2011年07月27日

ノルウェー同時多発テロの背景-2

7月23日に起きたノルウェーでのテロ事件について、前回その背景を想像して投稿した

『ノルウェー同時多発テロ事件の背景』(2011/07/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/216352895.html

前回の投稿では、このたびのテロの背景には、現在ノルウェーが抱える社会的不満があるのではないか、と想像した。その中に、移民を受け入れる現政権への不満ということに触れたが、どうやら拘束されたアンネシュ・ブレイビク容疑者の動機もそのあたりにあるらしいと分かってきた。

このテロ行為の標的は与党である労働党であることはほぼ確実だろう。アンネシュ・ブレイビク容疑者は語った。

「欧州をイスラム化から救うため」

それがテロの理由だという。確かにこのたびの移民への不満は、ノルウェーだけの問題ではなく、広く欧州全体がかかえる問題とも言える。

そして、アンネシュ・ブレイビク容疑者はこのたびのテロが起きてしまったのは、労働党がイスラム教徒の移民受け入れを推進したことに責任があるのだという。

ところでこのたびの多発テロは単独犯なのかどうかはまだ分かっていない。アンネシュ・ブレイビク容疑者は協力者の存在をほのめかしているとも言うが、怪しい。現在のところ捜査関係者は単独犯である可能性が高いと見ているようだ。

このアンネシュ・ブレイビク容疑者は、既にネット上に1518ページという膨大なページ数のレポートを公開していた。私は読んだことはないが、どうもその内容はやはり移民、特にイスラム系移民に対する危機感について述べているようだ。

アンネシュ・ブレイビク容疑者に言わせると、イスラム文化は、イスラム教徒を欧州に移民として大量に送り込むことで、キリスト教文明を征服しようと企んでいるのだという。

そして、自分こそは、「現代のテンプル騎士団」として、戦うのだと宣言する。

まぁ、イカレている、と言ってしまえばそれまでだが、アンネシュ・ブレイビク容疑者というのは、欧州のイスラム教徒や移民に脅威を感じる人々の象徴かもしれない。

ノルウェーに限らず、欧州全体が移民に対して排外主義化していると言われる。やはりイスラム教徒を中心とした異文化をもたらす移民の急増による社会不満が高まっているのだろう。

不満の主なものは、以下の2つだ。

・雇用が移民に奪われてしまう。

・移民を受け入れる制度が、社会保障制度を移民に食いつぶされてしまう原因になる。

例えばノルウェーでは、過去40年で移民が10倍に増えたということがネイティブの脅威になっている可能性が高い。

そのため、前回の投稿でも触れたが、この移民を排除する政策を主張することが、野党である進歩党が躍進する一因となっている。

そのような排外主義が欧州全土で見られている。一部の国ではイスラム教徒の女性が身につけるブルカが禁止になったりしている。

英国やドイツでは既に、「多文化社会」は失敗だ、と言われている。異人種や異教徒の共生は非常に困難だと身にしみて分かったと言うことか。

多文化社会、あるいは多文化主義というものは、移民の文化を尊重する、という言い方で野放しにしてしまう。

極端な喩えだが、日本に「日本語を話せない移民」が日増しに増え、しかも安い労働賃でどんどん職場に浸透するかと思いきゃ、社会に適応できずにどんどん貧困層を形成していく。

しかも彼らは貧困層であるが故に税金は免除され、真面目に働いたネイティブ日本人の収めた金による社会保障にはただ乗りできるという状態になったらどうだろう。

やはり不満が起きないだろうか。さすがにビルを爆破したり、政権与党の青年団を銃殺するようなことな無いにしろだ。

スウェーデンなどは、今のままの勢いで移民を受け入れると、2050年までには国民の半分が言葉の通じない移民になるとまで言われている。想像ができない。

この現実に危機感を抱く欧州人が居ても当然だ。後はどれだけその危機感を過激な主張や行動に移すかで、テロか社会運動かの分かれ道と成るのではないか。

それではアンネシュ・ブレイビク容疑者がテロを実行したノルウェーはどのような状況なのか。

在ノルウェー日本国大使館が作成した『ノルウェーの移民統計と社会統合に関する概要』(http://www.no.emb-japan.go.jp/Japanese/Nikokukan/imintoukeitoshakaitougou.pdf)という小さなレポートがある。

このレポートをダイジェストしてみたい。

2009年から2010年の1年間にノルウェーに移民した移民数は38600人に上る。

そのうちの38%は労働移民だ。31%が家族移民、14%が人道的観点からの保護移民、9%が教育・訓練・文化交流移民という構成だ。つまり労働移民が主流である。

2010年の統計では、移民1世と2世を合わせると、ノルウェーの人口の11.4%を占めるに至っている。つまり、既に国民の10人に1人以上が移民だ。

ここで問題は、移民の失業率が増加傾向にあったということだ。そのままでは貧困層が拡大してしまう。

そこで、ノルウェーは政策として、移民の社会参加促進を掲げてきた。その効果が出ているため、移民とネイティブの生活基盤の格差は重要な分野では薄まったとされている。

しかし、移民には永続的貧困に苦しむ割合が高い。

さらに移民を援助する政策が行われた。移民への言語教育を含めたプログラムの用意だ。

その成果として、16〜19歳の移民2世の就学率と就労率が高まっている。そして逆にネイティブにとっては不満の原因と成る状態が出現している。

すなわち、ノルウェーの人口全体での就労率が71.6%から69.7%に落ち込んだにもかかわらず、移民の就労者人口は増加してしまったのだ。

これが何を意味するのか。

より具体的に表すと、国全体では28000人が職を失ったと同時に、移民の就労者は10100人増加したのだ。

ネイティブの移民に対する脅威が増すのは目に見えている。

この辺りに、アンネシュ・ブレイビク容疑者がテロ行為に及んだ背景があるのかもしれない。





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