前回の投稿で、この国難のどさくさに増税をして、国民を塗炭の苦しみに追いやろうとしている政治家たちのことを書いた。
『国難に乗じて増税を実現しようとする悪魔の囁き。もはや陰謀と言える。』
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/191428604.html
このことはあまり報道されていない。マスコミは東日本大震災の惨状と、福島第1原発の事故の報道でいっぱいいっぱいだ。いや、もしかすると、この国民殺しの増税をあえて目立たないようにしているのかもしれない。
もともとマスコミは増税推進運動をしていた。各新聞社の社説やコメンテーターもでたらめな財政破綻を強調し、増税やむなしという論調を作り上げ、国民を洗脳してきた。
残念ながら、多くの国民は素直に洗脳されてきている。私の周りでも、増税しないと国が破綻するから、という素朴で無抵抗な声が聞こえている。
既にリークされたように、コメンテーターや評論家の多くは、政府から袖の下を受け取っている。このことが書かれた各社の記事の記録が以下のサイトに残っていた。おもしろいのでURLを紹介しておく。
『野中広務が暴露した官房機密費の各社の記事』
http://www.kyudan.com/opinion/kimitsuhi2.htm
また、このことは(野中広務氏によると)ただ一人賄賂を断ったとされる田原総一朗氏が、最近の著書『Twitterの神々』で、政治ジャーナリストの上杉隆氏との対談で開けっぴろげに話題にしており、実際の金のやりとりの状況まで詳しく述べている。タイトルが失敗していると思うが、内容は非常におもしろい本なのでお勧めだ。
話が横道にそれ始めたので、戻したい。
このたびの様な甚大な災害からの復興といえば、増税ではなく国債がまず検討されるべきなのだ。
日本の国債は9割以上が国内の機関投資家(銀行など)に買われているが、デフレの現在、マネーを供給するという意味でも復興国債は日銀引き受けが望ましいとされる。
しかも一般の金融機関が国債を購入すること(長期金利が上がってしまうなどの弊害が心配されている)と異なり、日銀引き受けには政府にとっても利益になるというおもしろい仕組みがある。
それは、政府が国債の利子として支払った日銀にとっての利益は、国庫納付金として政府に戻る仕組みがあるのだ。
さて、ここに嘘つき政治家が登場する。与謝野馨経済財政政策担当大臣(本当は財務相傀儡増税大臣)だ。ちなみに、与謝野馨経済財政政策担当大臣は元日本原子力発電の社員である。いわが原発推進派だ。また、原発利権にも詳しいだろう。このたびの福島第1原発の事故をどのように見ているだろうか。
この与謝野馨経済財政政策担当大臣は、18日の閣議後記者会見で日銀が震災復興国債を直接引き受けるという報道があったが、という質問に対し、以下の様に答えた。
「そもそも日銀は既発債を市場から拾うことはできるが、国債の直接引き受けは法的にできない」
嘘である。これは財政法第5条の「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。」を根拠としている。しかしこの続きがあるのだ。
「但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。 」
この部分を財政通として自負している与謝野馨経済財政政策担当大臣が知らないはずはない。つまり、嘘をついた。今こそ「特別の事由がある場合」ではないか。
では過去に実例はあるか?
あった。
Wikipediaの「高橋是清」から引用する。
昭和6年(1931年)、政友会総裁犬養毅が組閣した際も、犬養に請われ4度目の蔵相に就任し、金輸出再禁止(12月13日)・日銀引き受けによる政府支出(軍事予算)の増額などで、世界恐慌により混乱する日本経済をデフレから世界最速で脱出させた(リフレーション政策)。
Wikipedia「政界恐慌」から引用。
高橋是清蔵相による積極的な歳出拡大(一時的軍拡を含む)や1931年12月17日の金兌換の停止による円相場の下落もあり、インドなどアジア地域を中心とした輸出により1932年には欧米諸国に先駆けて景気回復を遂げたが、欧米諸国との貿易摩擦が起こった。
Wikipedia「昭和恐慌」から引用
犬養内閣の高橋是清蔵相は、ただちに金輸出を再禁止し、日本は管理通貨制度へと移行した。高橋蔵相は民政党政権が行ってきたデフレーション政策を180°転換し、軍事費拡張と赤字国債発行によるインフレーション政策を行った(これをきっかけとした軍拡政策は、景況改善後も、資源配分転換と国際協調を企図した機動的軍縮の試みにもかかわらず、軍部の意向により継続される。以後も満州事変・日中戦争を通じて軍部の発言力が増していくことになる)。金輸出再禁止により、円相場は一気に下落し、円安に助けられて日本は輸出を急増させた。輸出の急増に伴い景気も急速に回復し、1933年には他の主要国に先駆けて恐慌前の経済水準を回復した。
このとき、世界恐慌(昭和恐慌)を世界でいち早く脱出させたのは、高橋是清蔵相(彼は第20代内閣総理大臣でもあったが、蔵相として名を残した)による日銀直接引き受け政策であり、世界的にも高い評価を得た。
(ちなみに1979年に3時間ドラマで森重久弥氏が高橋是清を演じたのを見たが、非常に印象深い名演技だったことを覚えている。)
いまこそ国難だ。高橋是清が行ったことを思い出すべきではないだろうか。
そして、これもマスコミが報じていないようなのだが、この高橋是清の偉業を思い出している政治家がいた。
そう、このブログでも時々注目している亀井静香国民新党代表だ。
亀井静香国民新党代表はその経歴から危機に強い政治家として有名だ。その彼が、高橋是清を思い出していた。復興国債の日銀引き受けを提案している。
いや、高橋是清まで遡らなくても、前回の投稿でも紹介したが、阪神・淡路大震災の際の国債発行例がある。
1995年の阪神・淡路大震災のときは、復興のために増税などしなかった。このときの経済損失は10兆円だと言われているが、国債の発行による財政出動を行った結果、前年1.5%だった実質成長率は災害を乗り越えて95年には2.3%、その翌年には2.9%となり、2年間で21兆円の経済規模拡大を成し遂げた。
経済学者でアナリストの植草一秀氏も3/19のブログで、
「日本の株価は大震災が来なくても下落する流れの中にあった。そこに、今回、震災の影響が加わるのである。直ちに大型の補正予算が必要である。破壊された生活関連・生産関連インフラが膨大である。建設国債を発行して迅速にインフラを整備しなければならない。同時に、被災者の生命と生活を万全の体制で支えなければならない。政府は、「被災地に物資が供給されない」と、他人事のようなコメントを発しているが、政府が物資を購入し、政府の責任で搬送を行えばよいだけだ。この施策を打つには財源が必要になる。そのための復旧・復興補正予算を直ちに編成するべきだ。規模は10兆円規模が望ましい。何よりも大事なことは、その財源を100%国債発行で賄うことである。かなりの部分は建設国債を発行できる。足りない部分は赤字国債を発行するべきだ。」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-b3cf.html
と提言されている。
また、経済評論家の高橋洋一氏もゲンダイビジネスの同氏のコーナーに、
「もちろん、復興策は絶対に必要だ。その規模は直感的には10兆円くらいだろう。しかし、その財源として臨時であれ増税は不味い。この危機に増税とは理解に苦しむ。この災害時に増税しか見えないのかと思うと、一国民として悲しくなる。国民の共助を求めるなら、災害寄付金を税額控除するのが正しい方向だろう。日本の地震リスクを強調して、この機に乗じて日本国債にアタックを仕掛けてくるという外国ヘッジファンドの噂もある。そうした冷酷なハイエナに塩を送るような増税発言だ。〜中略〜復興策の財源といえば、もちろん国債である。しかも、日銀直接引受がいい。というのは、今はデフレであるので、マネーが日本国内では不足している。被災地には当然潤沢の資金供給が必要になるが、それを全国レベルで対応するためにも、日銀が直接引受によってマネーを増やすのが正しい方向だ。」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2254
と投稿している。
また、阪神・淡路大震災を記憶している竹中平蔵慶応大学教授(小泉政権で緊縮財政に荷担した彼でさえも)も、復興のために、
「10兆円以上の対策費が必要で、その財源は国債増発で賄うべきだ」
と主張している。
しかし増税内閣ではこのような発想はタブーらしい。
野田佳彦財務大臣も与謝野馨経済財政政策担当大臣も枝野幸男官房長官も口を揃えて「政府では検討していない」とコメントしている
彼らは国民を見殺しにするのか。
そこにつけいるのが谷垣禎一自民党総裁だ。彼は復興増税を主張している。
しかしこれに異を唱えたのが亀井静香国民新党代表だ。
「とんでもない。」
と明快に切り捨てた。谷垣禎一自民党総裁の主張に対し、
「国債の日銀引き受け」
の検討をすべきだと反論した。高橋是清再来となるか。彼の言うことだけがまっとうなのではないか。
しかし、菅直人首相率いる内閣は聞く耳を持たない。
財源を確保するために子ども手当(もともと所得移転政策は景気対策としては弱い)や高速道路無料化の財源を復興に充てようとしたが、3兆円ちょっとにしかならなかった。
復興にいくらかかるのか分からないが、亀井静香国民新党代表は「10兆円や20兆円では足りない」としている。
もはやこの国に、高橋是清はいない。