2012年12月18日

自民圧勝で、動き出した日銀

総選挙の結果、金融緩和政策を掲げた自民党が圧勝したことで、早速日銀に動きが見られた。

18日午後、自民党本部を日銀の白川方明総裁が訪問した。安倍晋三総裁への挨拶という名目だ。会談後も白川方明総裁は、

「今日はあいさつだけです。金融政策に関する発言は差し控えたい」

と語ったが、誰も信じてはいまい。当然、安倍晋三総裁からは、デフレ脱却のための強力な金融緩和について、語られたとみて良いだろう。

また、白川方明総裁が足を運んだ以上、新政権との政策協定(アコード)についての方針が語られた可能性は高い。

19日から20日にかけて、日銀では金融政策決定会合を開く。恐らくこの会合でもアコードに関する議論が始まり、来年1月21日、22日に行われる決定会合で、アコードが結ばれるだろう、というのが大方の予想だ。

安倍晋三総裁も、政権発足後にはすぐにアコードに向けた検討を財務相を含む関係閣僚に指示する意向であることを表明している。

安倍晋三総裁は、選挙中から物価上昇率2%を目標に金融緩和を行う事を明言していた。しかし日銀は「当面1%」を「めど」としている。

そのため、日銀はこれから、安倍晋三総裁が「目標」としている2%の物価上昇率を目指した金融緩和が妥当かどうかの協議を行うことになる。

妥当かどうか、というのは、日銀はかねてより、高めの物価上昇率を「目標」としてしまうと、経済成長力が追いつかず、つまり賃金が上がらないままで物価のみ上昇してしまう懸念や、長期金利の上昇も心配されるとする慎重論が優勢だったからだ。

そのため、新政権とのアコードに際しても、財政規律維持を求めるのではないかと見られている。

ただ、日銀幹部談話として報道されているところによると、

「経済成長がなければ難しい数字だが、2%を目標にしておくことはできる」

と前向きであることも伝えられている。

勿論、経済成長については、安倍晋三総裁は日本強靱化政策として、財政出動を示唆している。つまり、まず政府が借りて使うことで、有効需要の最初の歯車を回そうという政策だろう。

ただ、一方では相変わらず日銀の独立性を根拠に、新政権とのアコードに反発する向きもあるようだが、安倍晋三総裁の考えでは、日銀の独立性は障害にならない、ということを以下の投稿で書いた。

『日本のマスコミが歪めて報道している、安倍晋三総裁の経済政策論』(2012/11/25)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/303835016.html

日銀がここにきて金融緩和に前向きになっていることの背景の一つには、米国で問題視されている「財政の崖」がある。米政府が「財政の崖」問題への対応を誤れば、米経済が失速し、日本経済への悪影響が出るだろう、という想定だ。

もう一つ米国側の注意すべき動きは、FRB(米連邦準備理事会)が12日に、FOMC(連邦公開市場委員会)で、失業率が現在の7%台から6.5%台に下がるまで、ほぼ「無期限」のゼロ金利政策を打ち出したことだろう。

これに対して何も手を打たなければ、当然ドルの供給増に対し円が希少化し、円高圧力が強まっていく。手をこまねいていれば、当然日銀は非難される。

いよいよ民主党が全く無策だったデフレ対策が実施されようとしているが、マスコミの自民党叩きも始まるので、注意が必要だ。

つまり、経済政策というものは、瞬時で効果がでないということだ。これについて、経済学者の高橋洋一氏は大凡の目処を以下の様に示している。

金融緩和を始めて円安、株高が始まるまでは、約半年以内。

輸出増、消費増、設備投資増が始まるまでは約1年から2年以内。

そしていよいよ景気回復、雇用増加が始まるまでは、早くても2〜3年以内だろう、と。

しかしマスコミは、すぐにでも難癖を付けてくる可能性がある。



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