2011年11月20日

リビア化するシリアの弾圧とアサド大統領の強硬姿勢

シリアでのデモ弾圧が、エスカレートしている。またデモ側も、政府軍から離反した兵士が加わることで、より攻撃力を増している。

このシリア騒乱が起きるまでの経緯については、以前投稿した以下の記事を参照していただきたい。少々長い記事になっているが、このたびのシリアの騒乱が起きるまでの経緯についてトレースしている。

『シリアで何が起きているのか。シリア騒乱への経緯。』(2011/17/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/233918198.html

アラブ連盟は、シリアに最後通告を出していた。その期限が終了する20日かけての深夜までに、さらに17人が殺されている。

政府による弾圧は、非情さを増している。

デモ隊には政府軍を離反した兵士も加わったことで、その衝突は過激になっており、シリア北西部のハマやジャバル・アッ=ザーウィヤが主な衝突の場と化した。

17日に、アラブ連盟はシリアに対して、3日以内にデモ隊への武力弾圧を停止した上で、外国からの監視団を受け入れることを最後通告していた。

しかし、シリアのアサド大統領は、英紙「サンデー・タイムズ」のインタビューで答えた。

「シリアは敗北を認めない。」

そして、外国が承認するシリアに対するあらゆる行動が、中東情勢を不安定にするのだと主張した。

その上で、アサド大統領は、武装グループの排除と隣国からの武器供給や妨害の試みを防ぐことだけが、現状を打開する唯一の方法なのだと語った。

まるでリビアのカダフィ大佐を彷彿とさせる態度ではないか。

しかもアサド大統領は、同インタビューでこうも語った。

「必要であれば戦い、そして死ぬつもりだ。」

ますます政権末期のカダフィ大佐を思い出させる。

そして20日午前0時、アラブ連盟の最後通告による猶予期限が終了した。

既に3月半ばに始まった反体制デモへの弾圧による死者は、3500人を超えているという。

アラブ連盟は、最後通告で、デモ隊への武力弾圧を止めなければ、制裁行動をとることを表明していた。

ヨルダンのアブドラ国王も、アサド大統領に辞任を迫っている。

アサド政権を包囲しているのは、欧米だけではなく、アラブ諸国も含まれているということだ。孤立化が進んでいる。

そのような20日、アサド大統領の与党バース党のビルに、少なくとも2発のロケット弾が打ち込まれたという。

反政府側も武装しているのだ。

この反政府側の武力の背後には、政府軍からの離反兵士や、トルコに拠点を置く「自由シリア軍」がある。

するとアサド大統領も、政府側の被害を強調している。

「これまでに800人もの警察官や兵士が反政府勢力によって殺害された」

そのことを踏まえて続ける。

「私には大統領として過激派の暴力から国民を守る義務がある。好き放題にさせるわけにはいかない」

だから弾圧は正当な行為だと主張した。

アラブ連盟はおそらく、まずは経済的な制裁から発動するのではないかと思われる。

いずれにせよ、なにやらシリアがリビアのような強硬な弾圧行動に進む姿が見えてきている。

前述したが、このたびのシリア騒動への経緯については、以下の投稿を参照されたい。

『シリアで何が起きているのか。シリア騒乱への経緯。』(2011/17/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/233918198.html



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