2011年03月09日

ケビン・メア氏が沖縄県民を「ごまかしとゆすりの名人」と発言したことでいろいろ見えてきた?

米国務省のケビン・メア東アジア・太平洋局日本部部長(前駐沖縄総領事)の発言が物議を醸している。(以下、記事中ではケビン・メア日本部長と表記)

発言は2010年12月に国務省内で行われた米国人大学生への講演中のものだ。

相手が報道陣でも日本人でも無かったことで口が軽くなったのか、そこでケビン・メア日本部長は、沖縄県民のことを「ごまかしとゆすりの名人」などと表現した。

このことに対し、沖縄県議会と那覇市議会が発言の撤回と謝罪を求める講義決議案を可決したのが8日のことだ。

確かにケビン・メア日本部長日本の発言は軽率で無礼だ。しかし、案外これが沖縄県、日本政府、米軍の関係の本質を突いてしまったのではないか。

なぜなら、沖縄県民には申し訳ないが、この発言には思い当たる節がある(後述)。

ただ、「怠惰でゴーヤも栽培できない」という発言にはちょっと思い当たらない。それじゃぁ沖縄のゴーヤは怠け者の沖縄県人に変わって米軍さんがせっせと栽培しているのだろうか?

おそらくこの発言も、ある意味沖縄県のことをよく知っているケビン・メア日本部長ならではの解釈だったのかもしれない。

沖縄県の一人あたりの県民所得は残念ながら全国で最下位となっている。しかも失業率も全国で一番高い。

このあたりの事情を知っていればこそ、学生相手の講義ではものの弾みで、「沖縄県民は(日本一所得も低く失業率も高いので)怠惰」といった表現をしてしまった可能性がある。

一方、普天間飛行場の危険度を「福岡空港や伊丹空港も同じ」と考えているあたりは浅はかである。その危険度は明らかに異なる。

民間の航空機が離発着している飛行場と軍用機が離発着している飛行場とでは全く危険度が異なるに決まっているではないか。飛び方も富んでいる目的も、飛んでいる物体も違う。

それに普天間飛行場の環境は特殊だ。

たとえば通常の飛行場にあるはずのクリアゾーンが無い。クリアゾーンとは、万が一飛行気が離発着でトラブルを起こしても、周辺住民を死傷させないために設けられた予備地だ。畑、山林、空き地、水面など様々な形状がある。

それが普天間飛行場には無い。そんな初歩的な認識が無いのだから、ケビン・メア日本部長の教養は、かなり長い期間日本で働いているにしては、たかがしれていると言っても良いのではないか?

しかしこんなケビン・メア日本部長日本の軽率な発言に、沖縄県議会は批判した。

「基地のない平和で安心・安全な沖縄県をつくることを切に願ってきた県民を愚弄し、侮辱している」

そして那覇市議会でもケビン・メア日本部長日本の日本部長辞任を求め、

「戦後65年間、基地の重圧にさらされている県民を侮辱する発言は断じて容認できない」

と非難した。

この事態に対し、クローリー米国務次官補(広報担当)は「沖縄の基地負担には感謝している」と沖縄県民、というか日本の世論をなだめる発言を行った。普天間問題がますますこじれてしまうことを望んではいないらしい。なぜなら、実にケビン・メア日本部長が発言しているように、普天間問題は、米軍の運営費にかかわる問題だからだ。

ケビン・メア日本部長が行った発言をもう一度各社のニュース記事から拾ってみた。

「合意に基づく『和』の文化が日本文化」だが、「日本人は合意を模索するふりをしながら、できるだけ多くのカネを得ようとする。沖縄の人々は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人だ」と語ったという。

そして、日本の政治家が本音と建て前(どんな英語を使ったか不明)を使い分けているとして、「沖縄の政治家は日本政府との交渉で合意しても、地元に戻れば合意していないと言う」と述べたらしい。

そして日本政府に対し、沖縄県人との交渉の仕方まで次の様にアドバイスしている。

「日本政府は沖縄県知事に『カネが欲しいなら(移設計画に)サインしろ』と言うべきだ」

不謹慎だが笑ってしまった。まぁ歯に衣着せぬ物言いというよりは、やはり軽薄さと、黄色人種蔑視がケビン・メア日本部長の心底にはあるのだろうか。しかし彼の妻は日本人である。そのあたりの本心が分かりにくい。黄色人種を蔑視しているのであれば、日本人を妻にするとは考えにくい。

彼はこれまでも多くの日本人蔑視的な発言を行っており、その根底には日本が米国の属国である、という意識が働いているとも考えられる。

しかし彼のこの度のいくつかの発言は、ある意味、日米関係を良く知っている者の発言でもある。

そしてバランスをとったわけではないだろうが、沖縄人が「強請(ゆすり)」の名人なら、米国人は「集り(たかり)」の名人だと自白するような発言もしている。

同講義ではこうも言っているのだ。

「思いやり予算はアメリカの国益ににとって有用で、われわれは日本で非常に得な取引(good deal)をしている」

その通りではないかと思う。逆に、憲法9条が改憲されると、

「もし日本が改憲するなら、日本は(在日)米軍を必要としなくなり、米国にとっては悪い事態になる」

とも語っている。

ケビン・メア日本部長が日本通であるであろうことはその経歴からも想像できる。

1984年に駐日大使館にて経済担当二等書記官としてなってから、長いこと日本関係の職務に突き続けてきた。既にWikipediaに彼の経歴が掲載されていたので、引用する。

──ここからケビン・メア日本部長の経歴(Wikipediaより)──

1984年から1986年まで駐日大使館にて経済担当二等書記官。
1986年から1988年まで国務省日本部にて経済担当官。
1988年から1989年まで国務省横浜日本語研修所にて語学研修を受講。
1989年から1992年まで駐日大使館の政治軍事部にて副課長。
1992年から1995年まで国防総省に出向し、空軍副次官室にて国際政策課長。
1995年から1997年まで国務省の化学生物ミサイル拡散防止部にて副部長。
1997年から1998年まで東京大学東洋文化研究所にて客員研究員。
1998年から2001年まで在福岡領事館にて首席領事。
2001年から2004年まで駐日公使館にて環境科学技術担当公使。
2005年から2006年まで駐日大使館にて政治軍事部長。
2006年から2009年まで在沖縄総領事。
2009年国務省に帰任、東アジア・太平洋局日本部部長

──ここまで──

どうだろう。27年近くも日本関係の職務についている。日本や沖縄について、いろいろな事情通であることは想像できるではないか。単なる思いつきでの発言では無かったのだろう。おそらく、常日頃から思っていることが、ぽろっとでてしまったのに違いない。

さて、繰り返す。

「沖縄の人々は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人だ。」

これは何を意味するのか。おそらく普天間基地に関する助成金のことを言ったのではないだろうか。あくまで憶測だが…。

政府は、普天間基地を巡り、周辺対策として様々な助成金を出している。

障害防止工事の助成、住宅防音工事の助成、民生安定施設の助成、調整交付金の交付だ。

障害防止工事としては、1972年から1999年までに総額約38億円出している。

住宅防音工事としては、1979年から1999年までに約308億円が出している。

民生安定施設の助成としては、1979年から1999年までに約93億円出している。

調整交付金(特定防衛施設周辺整備調整交付金)としては、1975年から1999年までに約15億円出している。

どうだろう。この内容と金額が政府から支払われている状況を、米国人が見ると、

「沖縄の人々は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人だ。」

という様に見えてしまうのかもしれない。しかし、用心深い人間なら立場上口にすることは無いだろう。

一方、ケビン・メア日本部長が発言した、

「思いやり予算はアメリカの国益ににとって有用で、われわれは日本で非常に得な取引(good deal)をしている」

については、明確に「思いやり予算」を示しているので分かり易い。つまり、日本政府は、金で米軍を雇っている状況にあると言えるのだ。

思いやり予算は、在日米軍基地職員の労務費や基地の光熱費、あるいは建設費など、様々な面で日本が負担している金を示し、開始からこれまでに負担した総額はなんと3兆円を超えるという。ちなみに平成22年度は1881億円だ。

この金額は同じく駐留させている他国と比べても世界一の金額で、「日本は世界一気前のいい同盟国」などと言われている。

ただ、そのおかげで、というべきか、おもいやり予算を含めても日本の防衛費は先進国で際立って低い状態にある。つまり、米軍を雇っている状態にある(いざというときに役立つかどうかは別として。参考『残念だが、現在の憲法と経済力では北方領土はロシア領になる。』)。

ではどうして日本が米軍を金で雇っていると言えるのかというと、普天間基地を拠点にしている米海兵隊(第3海兵遠征軍)は、3つの遠征軍により構成されているが、内2つは米国本土を拠点にしている。

海兵隊は本来米国本土を拠点とし、戦争が起きると予測してから(戦争はある日突然起きない)前線に送り出せれば良いとされている部隊だ。

つまり、本来は遠隔地(普天間など)に駐留させておく性格の部隊ではないのだ。

例えば朝鮮戦争の時はどうだったか。

まず、戦争当事国自身の軍隊が応戦を始める。次に米軍は空軍による援護を行いながら海兵隊を前線に送り込んだ。

日本に当てはめると、まず自衛隊が応戦する。米軍は戦争を事前にキャッチしているので、既に参戦する準備をしている(参戦する気があればだが)。

そして米空軍の援護を受けながら、海兵隊は十分に間に合うように米国本土から進軍すれば良いのだ。

こういう仕組みになっている。

特に冷戦後は、日本に常駐させる理由がますます無くなったので、80年代には撤退するところだったとも言われている。

ところがそれを嫌がった日本政府が、金を出すことで、海兵隊が米国本土を拠点とするよりも低コストで維持できるようにしてやった。

それがおいしくて、沖縄にいることになった。

つまり、ケビン・メア日本部長は、このことを言っているのではないか。だとすれば、実に正直者である。

ちなみに、海兵隊が地政学上沖縄に常駐する意味が問われるが、実は必要ないとされている。

中国の様な近くの国が敵国になった場合でも、沖縄には有事に備えた滑走路や港があれば十分なのだ。

まして中国と協調路線を採りつつある米軍にとって、ますます沖縄常駐の必要性は薄いのではないだろうか(参考『鳩山由紀夫前首相の「方便」攻撃でマスコミが国民の目を反らそうとしている』)。

と、このたびのケビン・メア日本部長の問題発言で、いろいろなことを考える機会を与えられたようだ。




posted by しげまる | Comment(4) | TrackBack(5) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>米国務省のメア日本部長の発言要旨は次の通り。

>海兵隊8千人をグアムに移すが、軍事的プレゼンス(存在)は維持し、地域の安全を保障、抑止力を提供する。
>(米軍再編の)ロードマップのもとで日本は移転費を払う。
>日本の民主党政権は実施を遅らせているが、私は現行案が実施されると確信している。
>日本政府は沖縄の知事に対して「もしお金が欲しいならサインしろ」と言う必要がある。
>ほかに海兵隊を持っていく場所はない。

意思のあるところに方法はある。(Where there’s a will, there’s a way).
意思の内容は、未来時制である。
日本語には時制がない。日本人には意思がない。だから、指導力がない。

>日本の文化は合意に基づく和の文化だ。
>合意形成は日本文化において重要だ。
>しかし、彼らは合意と言うが、ここで言う合意とはゆすりで、日本人は合意文化をゆすりの手段に使う+。
>合意を追い求めるふりをし、できるだけ多くの金を得ようとする。
>沖縄の人は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人だ。

日本人は、合意形成を得るために議論をしないが談合をする。議論の仕方は心得ていない。
談合は、私意の摺合せで行う。実のところ、ゆすりでもある。

>沖縄の主産業は観光だ。

そうですね。

>農業もあり、ゴーヤー(ニガウリ)も栽培しているが、他県の栽培量の方が多い。

そうかもしれませんね。

>沖縄の人は怠惰で栽培できないからだ。

怠惰とは、失礼ですね。中間の農作業は高温で大変だ。栽培できないのには、諸般の事情があるからでしょう。

>日本に行ったら本音と建前について気を付けるように。

そうですね。

>言葉と本当の考えが違うということだ。

言葉は建て前で、本当の考えは恣意ですね。
恣意は辻褄が合わないから、実のところ本当の考えにもならない。

>私が沖縄にいたとき、「普天間飛行場は特別に危険ではない」と言ったところ、沖縄の人は私のオフィスの前で抗議をした。
>沖縄の人はいつも普天間飛行場は世界で最も危険な基地だと言うが、彼らは、それが本当でないと知っている。(住宅地に近い)福岡空港や伊丹空港だって同じように危険だ。

「普天間飛行場は世界で最も危険な基地だ」というのが、沖縄の人の建前でしょう。

>日本の政治家はいつも本音と建前を使う。
>沖縄の政治家は日本政府との交渉では合意しても沖縄に帰ると合意していないと言う。
>日本文化はあまりにも本音と建前を重視するので、駐日米国大使や担当者は真実を言うことによって批判され続けている。

日本人は、「本音と建前」が詭弁であることを知らない。我々は、そのように教育されてはいない。
「沖縄の政治家は日本政府との交渉では合意しても沖縄に帰ると合意していないと言う。」は、当人たちは嘘をついているということである。
このような態度では、我々は統一ある世界に近づくことはできない。

日本人の判断基準は、「世の中は、、、、」(現実の内容) ということ。
英米人の判断基準は、自分の考えの内容 (非現実の内容) である。
だから、日米間では話は合わない。不信感は募るばかりである。


http://d.hatena.ne.jp/takashi1982/20110307/1299426703


Posted by noga at 2011年03月10日 03:03
nogaさん、コメントありがとうございます。

ケビン・メア日本部長の発言の詳細の掲載ありがとうございます。

確かに日米の人の考え方や物の言い方の違いといった文化面での違いもあり、ケビン・メア日本部長はそのあたりを特に言いたかったようにも受け取れますね。

日本人の発言はそのまま受け取ると失敗するぞ、と。

このあたり、日本人の二重規範性(故・小室直樹氏が良く説明しておりました)にも原因があるかもしれません。

まぁ、いずれにせよ、ケビン・メア日本部長は、ある意味正直に話しちゃった、というところでしょうか。
Posted by 管理人 at 2011年03月10日 13:37
沖縄がゆすりの名人というのは事実です。
米軍基地に反対すればするほど日本政府から多くの取れます。

普天間飛行場の移設予定地の名護市辺野古で反対運動をしている連中には1日に2〜3万円の日当が出ている。
嘉手納基地周辺の住民が爆音訴訟を起こして基地反対を唱えれば、一家で200万円位カネが貰える。

琉球新報社は少女暴行事件を利用して30億の新社屋を建設した。

普天間基地のある宜野湾市だけで70億円のカネを受け取っているが、
所有権者が自己申告している土地の面積は沖縄の面積の3倍位になる。

Posted by coffee at 2011年03月13日 15:53
coffeeさん、コメントありがとうございます。

そうなんです。ケビン・メア日本部長は愚か者で無礼者ですが、実は本当に知っていることをしゃべっちゃったんですよ。

それで、沖縄県民(の代表を語る者)が怒ったんです。人間は図星だと怒るんです。

ただ、琉球新報社は少女暴行事件を利用して30億の新社屋を建設したことや所有権者が自己申告している土地の面積は沖縄の面積の3倍位になるということは知りませんでした。

さすがです。
Posted by 管理人 at 2011年03月13日 18:01
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