2012年07月14日

ロンドン五輪の米国チームのユニホームが中国製だった。米議会は「燃やせ」と怒り

今頃になって発覚したことが少々滑稽だが、ロンドン五輪で米国代表チームが着用するユニホームが、中国製で有ることが判明し、米議会で騒ぎになった。

何しろ米国の繊維産業はさっぱり振るわない。というか明らかに苦境に立たされている。そのような時に、経済の起爆剤として利用されているオリンピックが、米国の繊維産業に全く(本当に全くなのだ)利益をよこさなかったことを指摘して──次の選挙の為のパフォーマンスだろうが──怒り狂う議員たちが騒ぎ出した。

議員達は叫ぶ。

「オリンピック委員会は恥を知るべきだ」

このユニホームを手がけたのは、米国の有名デザイナーであるラルフ・ローレン氏だ。まぁ、彼がデザインしたのだから米国のスピリッツは反映していると言いたいところだが、何しろタグには「Made in China」と表記されていた。

ラルフ・ローレン氏も慌てた。13日になると、発表した。

「2014年のソチ五輪は米国製になる」

もはやロンドンは間に合わない。ちなみにソチはロシアでの冬季五輪のこと。

しかし民主党のハリー・リード上院院内総務などは収まらない。

「すべてのユニホームを積み上げて燃やし、最初からやり直すべきだ」

無茶を言う。もう間に合わないって。気付くのが遅すぎるだろう。同じく民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務等も収まらない。

「我が国製造業が厳しい雇用情勢にある中で中国に外注するなんて。自滅的だ」

確かにそうだが、間に合わない。

しかも騒ぎ出したのは議員達だけではない。人権擁護団体まで騒ぎ出す始末だ。つまり、政治問題になった。

USOC(米国五輪委員会)のスコット・ブラックマンCEO(最高経営責任者)は声明を出した。既に選手団がロンドン入りしてしまいユニホームを配給する段階に入ったので、今から変更は「もう無理っ!」。

ラルフ・ローレン氏は面食らっただろう。何しろ中国製を採用したのは今回が初めてでは無かったからだ。まさかここまで大騒ぎになるとは。

実はカナダ・バンクーバーの冬季五輪での米国選手団ユニホームも、ラルフ・ローレン氏がデザインしたが、このとき既に中国製が一部に使われていた。

しかし今回は勝手が違う。ブレザー、ベレー帽、ズボン、スカート、靴にいたるまで、ぜーんぶ中国製だった。(デザインは記事最後のCNNの動画をご覧ください)

日本人の私でも、これは徹底しすぎだなぁと感じてしまう。中国側の「してやったり」顔が浮かぶではないか。

しかしUSOCも苦しいのだ。前後するが12日には声明を出した。

「同委の運営は民間の資金に頼っており、スポンサー企業の支援が必要」

そして、Twitter上でも、中国製に対する非難を「ばかげている」と逆ギレした。

同じTwitterやFacebookでは、米国民のナショナリズム向上か、激しい言葉が飛び交った。

「USOCは恥を知れ。」

「ユニホームは全て山積みにして燃やせ」

だからもう遅いって。

米国のアパレル業界は厳しい。そして今年11月の米大統領選は、雇用創出がテーマになる。この騒ぎは、選挙にも利用されるだろう。

ではどれくらい米国のアパレルや靴業界は厳しいのか。

実は米国で販売されているアパレル製品全てのなんと99%は外国製らしい。また、履き物製品もこれまた99%が外国製だ。

もはや保護すべき産業は残っていないとも言えるほど壊滅的ではないか。例えば米国のアパレル製造企業は10年前には35万社もあった。しかし現在は14万7300社しかない。

これほどの状況を、たかだか五輪のユニホームの製造で潤すことは無理だが、そこはやはり気持ちの問題というか、まずは自国の産業だろう、という気分は良く分かる。

米国だけではない。オーストラリアのユニホームも中国製で有ることが判明して騒ぎになっている。オーストラリアの場合は同国のオリンピック委員会が、財政的な余裕がないから仕方が無いと釈明している。

また、カナダでも北京オリンピックのときのユニホームが中国製であることが判明して議員達が騒いだという経緯がある。

ただ、米国は騒いで終わらない。民主党議員たち6名が、オリンピックに限らず儀式用のユニホームは米国製であること、とする法案を来週にも国会に提出することになりそうだ。

彼らは言う。

「多くの国民が失業し、工場が閉鎖されているなかで米国の象徴である選手が着用するユニホームの製造を中国に外注することは言語道断だ」

それほど米国の雇用問題は深刻なのだ。

『やっぱり労働市場は回復していなかった米国』(2012/07/047)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/279461543.html

USOCの広報担当者は言う。

「他の多くの国とは異なり、五輪米国選手団は公的な援助で成り立っているわけではない。われわれは米国の象徴的な会社であるラルフ・ローレンとの提携を誇りにしている」

ラルフ・ローレン氏も声明を出した。

「米国での製造を拡大するための課題に取り組むべく、業界および政府内での話し合いを主導すると約束する」

まぁ、こんなところで許してあげるべきだろう。

またUSOCのスコット・ブラックマンCEOも語った。

「われわれは全力を尽くしてスポンサーと協力し、指摘された懸念に対処するよう努める。それと同時に、国民の支持をお願いしたい。米国チームのメンバーはそれぞれこの一瞬のために全人生をトレーニングに捧げてきた」

ということで、ジリブランド上院議員はまとめに入った。

「米国最高の選手が国を代表して世界の舞台に立つとき、われわれは最高の米国製品を示すべきである。米国五輪選手のプライドは米国のイノベーションおよび製造業のプライドと切り離すことはできない。今年、米国を代表する選手が頭の先からつま先まで米国製ユニフォームを着用していないことに非常に落胆しているが、USOCとラルフ・ローレンがわれわれの声に耳を傾け、将来、この間違いを正そうと努力していることに感謝する。米国代表チームに声援を送ることを心待ちにしている」

この辺りが大人の落としどころだろう。

ただ、幼稚な中国は、ロンドンオリンピックのテレビ番組などで、「あの米国チームのユニホームは、全て我が国製です。」と誇らしげに放送するかもしれない。

なんだか忌々しい。

以下、CNNのニュース動画です。最初にCMが流れます。





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