2011年09月21日

ベストセラー『デフレの正体』の酷評に、感情的なコメントを書き込み名誉毀損で訴えられた藻谷浩介

その著者の名を藻谷浩介氏という。さらに困ったことにこの藻谷浩介氏は、日本政策投資銀行地域振興グループ参事役であり、復興構想会議検討部会の委員でもあるという立場にいる。

札幌市の男性が、昨年の7月にブログで藻谷浩介氏の著書でベストセラーとなった『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』に対し、「経済的バックボーンが無い」と批評した。この批評自体は正しいとも思えるし、ある本について、読者がどのような評価をしようと全く問題は無いだろう。
(ちなみに私も同著を読んでおり、感想をブログに投稿しているので、記事の最後にURLを記載しておきました。参照ください。)

ただ、それを多くの人が見るブログ上で行ったことがこのたびの問題を引き起こした。

なんとこのブログを読んだ著者の藻谷浩介氏は、そこにあまりに幼稚なコメントを書き込んでしまったのだ。

「早く死んで子供に財産を残せ」

まぁこれだけ読んでしまうと、非常に悪質なコメントだが、実はこれは、藻谷浩介氏が著書で触れているデフレ対策の一つなのだ。

すなわち、高齢者の貯蓄(消費に使われない)を、若者に移転し、消費させることでデフレ対策となる、ということを、下品な言葉で主張したことになる。最も、この主張(つまり所得移転政策)は正しいとは思えないのだが。

しかしブログにこのような「早く死んで」といった悪質な表現を書き込まれた男性は、藻谷浩介氏を名誉毀損で訴え、60万円の損害賠償を求めた。

その結果、21日に札幌地裁は、この男性の訴えを受け入れ、藻谷浩介氏に10万円の支払いを命じた。個人的には60万円でも良かったと思うのだが…。

石橋俊一裁判官の判決理由はもっともだ。

「コメントは学問上の論評を超え、ことさら男性を侮辱するもので不法行為を成立する」

これに対し、藻谷浩介氏は、

「経済学的な論争で、名誉を傷つけられたことへの反論」

と主張していたが、正しくないことが書かれている本に対して、正しくない、と評価することは、名誉を傷つけたことには成らないだろう。

むしろ、この本を読んで、誤ったデフレ政策の知識を信じてしまいかけた読者にとっては、貴重な忠告となり得るし、そのことがこの国の経済政策を正しく判断するきっかけとなり、民主主義が有効に働くために役立つ可能性すら有る(ちょっと広げすぎたか)。

書物が常に正しいということはあり得ないし、学説や評論といったものは、それこそ人それぞれの主張があって良い訳なので、藻谷浩介氏が著書の中でどのような主張をおこなおうと構わないが、その誤りを正そうとした批評にたいして、「早く死んで」などと反論するのは、あまりに大人げない。

かつて著書を読んだことがある者としても、非常にがっかりした。

以下、当方の読書感想のURLです。参照ください。

≪『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』藻谷浩介≫(2010/10/20)
http://tuukinndokusyo.seesaa.net/article/166530058.html



posted by しげぞう | Comment(4) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本当のことが言えない国になってきましたねえ。
Posted by at 2012年12月10日 21:59
あ、微妙なコメントありがとうございます。「本当のこと」を言ったのは、藻谷氏でしょうか、訴えた人でしょうか…。
日本語は難しいですね。
Posted by 管理人 at 2012年12月10日 22:36
団塊は邪魔。
言い訳はもううんざりだ
Posted by あかさ at 2013年01月14日 16:31
あかささん、コメントありがとうございます。

結局、団塊の世代は(勿論個人差やさらに細かな世代による相違はありますが)、日本の高度成長期の最も美味しい部分を食って生きている、といった印象がありますね。

また、人口の遷移がデフレに影響を与えているというのも、納得しやすい説です。

しかし、日本以上に少子化が進んだロシア、韓国、ドイツなど諸外国はインフレでした。

要するに、デフレもインフレも、人口遷移に関係なく起きると考えなければ、正しい経済政策を誤ってしまいますね。

さて、アベノミクスはどうでしょうか?
Posted by 管理人 at 2013年01月14日 17:17
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