると、日本としては、経済制裁をカードに、国際司法裁判所で竹島問題を解決することを迫るという方法もある。
そして陸続きの北朝鮮への対応がある。こちらも容易ではない。朴槿恵氏は対話の再開を主張している。
「信頼の構築が必要」
しかし、北朝鮮は信頼できる国だろうか。まさに韓国で大統領選を行っているとき、長距離弾道ミサイルを打ち上げたのだ。日米は北朝鮮に対して制裁を加えるという姿勢に傾いている。韓国だけが対話政策を進められるだろうか。
最後になんと言っても韓国初の女性大統領である。男女格差の改善が期待されている。
韓国は(儒教文化のせいだと言われているが)圧倒的に男性が優位な社会だ。女性の地位は低い。世界経済フォーラムでは、世界の男女格差度合いランキングでは108位である。
また、男性から女性に対する性犯罪も世界で格段に多い。これについては以下の記事で取り上げた。
『韓国の性犯罪は過激で止まらない。もはや去勢しかないとの意見が出始めた』(2012/12/03)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/305019997.html
『(続)韓国の破廉恥さには目眩がする。性的犯罪国家は韓国である』(2012/10/16)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/297727339.html
『韓国の破廉恥さには目眩がする。性的犯罪国家は韓国である』(2012/09/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/294844966.html
この虐げられた女性たちを救えるかどうか、女性大統領は期待されている。18日の最後の遊説でも朴槿恵氏は訴えた。
「女性が大統領になれば、女性差別もなくなる。危機の時代にはオモニ(母)の指導力を」
さて、韓国初の女性大統領は、救世主となれるのか。
以下、韓国関係の記事です。
『韓国の性犯罪は過激で止まらない。もはや去勢しかないとの意見が出始めた』(2012/12/03)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/305019997.html
『(続)韓国の破廉恥さには目眩がする。性的犯罪国家は韓国である』(2012/10/16)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/297727339.html
『韓国の破廉恥さには目眩がする。性的犯罪国家は韓国である』(2012/09/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/294844966.html
『竹島問題入門。今回は楽しい動画のご紹介』(2012/08/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/288193903.html
『韓国の竹島侵略に対して、日本ができること』(2012/08/21)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/287684604.html
『竹島を訪問した李明博と、領有を主張した五輪サッカー選手の日本への貢献度は?』(2012/08/12)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/286243848.html