以前の投稿で、東京電力がこのたびの福島第1原発事故の賠償を行うためのリストラの一環として年俸削減を言い出したが、実にばかばかしい内容であることを紹介した。
『減俸されてもまだ羨ましい高給取りの東京電力社員や役員』(5/1)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/198752671.html
こてについて、今更このばかばかしさについて海江田万里経済産業相が気づいたという発言を行った。テレビ朝日の14日の番組中での発言だ。
「(一部の首脳は)50%カットしていくら残るかと聞いたら、3600万円くらい。それはおかしいので『もっと努力してください』と伝えた」
いったいいくらもらってきたのか、とその報酬の高さにめまいがしてしまう。
しかし、これもまた茶番の続きだ。東京電力が民間企業として、健全なる資本主義経済のルールに従って、事故を招いたことの償いを行わねば成らないことを、回避させ、債権者である金融機関などを国民の負担で守ろうとしていることから目を逸らさせるための茶番だ。
4月25日に東京電力が発表した取締役の報酬を半減することを含めたリストラ策について、「生ぬるい」との声が多く、政府も厳しい姿勢を示しているとの猿芝居をするために、さらなるリストラを要求してみせた。
その結果、今月の10日に、東京電力の清水正孝社長が既に大金持ちの会長、社長、副社長の代表取締役8人の報酬全額返上と、常務の報酬を60%削減することを表明し、政府からの支援を求めた。
相変わらず図々しい輩だ。まだ年金や退職金がたんまりあるだろう。尤もそれらを出したとしても納得は行かない。所詮茶番の延長に過ぎないからだ。
東京電力とその利権既得者質が最も嫌がる質問はこれだ。
「なぜ、東電はJALのように処理しないのか」
この様な追求が国会で始まった。
JALの様にとは、会社更生法で破綻させ、100%減資(株主責任)が行われ、金融機関には債権放棄(貸し手責任)させたということを意味している。
しかし政府の方針は、東京電力に限っては、金融機関の債権は保証され、社債も保護されるというものだ。また、株主責任も問わない方向が見えている。
このことは以前投稿した以下の記事(4回連続投稿)に詳しく書いたが、まさにその内容の通りにことが運んでいることを示している。
『東京電力は疲弊した国民の負担でで保護されるのか──1/4』(4/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/198331965.html
当たり前のことを追求されて慌てたのは、最近は菅直人首相と心中することが怖くなった様に見える枝野幸男官房長官だ。
枝野幸男官房長官は金融機関には貸し手責任があると述べたが、それじゃぁ、債権は放棄させるのか、という突っ込みには口をこもらせている。
そして同じく当たり前の追求に慌てた菅直人首相と海江田万里経済産業相は訳の分からないことに、歳費返上を言い出した。なんのこっちゃ。
要するに、国民にほとんどの負担を負わせようとしていることから目を逸らさせるためのパフォーマンスに過ぎない。こんな幼稚な芝居に誰が騙されるのか。
いや、騙される者たちがいた。大マスコミだ。これは危険だ。彼らが騙されると、その報道で国民も洗脳されてしまう。
しかし本来こうあるべきだ、という東京電力の処分方法を意外な人物が提言をしている。
それは古賀茂明氏だ。古賀茂明氏はなんと現役の経済産業相官僚だ。政府と経済産業省の欺瞞を欺くのにこれほどふさわしい人物もいないが、同時にこれほど身の危険を冒す人物も居ないはずだ。
それが居た。
古賀茂明氏は政府の公務員改革がイカサマであることを告発して、官僚としては不遇な待遇を受けている。つまりパワハラを受けている立場の人だ。
しかもこのとき、あの仙石由人民主党代表代行にも国会答弁で脅迫を受けた。
「職務とは関係ないことでこういう場に呼び出すやり方は、はなはだ彼の将来を傷つけると思います。優秀な人であるだけに、大変残念に思います」
要するに、政府の公務員改革のイカサマをばらした古賀茂明氏に対し、仙石由人民主党代表代行は「官僚の立場で俺たちの官僚寄りの政策を批判したことがどういうことか分かっているのか。もはや官僚としての立場を無くしてやるからな。」と脅したわけだ。
仙石由人民主党代表代行を恐喝罪として逮捕すべきであろう。
しかし古賀茂明氏はこれに怯むことなく、今度は経済産業相と政府の東京電力の賠償問題のイカサマをばらしてしまったのだ。
すなわち、政府と経済産業相が避けようとしているスキームで、本来行われるべきことを述べてしまっている。それは、東京電力の資産売却、株主責任、金融機関の貸し手責任を求めるべきだ、ということだ。
東京電力の利権に預かろうとしている輩が避けたいことをずばり指摘してしまった。
古賀茂明氏の案では、まず東京電力の株式の100%減資を行い、銀行の債権放棄を実施する。
その後、東京電力を発電会社と送電会社に分割する。そして発電に必要な資産を売却する。
一方、分割した送電会社は再び上場を目指す。
このことで何が起きるのかというと、地域独占の電気市場に競争原理が導入され、電気代が下がる(可能性が高い)。
そして発電資産の売却で得られる莫大な資金を、賠償資金に充てれば国民負担は必要無いではないか、というものだ。
古賀茂明氏は、特に銀行が原発以降に東京電力に融資した2兆円について指摘する。
「原発事故後、金融機関は東電の資金繰り維持のために2兆円を融資した。これを債権放棄させるのは厳しいという意見もありますが、銀行はボランティアで融資するわけではない。リスクは当然負わなければなりません。このままだと被災者への補償の前に、銀行へ返済されてしまいますよ」
この発言は古賀茂明氏にとって危険だ。
何しろ政府と経済産業相が目論む東京電力の保護案は、その金融機関らが作成したものだとされているからだ。まさにそこを世間に気づかせようとする発言になっているためだ。
政府が提案しているスキームでは、東京電力に融資した金融機関が、一切損をしない方法になっている。
会長と社長は次の株主総会で辞任し、世間が気づく前に巨額の退職金と年金を確保しようとするかもしれない。
そして、東京電力が本来採るべき責任は、交付国債という税金と、電力料金の値上げによって国民に押しつけられる。
東京電力が保護されるスキームについては、以下の投稿を参照されたし。
『東京電力は疲弊した国民の負担でで保護されるのか──1/4』(4/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/198331965.html
『東京電力は疲弊した国民の負担でで保護されるのか──2/4』(4/30』
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/198517682.html
『東京電力は疲弊した国民の負担でで保護されるのか──3/4』(4/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/198572911.html
『東京電力は疲弊した国民の負担でで保護されるのか──4/4』(4/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/198586254.html
『減俸されてもまだ羨ましい高給取りの東京電力社員や役員』(5/1)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/198752671.html