2011年07月18日

地球形成時の余熱、地震や火山の謎は解けるか

18日、英科学誌ネイチャージオサイエンス電子版に、東北大ニュートリノ科学研究センターの井上邦雄教授らの国際研究チームの研究成果が掲載される。

内容は、地球が形成された約46億年以上も前に発生した熱が、今なお地球の内部に残っているというものだ。

これは地球内部の放射性物質の崩壊によって発生する「地球ニュートリノ」の観測結果である。

現在地球の内部で生じている地熱は、約44兆ワットと言われている。この膨大なエネルギーが、マントル対流や大陸の移動、あるいは地震などのエネルギー源だとされている。

この熱はいったい何に由来するのか。

岐阜県飛騨市に東北大のニュートリノ観測施設「カムランド」がある。KamLANDと書くが、その名称はKamioka Liquid Scintillator Anti-Neutrino Detector (神岡液体シンチレータ反ニュートリノ検出器)の略称だ。

カムランドは岐阜県飛騨市神岡の鉱山の地下1000メートル深くにある。

似たものにカミオカンデやスーパーカミオカンデがある。こちらは陽子崩壊検出を目的として建設された。地中の巨大なタンクに超純水を貯めておく。するとそこにニュートリノが飛来すると、水分子中の電子が衝突して、チェレンコフ光を検出することができ、その現象でニュートリノを検出する。

一方カムランドは、その装置はスーパーカミオカンデに似ているが、中に入っているのは粘性のある液体シンチレータという物質だという。そしてその周囲をオイルで覆うことで、低エネルギーのニュートリノを検出できるというものだ。

その様な装置であるカムランドで、7年8ヶ月の間に地球ニュートリノを106個検出した。

そして地球ニュートリノを検出できる割合から、地球内で放射性物質を起源とする熱が約21兆ワットであることが判明するのだという。

それを地熱の約44兆ワットから引けば、残りは約23兆ワットとなる。これが地球形成時に発生した熱の残りとなる。

かつて宇宙の塵が固まり、約46億年以上前に鉄などの重い物質が溶解して中心に沈んだ。これが地球の核を形成する。このときに、発生する重力エネルギーが熱に変換されたと考えられている。

そして今回放射性物質を起源とする熱を差し引いた熱が、この地球形成時の熱の残りなのだという。

井上邦雄教授は語る。

「地球ニュートリノを道具として、地球内部を調べることが可能になり、今回は謎の一つを解明できた。地球科学の謎はまだあるが、地球ニュートリノ観測によりさらに解明が進むだろう」

ところでこの地球ニュートリノだが、物質を形成する6種類の素粒子であり、その一つが地球ニュートリノと呼ばれる「反電子ニュートリノ」だ。これは地球内部のウランやトリウムの崩壊で発生し、その際、熱も発生する。

この観測が難しかった。何しろこの反電子ニュートリノは、人体のみならず、地球そのものを通り抜けてしまうためだ。それが2005年に、井上邦雄教授らの国際研究チームにより検出できることが発表された。

このたびの研究がさらに進めば、地震や火山の噴火のメカニズム解明にも役立つという。この地熱が地震や火山活動のエネルギー源だとされているからだ。



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