平和な北欧の国で、惨事が起きた。
ノルウェーの日本での正式名はノルウェー王国だが、以下の記事では単にノルウェーと表記する。
7月22日午後3時頃(現地時刻)、ノルウェー首都のオスロ中心部にある政府庁舎付近で爆発事件が起きた。この政府庁舎の最上階に首相府がある。
しかし、首相のイェンス・ストルテンベルクはこのとき不在だったため、爆発からは逃れた。
ただ、この爆発は政府庁舎のみならず、石油・エネルギー省の庁舎に火災を誘発するなど、付近の複数の建物に損害を与えている。
また、付近に大破した自動車があったため、車爆弾による犯行ではないかと見られている。
ただ、目撃者によっては、爆発が複数回あったとの証言もあるようだ。
そしてこのオスロでの爆破事件の後、オスロ近郊のウトヤ島で銃の乱射事件が発生した。
当時ウトヤ島では、ノルウェー労働党(与党)の青年部が集会を開いており約700人の10代青年たちが参加していた。
オスロでの爆破後、この島に偽の警察官が現れ、爆破テロ捜査と偽り参加者を集めた。
そして現地時刻5時30分ころ、銃を乱射した。
以上がノルウェー同時多発テロ事件の概要だ。
一体ノルウェーで何が起きているのか。
先に起きたオスロでの爆発事件では、少なくとも7人が死亡しているという。その後起きたウトヤ島での銃乱射事件では84人の若者が死亡した。合計91人もの死亡者がでたテロ事件となった。
また、事件後、島からは爆弾も発見された。これはさらなる被害拡大を狙っていたことを想像させる。しかも狙いはイェンス・ストルテンベルク首相だった可能性も高い。
というのも、翌日にはこの島にイェンス・ストルテンベルク首相も訪れる予定が有ったためだ。犯人はこれを知っていた可能性がある。
銃の乱射事件については、ノルウェー人のアンネシュ・ブレイビク容疑者が逮捕されている。
まだ犯行の動機や、オスロの爆発テロとの関係が分かってはいないが、少なくとも事件発生直後に憶測されたイスラム主義者の犯行ではないと言えそうだ。
というのも、逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者は、保守的なキリスト教徒だからだ。
事件翌日に会見したイェンス・ストルテンベルク首相はまだ動機を推測するのは早いとしているが、地元のメディアは既に極右勢力との関連性を報道している。
というのも、アンネシュ・ブレイビク容疑者が犯行前にFacebookに書き込んだ内容に、右翼的で反イスラム的な政治傾向が現れているとされているためだ。
また、爆発場所や銃乱射対象から、現政権に対する攻撃であることが憶測される。
同時多発テロということで、単独版ではない可能性もあり、場合によっては組織犯行の可能性も残っている。
現政権与党は労働党であり、イェンス・ストルテンベルク首相が移民政策を進めていることへの不満が動機ではないかとも推測されている。
他にもノルウェーがアフガニスタンでの北大西洋条約機構の軍事活動に参加していることや、リビアへ派兵していることへの不満ではないかとの憶測もあるが、これは逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者との関わりは今のところ薄い。
また、テロの3日前に、閣僚経験者暗殺計画が合ったとして、ノルウェー検察当局がクルド系イスラム組織創始者を在宅起訴したことへの報復ではないかとの見方もあるが、これもやはりキリスト教系であるアンネシュ・ブレイビク容疑者との関係はなさそうだ。
ノルウェーとはどのような国なのか。
立憲君主制による議会政治を行っているという点では、日本人は想像しやすいかもしれない。国王は国の象徴であり、儀式や式典への参加が仕事と成っている。
一応、首相と内閣を任命するのも国王の仕事だが、こちらも実際は議会が王の名の下に行っている。
経済状況はどうか。
GDPは神奈川県とほぼ同じ規模とされており、2009年の実績では約32兆円だった。
どうしても私などはノルウェーサーモンや鯖といった漁業の国というイメージを持ってしまうが、実は北海油田が発見された1969年以降は世界第6の原油輸出国となっている。ガス田の開発も進んでいる資源輸出国だ。
ただ、石油の採掘を行っている企業は発行株式の半分以上を国が保有しているなど、ほとんど国有企業の様になっている。
そのため、この豊富な資源が、この国の高い福祉を支えていると言える。
これだけ石油がガスが豊富なのだが、実は水資源も豊富なため、水力発電が盛んでもある。その分、石油やガスは輸出に回せると言うことだ。
ただ、税金が非常に高いことでも知られており、なんと世界一ということでギネスブックに載っている。
国民については、就学率や識字率が非常に高く、世界トップクラスとされている。また、男女の平等についても世界一実現されている国と言われる。但し徴兵制があるが、こちらは男性だけの義務だ。
宗教はどうなっているか。
ノルウェーには国教がある。ルーテル教会だ。ルーテル教会はその名の通り、ルター派なので、代表的なプロテスタントだろう。
ただし、国民全員がプロテスタントというわけではなく、数パーセントと少数だが、ローマ・カトリック他のキリスト教信者も存在する。また、キリスト教以外の信者も居る。
ただし、アンネシュ・ブレイビク容疑者がどの宗派なのかは今のところ分かっていない。
ところでこのたび攻撃対象と成ったのは労働党だが、対する第3党である進歩党の政策を見ると、僅かにノルウェーの現政権への不満が見えそうだ。
というのも、その現政権への不満が増加していることで、進歩党が議席を伸ばしているためだ。
まず、進歩党は移民政策に反対の立場をとっている。その根拠は、「ノルウェーは男女平等で、福祉の進んだ国家である。故にまったく考えの異なる移民を迎えるなど到底出来ない」というものだ。
つまり、現政権は移民政策を進めようとしているということであり、そのことに対する国民の不満が増えていると考えられる。
また経済政策としては、新自由主義なのかどうかわからないが、ともかく市場原理主義であることは確かなようだ。これはやはり現政権が社会主義的な政策を目指していることに反する。
さらに進歩党が掲げている政策に、累進的課税の除去というものがある。さすがにギネスブックに載るほどの高い税率に国民は不満を持っているのだろうということが想像できる。
と、ここまで見てくると、一見平和なノルウェーだが、その内部には、現政権の政策への不満が増加している可能性を感じることができる。
このたびの同時多発テロが、現政権への不満に基づくものかどうかはまだ分からないし、逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者がオスロの爆破テロに関係しているかどうかもまだ分かっていない。
この平和に見える北欧の国で、何が起きているのだろうか。
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