29日、国連の反日朝鮮人である潘基文事務総長が、シリアの首都であるダマスカスで化学兵器使用について調査している国連の調査団は31日朝までに撤収すると明らかにした。
「調査団は30日まで活動を続け、31日朝までにシリアを去る。報告は出国後、速やかに行われるだろう」
ということは、米英を中心とする軍事介入はその後になるのだろうか。というのも、この発表の前の28日に、潘基文事務総長はオバマ米大統領と電話会談しているからだ。その内容も、「調査のプロセスをいかに速めるか」、つまり、如何に早く切り上げるか、というものだったからだ。
同時に、アサド政権側も、首都中心部の軍司令部や施設から要員を撤退させているという。これはロイター通信が周辺の住民や反体制派から入手した情報だが、アサド政権側も、軍事介入に対応する準備に入ったということだろう。
一方、国連安全保障理事会では、英国が提案した軍事介入案について、常任理事国5カ国で会議を行ったが、これはいつもの通り、ロシアと中国の反対により、物別れとなっている。
しかしロシアの言い分は尤もだ。
「化学兵器の使用を裏づける調査団の報告書が示されるまで、国連での話し合いには応じない」
また、シリアの国連大使も、
「化学兵器を使用したのは反体制派だ」
と主張して、調査を求める書簡を国連に提出している。
では米英は国連と関係なく軍事介入するかというと、まだ明確には意思表示していない。オバマ大統領は記者会見で述べている。
「シリアへの軍事介入を実施するかについてわれわれはまだ決めてはいないが、われわれの行動はシリアに警告する役割を果たすもので、化学兵器を使用しないよう警告するものだ」
さて、この緊迫した状況で、シリアのメクダド外務副大臣は28日に記者団に対して、化学兵器を使用していないことを改めて訴えている。
「(化学兵器は反体制派の)テロリスト集団が米英仏の支援を受け使用した」
あり得る話だが、後ほど言及したい。
さて、前回のブログの記事で、
──また、ここで西側諸国のやる気を見せなければ、イランが核開発を進めてしまい、その結果としてイスラエルがイランを攻撃する可能性もある。それも避けたいという事だろう。──
と書いた。
すると、今日のニュースでは、イランが先にイスラエルを攻撃しかねないという情報が入ってきている。
28日に、シリアとイランの両国が、もし米軍がシリアを攻撃すれば、その報復として、イスラエルを攻撃し、中東地域が大混乱となるであろう、と警告を発したからだ。
イラン軍のハサン・フィルーザバディ幕僚長は言う。
「シリアへの攻撃によってイスラエルは焦土と化す」
あれやこれやと皆、臨戦態勢になっている。
シリアのジャファリ国連代表も、やや遠回しながらも、臨戦態勢で有ることを語っている。
「われわれは国連憲章の下で自衛権を保障されている」
それにしても事態は乱暴に進んでいる。
何しろ化学兵器を使用した犯人が見つかっていないのだ。しかし、米英仏を中心とする西側諸国は、既にアサド政権が犯人であると決めつけて行動しようとしている。
一方、ロシア側は、反体制派こそが米英に軍事介入させるために化学兵器を使用したとみている。
しかし、少なくとも現時点では、米英仏は犯人を挙げるに足る証拠を示していない。
そして世界は怪しげな情報で振り回されている。
代表的なのは、Youtubeにアップされた化学兵器の被害者たちの映像だ。しかしこれらの中には、8月20日にアップされたものが含まれている。化学兵器が使われたのは翌日の21日だ。詰まり、事前に用意された映像だということだ。
また、それらの動画を詳しく観察した英国の科学捜査研究機関「Cranfield Forensic Institute」の専門家は言う。
「写っている被害者の容態が、化学兵器の被害を受けたにしてはおかしいと思われる点が複数ある」
例えば、体に白い気泡ができているが、使われたとされている化学兵器では、気泡は黄色か赤色になるという。白い気泡は別の攻撃によるものではないか、というのだ。従って、これらの映像を、アサド政権による化学兵器の被害者と見るのはまだ早いということだ。
また、「国境なき医師団」が、治療現場から、これはアサド政権による攻撃だ、と証言したらしいとの情報についても、「国境なき医師団」のスポンサーが米国の金融界や大企業であることを考えると、鵜呑みにしてはいけないとも言われている。
そして世界が漠然と思っていることに、化学兵器を持てるのは、アサド政権側だけだろう、という思い込みがある。
しかしトルコ当局が、同国内のシリア反政府勢力の拠点から、化学兵器を押収している。このことが、一気に反体制派も化学兵器を使うことができることを証明してしまった。
それに、そもそも国連の調査団が到着する早々に、アサド政権が化学兵器を、しかも調査団の目と鼻の先で使う可能性はあるだろうか。この点も疑われている。なぜなら、この時点では、アサド政権側が各地の反体制派の拠点を奪還し、優位に立っていたからだ。敢えて、化学兵器を使用して自分の首を絞める必要はない。
ますます、アサド政権犯人説が怪しくなってくる。
しかも、よくよく注意せねばならないのは、我々の思い込みだ。
なんとなく、シリアの内戦は、アサド政権対、シリア国民という図式を描いてしまっている。
しかし反体制派の実態は、シリア以外のアラブ諸国やパキスタン、あるいは欧州から来たアルカイダ系の勢力なのだという。あるいは、トルコやヨルダンで訓練を受けた傭兵達でもあるのだという。
実際、シリアの一般国民は、アサド政権でも構わないから安定した生活を送りたいと口にしているとも言われる。
だから米軍のデンプシー参謀長などは、むしろ反体制派に政権を取らせてはならない、というような発言もしている。
「シリアの反政府勢力は過激なアルカイダが多く、彼らを支援して政権をとらせることは、米国の国益にならない」
これではアサド政権の方がましだと言っている様なものだ。
さて、もし米英仏などがシリア内戦に軍事介入すれば、前述のイランによる参戦だけでは済まなくなるかもしれない。
米英仏は、軍事介入するのか。化学兵器を使用したのは誰なのか。
以下、シリア関係記事です。
『米国によるシリア攻撃が始まるのか』(2013/08/28)
http://newsyomaneba.seesaa.net/
『シリアで毒ガス兵器により1300人以上死亡。しかし誰が使ったのか』(2013/08/22)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/372654267.html
『シリアでサリンを使ったのは反体制派だとロシアが報告』(2013/07/10)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/368795017.html
『米国がシリアの反体制派への武器供与拡大を決定』(2013/06/14)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/366304428.html
『シリアに対する日本政府の立ち位置』(2013/06/11)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/365988776.html
『シリア内戦を停止させる国際会議の開催は可能か』(2013/05/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/364050350.html
『シリアの内戦がレバンノンに飛び火する』(2013/05/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/
『シリア・ヒズボラ連合で攻勢をかけるアサド大統領の狙い』(2013/05/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/362493849.html
『国連総会がシリア国民連合を、政権移行の対話者として認める決議を行った』(2013/05/16)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/361570283.html
『イスラエルが内紛中のシリアを空爆する理由』(2013/05/05)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/359067477.html
『(続)シリアでサリンが使用されたという情報は、米国を参戦させるための捏造か』(2013/04/26)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/357324613.html
『シリアでサリンが使用されたという情報は、米国を参戦させるための捏造か』(2013/04/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/357023672.html
『シリアで化学兵器が使われたのか。お互いを非難する体制派と反体制派』(2013/03/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/348363101.html
『シリア反体制派が暫定政府に首相を選出したが…』(2013/03/19)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/347857251.html
『シリアの使ったガスは化学兵器か?態度を変えつつあるロシア。』(2012/12/25)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/309829131.html
『シリア、サリンを準備中か』(2012/12/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/305190492.html
『ロシアとトルコ、経済では協力、対シリア外交では距離』(2012/12/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/305180076.html
『シリアの砲撃に報復するトルコ。シリアは何故トルコ//砲撃したのか。』(2012/10/04)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/295414151.html
『シリアは化学兵器を使用するか』(2012/07/24)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/282860806.html
『シリアで200人規模の虐殺。アサド政権側か、反政府側か。』(2012/07/13)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/280748896.html
『シリアは「戦争状態」にあると認めたアサド大統領に焦りが見られる』(2012/06/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/277587322.html
『シリア軍がトルコ軍戦闘機を撃墜。しかしNATOを敢えて刺激するだろうか。』(2012/06/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/276862619.html
『シリアのシャッビーハ(シャビハ)という狂犬の暴走』(2012/06/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/273939512.html
『撤退どころか越境し始めた。シリア軍の暴走が止まらない』(2012/04/10)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/263642669.html
『シリアに対し、一枚岩になれないアラブ連盟』(2012/04/01)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/261615315.html
『シリアのアサド政権を維持させたいロシアの思惑』(2012/02/06)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/250749829.html
『国際社会による軍事介入の可能性が高まるシリア政府の強硬姿勢』(2012/01/23)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/248074698.html
『シリアの自爆テロは、反体制派か、アサド政権の自作自演か』(2012/01/08)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/244957285.html
『シリアで任務についたアラブ連盟の監視団。しかしどうにも怪しい。』(2011/12/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/243414862.html
『シリアの報道は事実か?あまりに狂気を帯びた惨状が報じられている。』(2011/11/29)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/237704569.html
『リビア化するシリアの弾圧とアサド大統領の強硬姿勢』(2011/11/20)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/236176084.html
『シリアで何が起きているのか。シリア騒乱への経緯。』(2011/11/07)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/233918198.html