2012年09月24日

中国初の空母誕生。戦闘力としてはかなり怪しいが、国威は上がるだろう

23日午後、中国初の空母となる「ワリャク」が中国海軍に引き渡された。ワリャクはウクライナから購入した駆動装置の無い空母を、遼寧省大連で改修したものだ。まだ中国としての正式な名称はない。

いよいよこれで中国も遠洋戦力としての空母を手に入れたことになる。そのため周辺諸国はこれを脅威と感じるかもしれない。何しろ中国はあちらこちらの海で領海争いをしている最中だからだ。

ただ、中国としてはこの空母をあくまで科学研究や試験、あるいは訓練用であるとしている。たしかにこれを実戦配備しても、あの高速鉄道の様にこけたら、今度は埋めるのでは無く鎮める必要があり、世界的な恥を晒す可能性もあるからだ。だからあくまで研究・試験・訓練用としているのかもしれない。

とはいえ、密かに対日威嚇に使用する可能性もまだ捨てられない。尖閣諸島の接続海域あたりに現れる可能性もなくはない。実際、尖閣諸島の周辺にフリゲート艦が待機している。

『尖閣諸島で海上保安庁の巡視船ができることはどの程度か』(2012/09/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/293376157.html

引き渡し式では、空母に中国の国旗や軍旗が掲げられた。なぜ、この段階で正式名称が無いのか不明だが、とりあえず識別のためか「16」という番号が付けられている。この数字の意味は分からない。

ざっとスペックを見てみると、この空母の満載排水量は約6万7千トン、全長約305メートル、搭載可能戦闘機数は約40機とされている。

前述したとおり、元は旧ソ連時代にウクライナで建造され始めたものだった。しかし1992年にソ連が崩壊すると、当然資金が無くなったので、建造は中止された。

そのままでは巨大な鉄くずになるところだったが、1998年になるとマカオの企業が海上のカジノに利用するという奇妙な用途を提示して購入した。そして中国側にわたったというやや不透明で怪しげな経緯がある。

この空母をカジノではなく、空母として改修していることが分かったのは2005年ころだ。大連には2002年には届いていたらしい。

そして2011年の8月10日から、10回にわたる試験航行が行われていた。そしてそのまま試験用としているが、中国側の軍事専門家自身が中国紙で述べている。

「空母の就役は、中国が今後、諸島の領有権問題を解決し、海洋権益を維持するために重要な影響と作用を及ぼす」

可能性はある。何しろ日中友好協会幹部から、北京の日本大使館に日中国交正常化40周年記念式典の延期を通告したその日に空母引き渡しの式典を行っている、ということもなんだか思わせぶりだ。

しかも人民解放軍の羅援(ラ・エン)少将などは、この空母の名前を「釣魚島号」にすべきだなどと提案している。もう、使いたくて仕方ないのだろう。しかしやめておいた方が中国の為かもしれない。

まずこの空母、本来の設計段階では蒸気タービンエンジンが搭載されるはずだった。それが馬力のない一般船舶用のディーゼルエンジンを搭載してしまっている。これは艦載機としては馬力不足であることがあちらこちらから指摘されてしまっている。

また、今時スチームカタパルトが装備されていない。これは米海軍の空母を見ると分かるが、航空機を射出するための装置だ。つまり、これがなければ、中国初の空母では、航空機が艦首からスキージャンプ式に完全な自力で発艦する必要がある。中国の戦闘機はここから無事に飛び立つことができるのだろうか。場合によっては、海に飛び込む可能性がある。

そしてもう一つ、この程度の空母では、ミサイルを主力な武器として戦闘する現在の戦争では、面白いほど狙える的になってしまうというものだ。勿論、空母が動くときは護衛艦が付くが、前述した通り、この空母は馬力がないから足手まといになってしまう。

だから、あくまで国威発揚や周辺国への威嚇としての利用方法に限られそうだ。

ちなみに実際の就役は、間に合えば10月1日の国慶節(建国記念日)、あるいは同じく10月中に行われる共産党大会に合わせるのではないかと見られている。

と、私はこの空母自体は大した脅威では無いとみているが、この空母で今後得られるであろうデータは、中国海軍にとって、貴重なデータとなり得る。

現に、中国はこの後2隻の空母を感させさせる予定を表明している。それがいつなのか分からないが、それらの空母は、かなりましになっているはずだ。

以下、関連記事です。

『中国は尖閣諸島を「少しずつ」実行支配していく作戦に出たのか』(2012/09/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/293779585.html

『尖閣諸島で海上保安庁の巡視船ができることはどの程度か』(2012/09/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/293376157.html



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