2013年11月01日

ウィグル人弾圧をテロとの戦いにすり替える中国

10月28日に天安門前に車が突入し、炎上した事件について、下記の通り2日連続で投稿した。

『中国の天安門での自動車事故は、ウィグル人によるイスラムのテロか?』(2013/10/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/378938523.html

『中国共産党を揺さぶるイスラム』(2013/10/31)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/379037411.html

そして3日目となり、中国政府の見解が出始めた。

中国共産党の公安部門の責任者の発言があった。孟建柱・中央政法委員会書記(政治局員)の発言だ。

「背後に東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)のテロ組織の指示がある」

東トルキスタン・イスラム運動は、ウィグル独立派の組織だ。そしてこの組織は2002年9月に、国連安全保障理事会でテロ組織として認定された。

孟建柱・中央政法委員会書記は今回の事件を示して言う。

「SCO(上海協力機構)加盟国はさらに協力を強め、テロに断固対抗すべきだ」

そして改めてこの度の事件をテロであるとして非難した。

「組織的かつ計画的で、多くの民衆の生命や財産に損失をもたらした。テロリズムは全人類共通の敵だ」

しかし中国政府がやっていることは、北京市や新疆ウイグル自治区を含めた中国全土での、少数民族であるウィグル族への弾圧である。

どうみても、この少数民族弾圧行為を、テロとの戦いにすり替えて、国際社会での正統性をでっちあげようとしているように見えるが、考えすぎだろうか。

確かにこの度の自動車突入事件はテロ行為と言える。車両に乗っていたウィグル人と言われる夫婦(共に30歳)と夫の母(70歳)は、ガソリンに火を付けて炎上させ自殺している。自爆テロの一種だろう。

また、すぐさま拘束した容疑者たちのアジトからは、ETIM(東トルキスタン・イスラム運動)が使う「聖戦」の旗も発見されたという。

さらに深読みが許されるなら、聖戦を掲げて自爆テロを行うイスラム系とすれば、ある組織とのつながりが見えてくる。

アルカイダだ。

実際、国連安全保障理事会は、ETIMはアルカイダと連携していると認定している。また、アルカイダも、中国政府のウィグル人弾圧を非難し、かねてから報復すると表明していた。

ただ、この度の事件がすぐにアルカイダの仕業だとは思えないが、どこかで繋がってくる可能性はあるし、中国にアルカイダが乗り込んでくる可能性も否定できない。

何しろ新疆ウイグル自治区では、ウィグル人たちが、その土地に豊富な資源を漢族が独占している状態に「富を強奪されている」として反発している。

このようなところにアルカイダは登場しやすい。

従って、中国でアルカイダなどのイスラム武装勢力がテロ活動を行う理由はあるのだ。

また、少数民族の中にも、一旦アフガニスタンやパキスタンに渡り、イスラム過激派のテロ活動の手法を学んで中国に戻ってくる者たちが居るのだと言う。

とはいえ、所詮は少数民族。圧倒的な巨大さを持つ中国共産党にはまだまだかなわない。

しかし中国政府は、このテロを敢えて過大な恐怖と見立てて、テロとの戦いを大義名分に少数民族を弾圧し、その富を強奪するための隠れ蓑に使う可能性がある。

テロ行為は許されない行為だが、それ以上に残虐なのが、中国共産党なのではないか。


以下、関連記事(新しい順)です。

『中国共産党を揺さぶるイスラム』(2013/10/31)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/379037411.html

『中国の天安門での自動車事故は、ウィグル人によるイスラムのテロか?』(2013/10/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/378938523.html



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イスラエルが内紛中のシリアを空爆する理由(続)

以前イスラエルがシリアを攻撃する理由について長めの記事を投稿した。

『イスラエルが内紛中のシリアを空爆する理由』(2013/05/05)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/359067477.html

詳しくは上記の記事を参照していただきたいが、簡単に書けば、イスラエルが狙っているのはシリアではなく、シリアの内紛に加わっているヒズボラだ。

では何故ヒズボラをイスラエルが攻撃するのかと言えば、これも詳細は上記の記事を参照いただきたいが、簡単に書けば、ヒズボラは「イスラム共和制をレバノンに建国すること」を目的にレバノンに本拠を置く組織で有り、目標に「反欧米」「イスラエルの殲滅」を掲げているからだ。

先月(10月)31日に、イスラエルの戦闘機がシリアの港湾都市ラタキア付近の軍事基地を攻撃したと、オバマ政権当局が課発表した。

この攻撃について、中東のメディアでもやはり同基地のミサイル保管場所が爆発したと報道していた。

ただ、当のイスラエル政府は沈黙している。

前述の通り、イスラエルは常にヒズボラに高度な武器が渡ることを恐れる。今回もミサイル保管場所が爆発したことから、イスラエルが攻撃した可能性は高い。しかも今回狙われたのは、ロシア製の地対空ミサイルだ。

既にイスラエルは今年に入ってからシリアを数回空爆しているが、これらは常にヒズボラを狙ったものだと考えられるのだ。

また、イスラエルは以前からシリアに以下の警告をしていた。

「ヒズボラなどテロ組織に指定された組織への武器移転や、イスラエルにとって脅威となり得るシリアからレバノンへの武器密輸の動きがあれば標的にする」

この警告が成された理由は、内紛中のシリアでアサド政権を支援しているのが、ヒズボラだからだ。ヒズボラはイスラム教シーア派であり、反体制派の中心であるスンニ派とも敵対している。

そして警告通り、イスラエルはこれまでロシア製地対空ミサイルをレバノン側に運んでいた車列や、イラン製ミサイルがヒズボラに輸送されようとしているところを空爆してきている。

また、より穿った見方をすれば、というより勘ぐれば、イスラエルはシリアの化学兵器処理を妨害しているとも考えられる。

これは少々飛躍した想像かもしれないが、イスラエルは米国が中東に関与しなくなることを恐れている。同時にロシアが中東に影響力をもつことも恐れているだろう。なぜならシリアやイランが台頭する可能性があるからだ。

そこで、米国がシリアに干渉を続けるためにも、化学兵器の処理を妨害したいのではないだろうか。

勿論、イスラエルの空爆の主目的はヒズボラだが、レバノンではなく、敢えてシリア内のヒズボラを攻撃するのは、副産物としてのシリアの内紛を長引かせ、アサド政権が国際的な信用を得て安定することを疎外したいのではないだろうか、などと、ちょっと考えすぎてみた。


以下、シリア関連記事です(新しい順)。

『シリアの化学兵器廃棄を義務づける国連安全保障理事会決議は、内戦終結までの道標は示していない』(2013/09/30)http://newsyomaneba.seesaa.net/article/376183214.html

『シリア軍事介入を回避した米ロ合意は、内戦の終結とは別の話だ』(2013/09/16)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/374990936.html

『シリアへの軍事介入は回避されそうなのか』(2013/09/11)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/374525596.html

『シリアへの米軍事介入を回避させるロシアの提案』(2013/09/10)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/374466774.html

『シリアへの軍事介入にNATOは参加せず。しかし見せしめは必要だと』(2013/09/03)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/373816054.html

『シリアへの軍事介入への米仏と露のせめぎ合い』(2013/09/03)http://newsyomaneba.seesaa.net/article/373811103.html

『シリア政府が化学兵器を使用した証拠はあるのか? 見切り発車の軍事介入が行われるのか』(2013/08/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/373401150.html

『米国によるシリア攻撃が始まるのか』(2013/08/28)
http://newsyomaneba.seesaa.net/

『シリアで毒ガス兵器により1300人以上死亡。しかし誰が使ったのか』(2013/08/22)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/372654267.html

『シリアでサリンを使ったのは反体制派だとロシアが報告』(2013/07/10)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/368795017.html

『米国がシリアの反体制派への武器供与拡大を決定』(2013/06/14)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/366304428.html

『シリアに対する日本政府の立ち位置』(2013/06/11)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/365988776.html

『シリア内戦を停止させる国際会議の開催は可能か』(2013/05/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/364050350.html

『シリアの内戦がレバンノンに飛び火する』(2013/05/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/

『シリア・ヒズボラ連合で攻勢をかけるアサド大統領の狙い』(2013/05/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/362493849.html

『国連総会がシリア国民連合を、政権移行の対話者として認める決議を行った』(2013/05/16)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/361570283.html

『イスラエルが内紛中のシリアを空爆する理由』(2013/05/05)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/359067477.html

『(続)シリアでサリンが使用されたという情報は、米国を参戦させるための捏造か』(2013/04/26)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/357324613.html

『シリアでサリンが使用されたという情報は、米国を参戦させるための捏造か』(2013/04/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/357023672.html

『シリアで化学兵器が使われたのか。お互いを非難する体制派と反体制派』(2013/03/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/348363101.html

『シリア反体制派が暫定政府に首相を選出したが…』(2013/03/19)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/347857251.html

『シリアの使ったガスは化学兵器か?態度を変えつつあるロシア。』(2012/12/25)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/309829131.html

『シリア、サリンを準備中か』(2012/12/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/305190492.html

『ロシアとトルコ、経済では協力、対シリア外交では距離』(2012/12/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/305180076.html

『シリアの砲撃に報復するトルコ。シリアは何故トルコ//砲撃したのか。』(2012/10/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/295414151.html

『シリアは化学兵器を使用するか』(2012/07/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/282860806.html

『シリアで200人規模の虐殺。アサド政権側か、反政府側か。』(2012/07/13)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/280748896.html

『シリアは「戦争状態」にあると認めたアサド大統領に焦りが見られる』(2012/06/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/277587322.html

『シリア軍がトルコ軍戦闘機を撃墜。しかしNATOを敢えて刺激するだろうか。』(2012/06/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/276862619.html

『シリアのシャッビーハ(シャビハ)という狂犬の暴走』(2012/06/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/273939512.html

『撤退どころか越境し始めた。シリア軍の暴走が止まらない』(2012/04/10)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/263642669.html

『シリアに対し、一枚岩になれないアラブ連盟』(2012/04/01)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/261615315.html

『シリアのアサド政権を維持させたいロシアの思惑』(2012/02/06)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/250749829.html

『国際社会による軍事介入の可能性が高まるシリア政府の強硬姿勢』(2012/01/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/248074698.html

『シリアの自爆テロは、反体制派か、アサド政権の自作自演か』(2012/01/08)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/244957285.html

『シリアで任務についたアラブ連盟の監視団。しかしどうにも怪しい。』(2011/12/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/243414862.html

『シリアの報道は事実か?あまりに狂気を帯びた惨状が報じられている。』(2011/11/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/237704569.html

『リビア化するシリアの弾圧とアサド大統領の強硬姿勢』(2011/11/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/236176084.html

『シリアで何が起きているのか。シリア騒乱への経緯。』(2011/11/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/233918198.html



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天皇陛下に手紙を直渡しした山本太郎の非常識と軽薄さ

目を疑った。31日、赤坂御苑で開かれた天皇、皇后両陛下主催の秋の園遊会で、山本太郎参院議員が原発問題に関する自身の見解を書いた手紙を天皇陛下に手渡す映像を見たからだ。

戸惑われた陛下は、一旦は手紙を受け取られたが、すぐに侍従長がそれを預かった。

この山本太郎参院議員が天皇陛下に手紙を渡している映像を見たとき、古い人であれば、1901年に足尾銅山鉱毒事件について明治天皇に直訴した田中正造を思い出したかもしれない。

確かに有害物質の垂れ流しの被害を訴えた、というところは似ているかもしれない。しかし田中正造は覚悟が違った。

彼は、予め議員を辞職し、自決覚悟で明治天皇に直訴したのだ。しかし軽率軽薄な山本太郎参院議員にはそのような覚悟は無く、常軌を逸したカジュアルさで、恐れ多くも天皇陛下を呼び止め、手紙を渡したのだ。

陛下は受け取ってしまったが、侍従長は何をしていたのか。陛下が戸惑っている瞬間に、横から手紙をひったくり、山本太郎を一喝すべきであった。

さて、この事件に対し、参院議員運営委員会は1日午前の理事会で協議がなされた。その後、岩城光英委員長は山本太郎参院議員を呼び出して事情聴取した。

事情聴取が終わった山本太郎参院議員は記者団に言った。

「手紙を渡すことがルールに反しているという意識はなかった。天皇の政治利用にはなっていないと思う。議会のお沙汰や意見は受け止める」

直訴は必ず政治利用を目的としている。そうでなければ何のための直訴か。また、ルール違反ではないという開き直りもしているが、世の中の全ての行為にルールが附帯しいるわけではない。常識の範囲で慎まなければならない行為があるということを、この馬鹿者は分かっていない。

切腹覚悟であったならまだしも、なんなんだこの男の開き直りとカジュアルさは。

今度ばかりは与野党の見解が一致している。

「皇室の政治利用に抵触する可能性がある」

ある。どうみてもある。

従って、自民党の脇雅史参院幹事長は、山本太郎参院議員が辞職しないのであれば、辞職勧告決議案の提出を検討すべきと語っている。

野党民主党の松原仁国対委員長も、

「許されない。議員辞職すべきだとの意見には非常に共感する」

と語っている。

下村博文文部科学相も、

「議員辞職ものだ。まさに政治利用そのものだ。安易に看過することがあってはならない」

と憤った。

谷垣禎一法相は少々冷静に、

「憲法上、天皇は国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない。参院議員が訴状を提出すれば、天皇陛下を国政に引きずり込むようなことになりかねない」

と述べた。同感だ。

古屋圭司国家公安委員長は、

「国会議員として常軌を逸した行動だ。国民の皆さんも許されざる行為だと怒りを持ってみているのではないか」

と語ったが、まさに私は憤っている。他の国民のことは知らないが。

当の山本太郎参院議員は、

「1人の人間としてお伝えしたい」

などと訳の分からないことを言っているが、これが通れば、国民は国政に対する不平不満を皆手紙にしたためて、天皇陛下を呼び止めて渡すことが許されてしまう。議会制民主主義も立憲君主制も何処へやらとなる。

いやしくも国会議員たるもの、問題は国会で議論せよ。思っていた以上に、山本太郎参院議員は失礼な男だった。

しかも山本太郎参院議員は、

「失礼にあたるかもしれないが、自分の気持ちが勝ってしまった」

などと、国会議員としての自覚が無い。つまりは、衝動を抑えきれなかったということではないか。発情期の動物か?

しかも山本太郎参院議員は、陛下を呼び止めるとき、

「子どもたちの未来が危ないです。健康被害も出ています」
「手紙に実情が書いてあるので、お読みいただけませんか」

と口にしている。このような場で口にすることではないことくらい、分からないのだろうか。こんな男が議員では、原発問題は解決に向かわないだろう。

しかも記者団に向かっては、

「どんなレッテルを貼ってもらっても結構」

と開き直っている。

そもそも園遊会では、声をかけるのは陛下からなのだ。陛下に声を掛けていただき初めてお答えできる。明文化されていなくても、それは暗黙のルールである。それを自分から呼び止めるとはなんたる無礼か。だから自決覚悟でなければ成らない行為なのだ。

菅義偉官房長官は不快感をあらわにした。

「(行動が)その場にふさわしいかどうかは、参加した人自らが常識で判断すること。常識的な線引きはあると思う」

ある野党議員も言う。

「国会議員は何をしても許されると思ったら、大間違い」

まったくだ。山本太郎参院議員は何を勘違いしたのか、驕っている。

あの橋下徹大阪市長でさえ言っている。

「日本国民であれば法律に書いていなくてもやってはいけないことは分かる。信じられない」

そう、信じられない。しかも山本太郎参院議員は次の様にも言っている。

「せっかくの機会なので(手紙を渡した)」

ついでか? なんども書くが、なんなんだ、この馬鹿者の天皇陛下に対するカジュアルさは。

厳しく処分されることを望む。



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