2011年11月29日

『面白い恋人』が、『白い恋人』に訴えられた。冗談だよ、ではすまなかったらしい。

「白い恋人」といえば、誰もが知っている北海道の定番お土産菓子だ。これをパッケージデザインから名称までぱくったパロディー版が「面白い恋人」という関西のお土産菓子。

なかなかにんまりさせるユーモアで、面白いパロディ作品として仕上がっている。

もちろん、「面白い恋人」を土産に買う人は、本家が「白い恋人」であることを知った上で買っているに違いない。ネタとして受けるからだ。

が、これが訴えられてしまった。大人げないなぁ、と思ったりもするが、本家にとってはシビアな問題だったようだ。

28日、「白い恋人」を製造販売している札幌市の石屋製菓は、「面白い恋人」の製造販売をしている大阪の吉本興業とよしもとクリエイティブ・エージェンシーなどにたいし、販売差し止めや商品の破棄を求めて札幌地裁に提訴した。

石屋製菓の言い分は、「面白い恋人」のパッケージが「白い恋人」のパッケージに似ていることを指摘した。もちろん、製品名はもっと似ている。確かに間違ってしまうそそっかしいひともいるかもしれない。

石屋製菓側はこのパロディに笑ったりはしなかった。

「長年の経営努力で築いた信用や名声に便乗し、不当に利益を得ることは許されない」

損害賠償さえ求める勢いだという。笑い飛ばす寛大さはない。

ただ、石屋製菓の島田俊平社長は、当初は見過ごすつもりもあったようだ。

「短期間で販売を終えると思ったが、東京でも売られ、見過ごせなくなった。悪乗りが過ぎ、全然面白くない」

いや、悪いけど消費者側にとっては、選択肢が増えて面白い。

このパロディ版の「面白い恋人」は売れ行きが良かったようだ。よしもとクリエイティブ・エージェンシーの広報担当者は戸惑う。

「口コミで広まり、売れ行きも良かった。突然の提訴で驚いている」

この「面白い恋人」は昨年の7月から発売されていた。本家がホワイトチョコレートを薄いクッキーで挟んだ焼き菓子なのに対し、「面白い恋人」はゴーフレットで、みたらし味のクリームが挟まれている。その塩気と甘みのバランスも良いと評判だ。これが売れてしまった。

関西のお土産と言うことで、なんばグランド花月、JR京都、新大阪、新神戸、関西空港、都内などで売られている。16枚入りで1050円(税込み)だ。特設コーナーが設けられるほどの売れ筋商品になっている。それがまた、本家に反感されたのだろう。

ちなみに、「白い恋人」は、1976年から販売されている北海道土産の定番だ。知名度も全国的で高い。昨年度の売り上げは約72億円にのぼっている。そのうち、外国人による売り上げは20億円を超えるのではないかと言われており、海外でも知られているようだ。

これはパロディ版を売ってみたくもなる。

それにしても、この訴訟、意味があるだろうか。というのも、両社の販売地域が異なるため、競合することは考えられない。むしろパロディ版が存在することで、本家の知名度も上がるのではないか。

しょせんパロディ版は、本家あってのものだ。石屋製菓は「面白い恋人」の売り上げに基づいた損害賠償を請求するとしているが、その金額には根拠がない。競合しないからだ。

それにしても少々しらけるのは、石屋製菓側の前述の発言だ。

「長年の経営努力で築いた信用や名声〜」

間違ってはいないが、信用や名声を自ら汚したこともある。

2007年8月。本家「白い恋人」の一部に、賞味期限の改竄をして販売していたことが問題となったのだ。このとき、販売停止になった。

ただ、このあとの企業努力は認めねばならない。販売停止は約100日で済んだ。個別包装ごとに賞味期限を印字するようにし、製品検査の徹底も行われた。

ついでに、ワンパターンを脱するため、チョコレートバージョンも作られた。現在では白い恋人ブラックや白い恋人チョコレートドリンクも販売している。

ということで、「白い変人」などというパロディを出したら、相当非難されるに違いない。



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