日本の領土は、北はロシア、北西は韓国、南西は中国に削られつつある。既に北方領土はロシアの実行支配下にあり、竹島も韓国の実行支配下にある。
いずれも間違いなく日本固有の領土だが、口先で叫んでみたところで実効支配にはかなわないのだ。
そして、いよいよ尖閣諸島も中国の実行支配下になるだろう。
日本も騒いでいるだけではなく、こうしている間にも、自衛隊を駐屯させることや、基地を造ること、米国を誘って海洋資源の共同開発を行うなどの実効支配への手を打っていない以上、早晩、尖閣諸島は中国領となる。
海上保安庁は、昨年9月に起きた尖閣諸島沖の衝突事件で損傷した巡視船の修理代など1429万円を、損害賠償として中国漁船船長に請求した。
修理した巡視船は「よなくに」と「みずき」。
支払いを求める告知は、国債書留郵便で送られた。内訳は2隻の巡視船修理代が1239万円、燃料代などを加えて1429万円となった。
請求は当然の権利である。海上保安庁は、船長が支払いを拒否すれば、督促状を送る可能性も示しているが、それも当然である。
しかし、予想通り中国側は支払いを拒否した。談話を発表したのは、中国外務省だ。
「賠償請求する権利は一切ない」
これも予想通りの回答である。そして外務省の馬朝旭報道官談話も予想通りだ。
「尖閣諸島は古来から中国固有の領土だ。日本は深く反省すべきで、賠償請求する権利は一切ない」
中国もロシアも、そして韓国も同じだが、彼らは領土問題になると、平然と大嘘をつく。
しかしその嘘は、実効支配という図々しい行いと、それを背後から支える軍事力と、軍事行為をすぐにでも行える法体制が支えている。
そして、全て日本固有の領土であることが歴史的にも証明でき、諸外国のコンセンサスを得ることができても、日本は、彼らの実効支配に屈せざるを得ない。
理不尽で悔しいことではあるが、これが国際社会の現実だ。とてもおいしい餌をちらつかせることができなければ、米国を含み誰も助けてはくれない。
それにしても中国が「古来より」ということの図々しさには呆れる。呆れるが、そのための準備も進めている。
日本は身動きできない。憲法で武力による国際紛争の解決を放棄しているからだ。これが平和憲法の実態である。外国から何をされようとも、黙ってされるがままでいるしかない。
国連などもっと役に立たない。第二次世界大戦の戦勝国のサロンだからだ。決して国際政府に発展する機関ではない。何しろ中国は常任理事国だが、日本はただ金を出しているだけのスポンサーなのだ。
但し、仮に中国が武力による紛争解決を行った場合は、軍事制裁を定めた国連憲章第7章があるが、第27条3項には『紛争当事国は、投票を棄権しなければならない。』とあるため、中国は拒否権を使えなくはなる。
ずうずうしい中国は、「沖縄県は終戦によって日本の支配から脱しているが、いまだ帰属先の策定が行われていない」と主張し始めているという。これはもはや沖縄県を中国領土にするための準備ではないのか。尖閣諸島の実効支配はそのための第一歩となるだろう。
実はある出来事まで中国は尖閣諸島を日本領と認めていた節がある。それは、1970年以前の中国の地図、例えば中華人民共和国発行の社会科地図では「尖閣諸島」と日本名で記載されている。また、日中の国境線も尖閣諸島が日本側に含まれるように記載されていた。
しかし1971年以降の中国の地図では尖閣諸島は「釣魚台」と記載されるようになり、国境線もちょこっと中国側に含まれるように書き換えているのだ。
また、1960年に北京市地図出版社が発行した『世界地図集』や1965年に国防研究院・中国地学研究所発行の『世界地図集』にも、尖閣諸島が日本領であることを示す記載が成されている。
この指摘と実際の地図については、水間政憲氏の著書『いまこそ日本人が知っておくべき「領土問題」の真実 国益を守る「国家の盾」』(記事の最後にリンクあり)にカラー写真付きで掲載されている。
それではその出来事とは何か。
1968年に行われた、日韓台の科学者を中心にしたアジア極東経済委員会(ECAFE)が、尖閣諸島周辺の約20万平方キロメートルの海底に、なんとペルシア湾級の石油・天然ガスが埋蔵されている可能性があるとの可能性を発表した。
その後1969年と1970年に国連が行った調査でも、イラクの埋蔵量に匹敵する石油が埋蔵されている可能性が報告された。
真っ先に動いたのは台湾だった。この国も中国同様図々しが、これが国際社会だろう。
台湾は、なんと米国のガルフ社に石油採掘権を与えたのだ。もはや自国の領土であることは当然ということだ。
そして中国も1971年の12月には、尖閣諸島を中国固有の領土だと主張し始めた。
これ以降の中国作成の地図では、尖閣諸島は「釣魚台」となる。
先に紹介した『いまこそ日本人が知っておくべき「領土問題」の真実 国益を守る「国家の盾」』の著者が神保町の古書店店主らに聞いたところによると、このところ、中国人らしき者たちが、金に糸目を付けずに神保町界隈の古地図を買い漁っているという。中国が以前は尖閣諸島を中国領と認めていた証拠隠滅に奔走しているのではないかと推測できる。
中国は、いや、ロシアも韓国も、そういう国であることを忘れてはならない。
このたび交渉決裂した北方領土については、また機会を改めて見てみたい。