2012年12月04日

シリア、サリンを準備中か

前回の投稿で、ロシアのプーチン大統領がトルコを訪問した件について記した最後に、シリアが化学兵器を使うのではないか、という可能性に言及して終えた。

実際、どのメディアも確認を取れていないようなので、以下の記事の内容は憶測の域を出ないため、あくまで噂というレベルで紹介したい。

が、その噂に米国は注意している。

3日、首都ワシントンの大学で講演をおこなったオバマ大統領は、シリアが化学兵器を使う可能性について言及した。

「化学兵器の使用は一切容認しない。もしもこうした兵器を使用するという悲劇的な過ちを犯せば、重大な結果を招き、(アサド政権が)その責任を負うことになる」

警告である。同時に、オバマ大統領が言及したということは、かなり高い可能性として米当局が情報を掴んでいる可能性も感じられる。

その米当局者は語った。

「シリア軍が猛毒のサリンガス製造に使われる化学物質の合成を始め、反体制派や民間人への攻撃に使用される恐れがある」

この発言は、米当局が、複数の情報筋から先週末までに入手した情報が元になっているという。その情報には、既にサリンが砲弾に装填され使用されるだろう、というかなり具体的なものまで含まれているようだ。

この情報が事実であれば、アサド政権はかなり追い詰められている可能性がある。実際、米当局も同様の判断をしているようで、カーニー大統領報道官は述べている。

「(アサド)政権が通常の手段では反体制派を制圧できなくなり、化学兵器の使用に踏み切る可能性があるとの懸念が強まっている」

また、クリントン米国務長官も同じ日に語った。

「アサド政権が自国民に対して化学兵器を使用したことが確認された場合の対応について、詳細を語るつもりはない」

としながらも、

「しかしそのような事態が発生した場合、我々は確実に行動を起こす」

と、やはり警告モードだ。「確実に行動を起こす」とは、軍事介入を示唆しているようにも聞こえる。

このような米国などの反応に対して、シリア政府は否定している。シリアの国営テレビ局は、外務省や軍関係者の話であるとして、

「どのような事態になったとしても、国民に対して化学兵器を使用することはない」

と繰り返し放送している。

しかし国連はやはり同日、不要不急の職員全員をシリアからすぐに出国させることを発表した。

やはり化学兵器が使われる可能性が高いのだろうか。

一方、報道関係も独自で情報入手に走っている。

CNNが得た情報では、既にサリン製造に使われうる化学物質が、シリア政府軍によって調合し始めていることを確認したという。ただ、この情報元は、米政府高官ということなので、前述の情報源とおなじことになる。

また米NBCテレビも同様に米政府高官からの情報として、

「シリアは少なくともサリン製造の準備はしている。しかし、製造を始めたかどうかは明確でない」

と報道している。

アサド政権が化学兵器を使うかどうかで、米国の軍事介入の大義名分が揃ったとする可能性が出てきた。

以下、シリア関係の記事です。

『ロシアとトルコ、経済では協力、対シリア外交では距離』(2012/12/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/305180076.html

『シリアの砲撃に報復するトルコ。シリアは何故トルコを砲撃したのか。』(2012/10/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/295414151.html

『シリアは化学兵器を使用するか』(2012/07/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/282860806.html

『シリアで200人規模の虐殺。アサド政権側か、反政府側か。』(2012/07/13)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/280748896.html

『シリアは「戦争状態」にあると認めたアサド大統領に焦りが見られる』(2012/06/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/277587322.html

『シリア軍がトルコ軍戦闘機を撃墜。しかしNATOを敢えて刺激するだろうか。』(2012/06/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/276862619.html

『シリアのシャッビーハ(シャビハ)という狂犬の暴走』(2012/06/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/273939512.html

『撤退どころか越境し始めた。シリア軍の暴走が止まらない』(2012/04/10)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/263642669.html

『シリアに対し、一枚岩になれないアラブ連盟』(2012/04/01)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/261615315.html

『シリアのアサド政権を維持させたいロシアの思惑』(2012/02/06)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/250749829.html

『国際社会による軍事介入の可能性が高まるシリア政府の強硬姿勢』(2012/01/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/248074698.html

『シリアの自爆テロは、反体制派か、アサド政権の自作自演か』(2012/01/08)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/244957285.html

『シリアで任務についたアラブ連盟の監視団。しかしどうにも怪しい。』(2011/12/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/243414862.html

『シリアの報道は事実か?あまりに狂気を帯びた惨状が報じられている。』(2011/11/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/237704569.html

『リビア化するシリアの弾圧とアサド大統領の強硬姿勢』(2011/11/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/236176084.html

『シリアで何が起きているのか。シリア騒乱への経緯。』(2011/11/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/233918198.html



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