2012年07月13日

シリアで200人規模の虐殺。アサド政権側か、反政府側か。

12日、シリア中部のハマ県タラムセというところで、政府軍とシャッビーハ(シャビハとも)による民間人への攻撃があったとされている。

シャッビーハは、政府支持派の民兵組織で、詳細は以下の投稿で紹介した。

『シリアのシャッビーハ(シャビハ)という狂犬の暴走』(2012/06/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/273939512.html

このハマでの攻撃では、反体制派組織の「地域調整委員会」によれば、220人が殺害され、その中には女性や子供達が含まれているという。シリア人権監視団(英国)は死者数を「150人以上」としているので、若干の違いが出ているが、死亡者が多いことに変わりは無い。

これがもしも事実であれば、これまででも最大規模のアサド政権による住民殺害となる。

が、シリアでは反政府側のテログループがアラウィ派(政府側)の民間人を虐殺するなど、実態がなかなかつかめていない。

例えば5月25日に108人が虐殺されたとされているシリア中部のホムスでの事件も、欧米日のマスコミは何の迷いも無くアサド政権による住民虐殺と非難した。

しかし、殺された人々を見てみると、そのほとんどがアラウィ派だった。アラウィ派はアサド政権側であり、シャビハのほとんどもアラウィ派であることを考えると、どうもこの情報は怪しかった。

しかもその殺しの方法が、至近距離から銃殺されたり喉をナイフで掻き切られるなど、アルカイダの殺しの方法に非常に近いという。

反政府勢力には、サウジアラビアに支援されたスンニ派の過激派であるアルカイダが含まれていると言われている。つまり、5月25日のホムスでの108人虐殺事件は、もしかすると、反政府側がアサド政権側のアラウィ派を虐殺した事件だったのかもしれない、という疑いは残るのだ。

それを欧米日のマスコミは、アサド政権側による住民虐殺と簡単に伝えた可能性がある。ただし、誤報だったのか、意図的な嘘だったのかは分からない。

だから、シリアで虐殺事件があった場合は、殺された側がアラウィ派か、スンニ派か、確認する必要がある。

さて、この度の12日のハマでの虐殺は、どうだろう。マスコミから入手できる情報では、今回はアサド政権側による住民虐殺の可能性が高そうだ。

一つは殺し方。戦車やへりがまず家屋を砲撃して破壊している。これは反政府側ではできそうもない。その後、シャッビーハとみられる民兵が住民を至近距離で虐殺している。殺し方はアルカイダに似ており、至近距離から頭を打ち抜かれた死体が多いという。

そして、決め手になりそうな情報は、殺害された住民のほとんどがスンニ派だったことだ。

ということで、今回はアサド政権側による虐殺の可能性が高い。

ちなみシリア国営テレビは、やはり武装テロ組織による虐殺があり、政府軍の兵士が3人死亡したとだけ伝えている。あっさりとしたものだ。

もし、事実が200人規模の虐殺だとすれば、国連安全保障理事会で欧米から10日以内に都市部で停戦を履行しなかった場合は制裁を科すとしている協議に影響を与えるかもしれない。

ちなみに、最近政権から離反した駐イラク大使や軍の精鋭部隊幹部は、共にスンニ派だ。つまり政権中枢部のアラウィ派と、多数派であるスンニ派の争いの様相を示し始めていると言えそうだ。

この度の虐殺事件を受けて、反体制派の「国民評議会」のサイダ代表は、国際社会に軍事介入を可能にする国連決議を求めている。反政府運動は昨年の3月頃から始まっているが、いよいよ死者数は約1万7000人に達している(シリア人権監視団による数字)。

国際社会はシリアに対して、いまだ有効な手を打てないで居る。


以下、これまでのシリア関係の記事です。

『シリアは「戦争状態」にあると認めたアサド大統領に焦りが見られる』(2012/06/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/277587322.html

『シリア軍がトルコ軍戦闘機を撃墜。しかしNATOを敢えて刺激するだろうか。』(2012/06/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/276862619.html

『シリアのシャッビーハ(シャビハ)という狂犬の暴走』(2012/06/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/273939512.html

『撤退どころか越境し始めた。シリア軍の暴走が止まらない』(2012/04/10)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/263642669.html

『シリアに対し、一枚岩になれないアラブ連盟』(2012/04/01)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/261615315.html

『シリアのアサド政権を維持させたいロシアの思惑』(2012/02/06)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/250749829.html

『国際社会による軍事介入の可能性が高まるシリア政府の強硬姿勢』(2012/01/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/248074698.html

『シリアの自爆テロは、反体制派か、アサド政権の自作自演か』(2012/01/08)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/244957285.html

『シリアで任務についたアラブ連盟の監視団。しかしどうにも怪しい。』(2011/12/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/243414862.html

『シリアの報道は事実か?あまりに狂気を帯びた惨状が報じられている。』(2011/11/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/237704569.html

『リビア化するシリアの弾圧とアサド大統領の強硬姿勢』(2011/11/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/236176084.html

『シリアで何が起きているのか。シリア騒乱への経緯。』(2011/11/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/233918198.html



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