2011年06月19日

福島第1原発事故に手をさしのべる仏アレバ社の遠謀

18日未明、福島第1原発で稼働開始した高濃度汚染水の浄化システムが約5時間で運転を停止した。

これはセシウム吸着装置の放射線量が想定以上に早く交換基準に達したためだ。

このことで同日中に開始を予定していた「循環注水冷却」が先送りと成った。

ただ、このトラブルに対して松本原子力・立地本部長代理は楽観視している。

「想定している原因であれば、汚染水の移送先がいっぱいになる1週間後までに解決できる。全体への影響はない」

まぁ、東京電力他の原発関係者は、常に楽観的な発表をしながら、危機的状況を小出しにしてきた。今回も当てにはならない。

この早くも交換基準に達してしまったセシウム吸着装置の交換は、1ヶ月に1回程度と見込まれていたものだ。

この装置にはセシウムなどを吸着するための鉱物ゼオライトを詰めた機器が中に複数個入っており、線量計が備えられているといったものだ。

この線量が毎時4ミリシーベルトになった段階で、ゼオライトが詰まった機器を交換することになっているのだが、これが早くも4.7ミリシーベルトに達してしまったのだ。

何が起きたのかまだ調査中だが、現在予想している原因としては、この機器の線量計が、周辺にある配管内のの汚染水から出る放射線も検出したためではないかと言う。

だが、他にも想定を超える高線量の汚泥が流れ込んだ可能性もある。

今のところ、汚染水が漏洩しているなどのトラブルは確認できていないとも言う。

この循環注水冷却のシステムは、米キュリオン社と仏アレバ社の放射性物質除去装置を組み合わせたものになっている。これらの除去装置で油や塩分も取り除き、浄化された水をタンクに一旦貯めて、再び炉の冷却に使用するという仕組みだ。

ともかくこの部分の原因究明と対策が行わなければ、7月中旬を目処にしている原子炉の安定的な冷却は絶望的になる。

既に汚染水を一時的にためる移送先は満杯寸前だ。この循環システムが作動しなければ、今月(6月)末にも原子炉から汚染水が敷地や海洋にあふれ出すことになる。

但しこの循環システムがうまく作動すれば、1日に1200トンの汚染水を浄化できるという。

ところで、この「循環注水冷却」をうまく作動させれば冷温停止を来年の1月までに達成できるとしているがその費用はいかほどか。

東京電力は汚染水の送料を25万トンとし、531億円になるだろうと見込んでいる。

しかしそれは甘いと言われている。というのも、仏アレバ社は、常にその後の工程を別サービス料金として請求する営業スタイルをもっているからだ。

彼らにとっては、原子力発電所の設置も金になるが、このようなトラブル処理は、だらだらと稼ぐのに非常に都合の良いビジネスとなる。

結論として、東京電力が見込んでいる531億円は、最初の浄水処工程の費用でしかない。

つまり、この浄水処理で発生した放射性物質を含む大量の沈殿物の処理費は別料金だということだ。ここでもアレバ社は一儲けすることを狙っている。

アレバ社の装置はこの循環注水冷却システムの中で、除染装置と蒸化器を請け負っている中核装置だ。

この装置がやっていることは、放射性物質を薬品と結合させて沈殿させる。その上澄みをすくうことで最終的にはセシウムやヨウ素の濃度を1万分の1に低下させることができるという。

ここまででも大変な費用だが、アレバ社日本法人のレミー・オトベール社長はテレビ番組でこのたびの契約について説明していた。

「私たちの契約はこの設備を提供することです」

そしてこの契約が、その後の段階を含んでいないことにも言及している。

「第1の契約は(汚染水から放射性物質を)分離して、もう一度(冷却水として)問題なく使えるようにすることです。沈殿物を処理し、固化し、ストック可能にするというのは、第2段階です」

そう、放射性廃棄物の処理に関する契約は行われていなかったのだ。アレバ社はこの廃棄物処理に関しては別料金で新たな契約が必要だと言っているのだ。

さらにはまだ燃料貯蔵プールに1万本以上放置されている使用済み核燃料の処理も受注するつもりらしい。それを裏付ける発言を『電機新聞』(5月19日)に答えている。

「燃料貯蔵プールの水や燃料棒の状態を把握するため、小型の機械で調査する必要がある。(中略)燃料棒を保管し、それから再処理するために輸送することになる。要請があれば、これらの作業を当社が請け負える」

福島第1原発の事故発生直後から、日本に救いの手をさしのべる様にアレバ社は振る舞った。

アンヌ・ロベルジョンCEOは100人近い技術者を引率して来日した。また、数々の提案を行った。

しかし、これは非常に巧みな営業だった。とはいえ、それが分かっていても、日本側はここにすがるしかない状況でもあった。アレバ社にとっては、いくらでもふっかけることができるカモになっていたわけだ。

しかもアレバ社のこの「後出し」営業スタイルは、核廃棄物処理というやっかいな作業では非常に有効だ。日本では既に実績がある。

それは、六カ所再処理工場の建設に関するアレバ社の営業スタイルだ。

そもそも六カ所再処理工場はアレバ社の技術が使われている。当初の建設予算は7600億円だった。

しかも稼働予定は1997年予定だったが、様々な理由・事情で20回近くも工期が延期され、とうとう現在までに2兆1930億円もの金が使われてしまった。

しかもまだ本格的な稼働は開始されていない。つまり今後も金が費やされると言うことだ。

そしてアレバ社はしたたかだ。福島第1原発の処理で売り上げる金額は、そのうち東京電力では支払えなくなることも見越している。それほどの巨額を売り上げるつもりなのだろう。

そこで、菅直人首相とサルコジ大統領が面談している。サルコジ大統領は満面の笑みで日本へのバックアップを頼もしく語ったようだが、当然これは営業だ。

同時にアレバ社のアンヌ・ロベルジョンCEOは海江田万里経済産業相とも会っている。

つまり、東京電力の支払い能力を超えた売り上げは、日本政府から回収するための準備も怠りないということだ。

そのことを裏付けるように、4月19日、アンヌ・ロベルジョンCEOは会見で語った。

「今回は、日本の政府もサポートしてくれますので、支払いの問題については信頼しています」

そのまんまだ。

しかし日本政府にも依存はない。東京電力も政府の後ろ盾があれば安心だ。ともかく事故の収束を急ぎたい。すがった藁がアレバ社だったということだ。

六カ所再処理工場の様に、アレバ社は今後好きなだけ売り上げを得られる顧客を捕まえたことになる。

そして営業トークは続く。

「『アレバ』は使用済み核燃料や放射性物質の管理、放射能汚染の浄化などに特に優れています。東京電力の必要性に応じてお応えできるだろう」

やがて東京電力はアレバ社への支払い能力を無くし、政府が肩代わりすることになる。その金は、当然我々の血税だ。

東京電力が起こした事故は、当然人々の命や健康を脅かしたということで大きな責任を持っているが、我々の血税を湯水のごとく使わざるを得ないという状況を作ったという点でも、大きな責任を持っている。



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