2011年08月03日

サウジアラビアで世界一高層タワー建設計画。人はどこまで上りたがるのか

人はバベルの塔以来、高さで競いたがるらしい。特に大富豪は競争心が強い。

2日、サウジアラビアの世界的富豪であるワリード・ビンタラール王子が率いる投資会社であるキングダムホールディングスは、西部の主要都市であるジェッダに高層タワーの建設計画を発表した。

タワーの名は「キングダムタワー」。高さはなんと1000メートルを越す予定だという(具体的な高さは未発表)。

この建設契約を獲得したのは、あの米国に殺害されたウサマ・ビンラディン容疑者の一族が経営するビンラディン・グループだ。

建設費は46億サウジ・リヤルで、日本円にすると約950億円。

このキングダムタワーが完成すれば、現在世界一の高さを誇るアラブ首長国連邦のドバイにそびえるブルジュ・ハリファ(828メートル)を超えてしまう。

どこまで競争したがるのか。これほど高い建築物のメンテはどうなるのか、水周りの設備はどうなるのか、そもそも老朽化したら、どうやって解体するのか、など、余計な心配をしてしまう。

しかしワリード・ビンタラール王子は、決して「誰よりも高いタワーを建てたかった。」とは言わない。一応、国家の繁栄のためというのが建前だ。

「聖地メッカへの重要なゲートウェイとして、ジェッダの歴史的重要性もあり、文化的意義もあり、新たなランドマークとなるほか、雇用を作るなど地域経済に与える影響も大きいと考えています」

もう、次の記録が抜かれるまでの暫定世界遺産に登録してはいかがか。とりあえず、完成すれば自動的にギネスブックには認定されるだろう。

ちなみに、完成までは5年掛かる見込みだが、まだ正式な着工時期は発表されていない。それまでサウジアラビアが安泰かどうか──と思ったら、それについてもワリード・ビンタラール王子はコメントしていた。

「周辺各国で革命などの混乱が生じているにもかかわらず、サウジアラビア人が母国に投資していると世界にアピールすることにもなり、政治的側面も持つ」

なるほど。

それにしてもサウジアラビアも他の革命が波及している南アフリカ諸国同様、富の偏りは激しい。特にオイルマネーの偏りが、例えばリビアの内紛のきっかけになったことを連想してしまう。

だから、私にはこのタワーは、むしろ格差社会のシンボルにすら思えてしまう。

サウジアラビアは石油でいくらでも金があるように思えるが、GDPは九州の75%と案外小さい。資源の輸出以外の産業が育っていないことの表れであろう。

そのため、ワリード・ビンタラール王子は「母国に投資」とあえて述べたのは、天然資源の輸出により獲得した外貨は、海外への投資で運用しているというのが実態だからだ。つまり、オイルマネーは国民には還元されにくい運用となっている。

サウジアラビアの不安要素としては、物価上昇率が4.5%(2010年)であると同時に、失業率が10.5%(外国人労働者を除く。2009年)と高いことだ。

「キングダムタワー」は、何を象徴することになるだろうか。

ちなみに、完成予想模型の写真がYOMIURI ONLINEにアップされていたので、URLを以下に記しました。

http://www.yomiuri.co.jp/photo/20110803-422701-1-L.jpg





posted by しげまる | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック