2012年04月10日

撤退どころか越境し始めた。シリア軍の暴走が止まらない

シリアがアナン前国連事務総長と撤退を約束した10日を目前にし、さらなる戦闘の激しさを見せている。アナン前国連事務総長は国連とアラブ連盟の共通特使として約束しているため、このシリアの行いは、大方の予想通りとは言え、またも国際的な嘘つき呼ばわりされることになる。

しかし、今回はシリア政府も嘘つき呼ばわりされることを避けるために、直前で条件を出してきた。

すなわち、10日の期限の前に(もう時間がない)、反政府勢力側から、戦闘停止を文書で確約しろという。

それに対して反体制派武装組織である自由シリア軍は、

「停戦は国際社会との約束であり、政権側に文書を提出する考えはない」

と突っぱねた。つまり、停戦はもはや不可能ということだろう。

それどころでは無い。9日、シリア軍はトルコとの国境を越え、アサド政権の弾圧から避難していたシリア人のキャンプを銃撃した。

今分かっているところでは、この銃撃でシリア人2人が負傷しただけでなく、トルコ人通訳も1人負傷したという。

シリア政府の弾圧は収まるどころかより過激になっているため、トルコへの非難者も急増している。なんと2万4千人が国境を越えて避難したという。

トルコの国境だけではない。レバノンの国境も越えた。

同じく9日、シリアとレバノンの国境地帯で取材していたカメラマンが、シリア軍に撃たれて死亡した。

死亡したカメラマンはアリ・シャーバン氏30歳だ。取材で乗車していた車に向けて、シリア軍が銃撃したという。

しかも取材クルーは、シリア軍の兵士達に、取材中であることを訴えたにもかかわらず銃撃されたらしい。

この事態に、レバノンのミカティ首相が激しくシリア政府を非難した。越境した銃撃を行ったことに対し、調査と責任者の拘束を求めた。

これに対し、シリアの国営テレビ──つまりシリア政府──は、この事件が起きたとき、シリア軍がテログループから攻撃されたことに対する反撃だったと報道している。

真相が不明だが、これまでのシリア政府の行状から、胡散臭く感じられる。

上記の様に、シリア政府軍は暴走している。とても10日までに都市部から部隊を撤退させることができる状況には見えない。

しかも相変わらずシリア国内での弾圧も続いており、中部ハマでは29人が、北部アレッポでは30人が死亡している。

また、北部のイドリブなどではこの2日間で130以上が死んでいるという。

米国のヌーランド国務省報道官は、トルコの難民キャンプがシリア側から銃撃された事を強く非難した。

「シリアの政府による隣国の難民に対するいかなる攻撃も強く非難する。憤慨させられる事件だ」

また、10日の撤退期限についても、

「現場で起きていることに基づいて考えるかぎり、期待は持てない」

と述べ、シリア政府が信用出来ないという姿勢を示した。

結局、シリアとトルコ、あるいはレバノンなどの周辺国に避難した難民は、約3万9500人に上るとされている。その内訳は、トルコに1万7000人、レバノンに1万6000人、ヨルダンに6000人、イランに500人だという。

この事態にUNHCRは、今後半年間で難民が10万人を超えると推測しており、医薬品などの支援物資を都届けるために総額8400万ドル(薬68億円)の支援が必要であると、国際社会に呼びかけている。


以下、シリア関係の投稿記事です。参照ください。

『シリアに対し、一枚岩になれないアラブ連盟』(2012/04/01)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/261615315.html

『シリアのアサド政権を維持させたいロシアの思惑』(2012/02/06)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/250749829.html

『国際社会による軍事介入の可能性が高まるシリア政府の強硬姿勢』(2012/01/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/248074698.html

『シリアの自爆テロは、反体制派か、アサド政権の自作自演か』(2012/01/08)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/244957285.html

『シリアで任務についたアラブ連盟の監視団。しかしどうにも怪しい。』(2011/12/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/243414862.html

『シリアの報道は事実か?あまりに狂気を帯びた惨状が報じられている。』(2011/11/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/237704569.html

『リビア化するシリアの弾圧とアサド大統領の強硬姿勢』(2011/11/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/236176084.html

『シリアで何が起きているのか。シリア騒乱への経緯。』(2011/11/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/233918198.html



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