2013年01月29日

インフレを頭で理解しても、物価上昇に追いつかない賃金上昇に私は耐えられるか。私はうだうだ考えてしまうのだ

私は今のところアベノミクスにどちらかというと賛同しているが、不安な面も多い。それは多くの国民が持っているであろう不安と同じだと思う。実に素朴な不安なのだ…。

29日午前、都内で始まった春闘は、既にアベノミクスによるインフレターゲットが成功することを(暗黙の内に)前提にしている。

しかし、労働組合側と経営側(まぁここでは経団連)では、当然インフレに対する解釈が異なる。その解釈の主なところは、恐らく時間差なのだ。が、それについては後ほど触れたい。

労働組合側の要望は、当然労働者の要望なので、とにかく賃上げだ。これは当然だ。しかし今回の賃上げ理由は少々無理がある。

労働組合側は言う。

「デフレを脱却するためにも、賃上げをして購買意欲を高める必要がある」

要するに、以下の順序だ。

 賃上げ→消費増→物価上昇→企業利益増→賃金上昇

しかし、最初の段階で、企業が少ない利益から賃上げ上昇分を負担せねば成らない。そうなると以下の図式だって成り立つ(どちらが正しいかはここでは問わない。要するに立場の違いを示したいだけなので)。

 賃上げ→企業利益減→賃金減少もしくは失業増→消費減→企業利益減→賃金減

そのような図式を根拠に経営側は反論する。

「賃上げよりも、雇用維持を優先すべし」

これだけだと唐突なので、経団連の米倉弘昌会長の冒頭挨拶を引用する。

「自社の存続と発展、雇用の維持・安定を確実なものにするため、労使が危機感をしっかりと正しく共有し、問題解決に向けた建設的な議論を尽くすことが求められる」

これに対し、連合の古賀伸明会長は言う。

「総額人件費の縮小だけではデフレから抜け出せない。いまこそ傷んだ雇用と労働条件を復元し、人材投資へ経営のかじを切るタイミングだ」

要するに平行線から始まった。

通常、アンチ経団連、アンチ米倉弘昌会長の私だが、今回は連合側の主張が性急過ぎると思っている。

経団連は主張する。

「デフレの進行で実質賃金は上昇している」

間違ってはいないだろう。物価の下落に対して、賃金の下降は遅れるのが常だからだ。だから賃上げは必要無い、もしくは我慢しろと言っている。

ただ、次の主張はかねがね経団連が主張していることと矛盾する。

「海外企業との競争激化により、賃上げはできない」

おいおい、グローバルな競争に打って出てこそ企業は発展するのでは無かったか?つまり、経団連も認めているのだ。グローバル化とは、世界の最低賃金との競争であると。グローバル化で儲かるのは、大資本とその経営陣・株主だけだと。

連合は1%の賃金引き上げを求めている。それすら経団連側は無理だと言う。

「経済が成長して(初めて)雇用が創出できる。したがって今のような状況では(給与引き上げは)非常に厳しい」

ここが国民には納得しずらい部分だ。要するに、どうしてインフレが不況脱却に必要なのか,という部分だ。

実際、インフレになれば、物価が上がるわけだから、実質賃金は下がり、消費が萎える。恐らく私も貧しくなるだろう。間違いない。

しかしマクロで見ると、物価上昇は実質賃金を低下させるため、企業に取っては雇用を増やしやすくする(という理屈)。そのことによって、失業率が低下し、そこまで行けば、消費が増え始める。そしてようやく企業利益が上昇し、賃金上昇にたどり着くのだ、というのが経団連側の理論だろう。

だから、インフレを見込んで賃金を上げてしまったら、せっかくの経済政策が失速してしまうのだ、ということになる。正しいかどうかではなく、両者の立場の違いを述べている。

しかし連合は平行線の主張を続ける。

「個人消費を活性化する必要がある。そのためには所得を上げる必要がある。そういうことによってデフレが脱却できる」

これでは妥協案が見いだせない。どうなるのか。とりあえず初回は、

経団連側が、

「労使が危機感を正しく共有し、建設的な論議を尽くすことが必要だ」

とし、連合側が、

「デフレ脱却にはこの春の労使交渉の結果も大きなカギを握る」

と、つまりは根気よく議論しましょう、ということになったようだ。

私はどちらか?勿論貧しいサラリーマンである私の場合は、私一人だけでも賃金を上げてくれ、が回答だ。しかし国の経済政策としては、一時的な実質賃金低下に耐えねばならないのだろうなぁ、とも思っている。つまり、皆は我慢してくれ、私は勘弁してくれ、という非常に自己中な思いでいる。とても国家を論ずる資格はないのだ。

とにかく、春闘はまだ時間がかかる。3月になると大企業の回答が相次ぐので、そこが山場になる。

ただ、連合が言うことは分かる。

「確かに企業にとって厳しい経営環境が続いていると思うが、デフレから脱却するためには賃金を引き上げていくことが不可欠だ。今後、物価が上がっても賃金が上がらなければ大きな混乱が起きる」

そう、混乱が起きるのだ。国民は目の前の生活感が重要だ。アベノミクスはなんだかいいらしい、と思っていたら、物価ばかりが上がって実質賃金が下がってしまい、貧しくなった。どうしてくれるんだ。次の選挙では自民党は支持しない、となるだろう。

そうなると、与党はアベノミクスを継続できなくなる。そして中途半端なインフレだけ残して失速することにもなりかねない。全く民主主義というのは、面倒な制度なのだ。

しかし連合の理屈は問題がある。つまり、デフレ下で賃金を無理矢理上げても、インフレにはならないからだ。

デフレは、「需要<供給」であり、「物の価値<現金の価値」である。

つまり、無理矢理賃金を上げても、上記の不等号は変わらない。何しろデフレ下の物価下落は、別に原材料が安くなったからとか、人件費が下がったから起きているわけでは無い。安い輸入品のせいだ、という意見もあるが、これは順序が逆で、消費の減退が安価な輸入品を招いたと言える。円高はそれをさらに後押しした。

デフレでは、「労働需要<労働供給」も成り立っているため、すなわち労働力過剰も企業の付加価値低下や賃金低下を招く。

そんな時に無理矢理賃金上昇を行えば、企業の労働コストが上昇し、企業はその解消のためには製品に転嫁せねば成らないが、「需要<供給」の状況下では、不良在庫を抱えて最悪の場合は倒産になってしまう。在庫をさばくために再び低価格にすれば、当然賃金上昇が利益を圧迫してしまう。

結局、失業者が増えてしまう。当然、社会保障負担も増加する。だからといって増税すれば、さらに可処分所得が減少し、消費は冷え込んでいく。それは当然、企業を衰退させてしまう。

これがデフレの怖さだ。

逆にインフレになると何が起きるのか。

まず、物価が上昇するため、現金を保有している期間が長いほどマイナスの利息が生じることになる。

どういうことか。

例えば、今日1000円で買えるものが来週には1500円に上昇する場合、今日の1000円は来週には500円分の価値が減少してしまうのだ。

どうする?そう、物価が上がる前に(現金の価値が下がる前に)買うのが良い。皆がそう思えば、消費が拡大する可能性がある。

同時に借金を抱えている場合は逆転現象が起きる。1000円の借金は来週には実質500円の負担が減る。ならばどうする?そう、どんどん借金して消費や投資をした方が良い、となる。

それがインフレに期待される効果だ。

ただ、前述の様に、1000円から500円の価値が減少してしまうということは、給料の1000円からも500円の価値減少になってしまう。これが実質賃金低下の減少だ。

しかし、そうなれば企業にとっては、実質賃金低下によって雇用が楽になる。ああ、悩ましい。

そこで内閣は、インフレと同時に賃金が上がるように、給与やボーナスを引き上げた企業には減税しましょう、といった構想まで出ている。すなわち、国民が一時的な実質賃金低下に耐えられなくなる可能性を想定しているのだ。

また、通常は物価指数のコアコアCPIなどには含まれては以内電気料金やガス料金は、円安の結果として上昇する。素朴な国民の多くはこの「価格上昇」をも「物価上昇」と受け取るだろう。そうなるとますますアベノミクスは継続が困難になる。

と、うだうだ書いてきたが、これは国民が経済政策というものをどの程度理解しているか、あるいは景気上昇までの期間や、物価上昇と賃金上昇のタイムラグをどこまで我慢できるか、という話に収束するかもしれない。

一旦ここで結論めいたことを書けば、アベノミクスの目的は、財政出動と金融緩和のパッケージでインフレを起こし、名目賃金を一旦下げ、雇用を増やし失業者を減らすと同時に、実質金利を下げ、消費や投資を拡大して、景気を良くする(GDPを成長させる)、ということになろうか。

そして理想的には、消費や投資が拡大し雇用が増加することで、労働市場に雇用獲得競争が始まり、賃金が上がっていく、ということになる。

結局、正しい経済政策を政治家にやらせるには、その前に、経済政策とはどうなっているのか、ということを国民が理解せねばならない、という困難な壁が立ちはだかっている。

アベノミクスは今のところ、ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授や同じくノーベル経済学賞受賞者の米プリンストン大・クルーグマン教授らが支持しているが、成功するかどうかは、まだまだ分からない。



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2013年01月27日

ダボス会議でデフレ脱却を宣言した日本

前回の投稿で、ドイツのメルケル首相が日本の経済政策に対して難癖を付けたことを書いた。

『為替操作だ、と難癖を付けるメルケル首相と、当たり前に反論する麻生財務相』(2013/01/25)
http://newsyomaneba.seesaa.net/?1359253787

恐らく輸出依存度の高い国は、日本に対して似たような難癖を付けてくるだろう。

そんな折、スイスで開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、甘利明経済再生相が、アベノミクスが非難されるいわれが無いことを主張したが、例によって朝日新聞では、このことを

「甘利明経済再生相は「正当性」の主張に躍起になった。」

と、まるで後ろめたい政策に対する言い訳に必死になったかのようなマイナスイメージを国民に植え付けるための偏向報道を続けている。

朝日新聞はさっさと倒産すればよい、と思っているのは私だけでは無いだろう。昔は「朝日は赤い」と揶揄されていたらしいが、最近では「朝鮮日報新聞」の略称だろ?と言われているとか(笑)。

と言いながら、その朝日も参照しつつ(おいおい)、どんな状況だったかさくっと見ておきたい。

すでに「円安誘導の為替操作だ」との批判には、麻生太郎副総理兼財務・金融がまっとうに反論済みだが、相変わらずダボス会議でも「円安誘導政策だ」などの批判が出ていたようだ。

しかし意外だったのは、あの緊縮財政原理主義かと思われるIMFのラガルド専務理事が、

「『アベノミクス』と呼ばれる日本の経済政策を十分に理解しているし支持している。正しい選択だ」

と日本の経済政策に賛同したらしい、ということだ。本当だとすれば、IMFへの私の偏見も少し補正すべきかもしれない。

ただ、今後の日本のマスコミでは、IMFの評価はがらりと反転して伝えられる可能性がある。なぜかというと、日本のマスコミのIMF側窓口は、財務相からの出向者たちなので、彼らが財務相に都合の良い記事を提灯マスコミに書かせてしまうからだ。

まぁ、今のところまだその手の記事を発見してはいない。

今回のダボス会議では、日本がかなり注目されたようで、批判だけでなく、質問や擁護もみられたようだ。

繰り返しになるが、批判の主なものは、政府と日銀が共同声明を出したことで、

「中央銀行の独立性を薄めていないか。意図的に為替レートを下げていないか」

というものであり、これについては既に麻生太郎副総理兼財務・金融相や安倍晋三首相自身が、日銀の独立性とは手段の独立性であり、目標とは別、と説明済みである。

そしてもう一つの批判は、円安誘導政策だ、というものであったが、これについては甘利明経済再生相が、

「物価上昇目標2%は国際標準。為替を決めるのは市場だ。(アベノミクスで)日本が健康体を取り戻すことは、世界も歓迎することだ」

と、正論で応えている。

擁護については、

「今の為替レートが、自己防衛か、隣人窮乏化政策かの線引きは微妙だ」

とこれま批判めいた質問にたいし、カナダ銀行のカーニー総裁が擁護したことだ。彼はごく簡単に言った。

「日本が国内に物価目標を設けたら、たまたま為替が動いただけ。為替介入ではない」

全くその通りである。また、OECDのグリア事務総長も日本の経済政策を支持した。

「日本の成長は大歓迎だ」

そうなのだ。日本が世界に貢献できることはTPPなんぞではなく、経済成長することなのだ。デフレ脱却の見本を示し、成長に合わせて世界の市場としても活性化できる。

以上の様なやりとりを持って、甘利明経済再生相は、

「一部の誤解は解けた」

と語った。

結果、日本は野田佳彦前首相が世界に宣言した、増税とTPPで日本を潰します、という宣言と真逆の宣言をしたことになる。甘利明経済再生相は言う。

「アベノミクスの特徴は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起していく成長戦略の3本の矢を同時展開することです」

しかし輸出依存度が高く、自国通貨安政策によって輸出を伸ばしてきた韓国を初めとする国々は、反発するであろう。

実際、2月のG20財務相・中央銀行総裁会議では、日本の円安政策を議題にすべきと言う動きが出ているらしい。

ともかく、アベノミクスの成功までの道のりは険しいが、もし成功すると、喜ぶ国、困る国が見えてくることになる(想像は付くが)。

以下、関連記事です。

『為替操作だ、と難癖を付けるメルケル首相と、当たり前に反論する麻生財務相』(2013/01/25)
http://newsyomaneba.seesaa.net/?1359253787



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2013年01月25日

為替操作だ、と難癖を付けるメルケル首相と、当たり前に反論する麻生財務相

だからユーロはダメなのだ。ドイツの為のユーロは、ドイツの原理主義で破綻しかけているではないか。

と、追い詰められているドイツのメルケル首相は、アベノミクスを始めた日本に難癖を付け始めた。

24日に、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、メルケル首相は安倍政権が円安誘導としての為替操作をしていると非難した。いや、悲鳴を上げたかったのかもしれない。

「為替レートの政治的な操作に関心が集まっているなかで、今の日本に懸念がある」

これに対し、翌日の25日の閣議後の記者会見で、麻生太郎副総理兼財務・金融相は反論した。

「金融緩和はデフレからの早期脱却が目的。為替操作との批判は全く当たらない」

全くそのまんま、現実を答えている。そして円安が進んでいることについても残念な頭のメルケル首相のために簡単に答えている。

「行き過ぎた円高が修正されつつある局面だ」

まったくその通りだ。

ただ、メルケル首相の悲鳴は、他の国も同様な感情を持っている可能性は高い。何しろ、円高の時でさえ、輸出力のある日本が、円安にむかったのだから、戦慄する者たちも多いであろう。

そのダボス会議に出席する甘利明経済政策担当相も、国際社会に説明せねば鳴らないとして述べた。

「懸念は一部のものだと理解している。私としては全く懸念がないようしっかり説明したい」

一部とは言えまい。特にドイツや韓国などの輸出依存度が高い国ほど、日本の円安に怯えているはずだ。

だからメルケル首相は日本を名指しで、通貨安競争を始めたとする懸念を示したのだ。

特にこの2ヶ月の間に、ドルに対する円安は約1割も進んだ。しかしリーマンショック後に初めて開かれたG20会合時には、1ドルは110円だったのだ。そのことも麻生太郎副総理兼財務・金融相は指摘している。メルケル首相は感情的にしか反論できないだろう。

しかしメルケル首相の言いがかりはこれだけではなかった。とにかく円安が気に入らないので、

「政府が中央銀行に圧力を掛けるべきではない」

と内政干渉まがいの発言までしている。中央銀行の独立性を理解していないのは、日本のマスコミやエコノミストだけではなかった。メルケル、おまえもか。

中央銀行の独立性は、政策手段にかんするものだというのが、国際的なコモンセンスだ。政府が子会社の日銀に目標を与えて責任を持たせることは全く問題が無い。

しかしドイツの出品は、例えば車もそうだが、日本と競合するものが多そうだ。円安で相対的にユーロ高になってはたまらない、ということだ。確かに世界は通貨安戦争状態にある。だったら、まずは国を挙げて自国通貨を下げまくり、その結果として輸出産業を世界トップクラスの売り上げにまで育て上げた韓国を非難したらどうか。あるいは中国はどうだ。

そして輸出が命のドイツでは、メルケル首相だけでなく、与党のキリスト教民主同盟(CDU)の幹部である、ミヒャエル・マイスター議員までヒステリーを起こして22日に語っていた。

「円相場を押し下げようとする日本政府の行動は他の20カ国・地域(G20)メンバーからの報復を呼び、脆弱な景気回復を損なうリスクがある」

そして実際に、ミヒャエル・マイスター議員はG20のメンバーに、日本の円安を阻止するよう協力要請をするという。それって、よってたかっての内政干渉だ。しかし彼は続けた。

「日本の競争相手は何ができるというのか。賢明な態度をとり何もしないか、日本に追随して全員が打撃を受けるような悪循環を作り出すかのどちらかしかない」

繰り返すが、安倍政権が行っている経済政策には為替介入は含まれていない。財政出動と金融緩和だ。特に金融緩和は、円の供給増加になるので、当然円安にはる。しかしそれをいちいち「為替操作だ!」と言われていては、どの国もまっとうなデフレ対策はできなくなる。

しかも安倍政権が目指しているのは、まずは復興と財政出動による内需拡大だ。韓国のような露骨な通貨安戦争で輸出競争に勝とうというのでは無い。

悔しかったらドイツもやれば良い。なにしろユーロ圏は失業者で溢れかえっている。もっともこの大量の失業者を生み出しているのは、ほかでもない、ドイツの輸出政策だ。ドイツは輸出の7割を欧州向けで稼いでいる。つまり、失業をユーロ圏に輸出しているのもドイツだと言える。

しかも、まだまだ前途多難とは言え、もしもアベノミクスが成功すれば、ユーロ圏諸国は動揺する。

「離脱して、日本の真似こいた方がよくね?」

となる可能性があるからだ。それをメルケル首相は、最も否定したいだろう。



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2013年01月24日

所詮、教師なんてその程度の責任感でしょ。期待する方がナイーブすぎる?

──ご注意!!!──

今回は少々乱暴な記事になっていますので、教師という職業に敬意を払っている方や、自分自身が教師で誇りを持っているという方は決して読まないでください。頭にくるからです。

──────────


──では始めます。

私は学校(主に中学、高校)の教師という職業に偏見を持っている。ろくでもない人が教師になるのだという偏見を持っている。教師に立派な人間など希少だと思っている。

このことに統計などない。私の偏見なのだから。だから教師に何事かを期待している人達を見ると、「あまーい!」と思ってしまう。教師になど崇高な職業意識など無く、むしろ普通の会社員並の責任感も無いだろうと思っているからだ。

と厳しく書いたが、以上は私の個人的な偏見なので、勝手に書かせていただいた。立派な教師が皆無とは言わない。が、四つ葉のクローバーほどのもので、見つかれば驚くかもしれない。

などと書いてしまうと、相当攻撃されそうだが、敢えて書き換えない。

さて、そのような私は、以下のニュースを知っても、さほど驚かないし、憤慨もしない。

むしろ、教師に同情してしまう。

なぜなら彼らは生活のために教師をやっているからだと思うからだ。決して日本の教育を良くしようとか、子供達を立派に育てたいなどと思っている人は絶滅危惧種程度の生存率でしか無い、と考えているからだ。

まずは岩手県。

岩手県では、今年度末に定年退職する県職員の退職手当を一人平均160万円程度削減する方針を固めた。といっても、年度内に施行するには、県議会2月定例会で関連条例の改定案を提出する必要がある。

岩手県では今年度末に退職する県職員は教職員や警察官を含めて490人だ。退職手当の調整内訳は、部長級で約179万円、主任主査級で約138万円を減額し、総額で約8億円を浮かせようとしている。

この動きは昨年11月に成立した改正国家公務員退職手当法に基づく。そのため、国家公務員は今年度末から削減されるが、県の条例改正は、総務省からの要請を受けたことによる。

当然反発する。労組側は削減方針の撤回を掲げて座り込みを始めた。当然だろう。誰だって金は欲しい。労働組合側は主張する。

「退職直前の削減は人生設計を狂わせる」

反論できない。もっとも私など、退職金そのものが無いから、もらえるだけでも羨ましいのだが。

県職員関係の7労組で作られる県地方公務員共闘会議は言う。

「労使の信頼関係がなければ埼玉のような問題が起きないとも限らない。業務に支障が出ない配慮が必要だ」

埼玉のような、とはどのようなことか。

実は退職手当削減を2月1日に施行する埼玉県では、退職金を減らされてたまるか、と慌てた教職員110人が、施行前の1月中に退職してやる、という事態になった。

「教育?子供のことはどうなるか?そんなこと知ったことか!俺たちは金のために(ガキ相手のつまらない仕事でも適当に)働いてきたんじゃないか。馬鹿野郎!」

とは誰も言っていない。が、私が代弁してみた。まぁ、それほど大きく外れていないだろう。

とういことで、岩手県でもこの後揉めることになるだろう。

さて、神奈川県。

こちらも既に「駆け込み退職」が始まった。黒岩祐治知事は23日の定例会見で語った。

「そういう教師が出てきていること自体が残念でならない」

いやいや、そんなもんだろう。教師など、その程度の職責しか感じていないのだ。退職金をきっちりいただいて、余計な労働はキャンセルする、というのが彼らの行動様式だったわけだ。きれい事を言って批判しても始まらない。

しかし、本当は思っていないのかもしれないが、知事の立場として続けた。

「卒業生を送り出す直前に退職するというのはショックだ。教職員として一生懸命やってきた最後の仕上げ。思い入れを持って向き合っていたはず」

また、

「生徒を置き去りにして、ポイと辞めてしまうというのはやりきれない。生徒がかわいそうだ」

などと語った。

いやいや、だから教師どもにそんな思い入れなどないのだ、ということがこの事態で良くわかるではないか。元々教師なんぞに崇高な使命感を期待していない私は、当然の事態だと思う。ひっとすると、教師の使命感や責任感なんぞ、民間企業のサラリーマン以下かもしれないのだ。もちろん、どんな世界にも例外はいるが。

その証拠とまでは行かないが、教師以外の一般職員や警察職員からは、いまのところ「駆け込み退職」希望者は出ていない。

つまり、教師がもっとも卑しい行動をとっているんのだ。しかし、私は責めないし、がっかりもしない。もともとその程度だと思っていたからだ。

「ほら見ろ。」

そう思っている。ただ、繰り返すが、例外は必ずいる。強い責任感と崇高な使命感を持って教師になった人もいるだろう。しかし四つ葉のクローバーだ。いや、もう少し確率は高いか。

さてさて、慌てたのは下村博文文科相だ。地方公務員の駆け込み退職が相次ぐ事態に、

「クラス担任など責任ある立場の教職員については、最後まで誇りを持った仕事として、全うしてほしい」

と説得力の無いことを言っている。教育よりも金だ。老後の資金だ。目の前の現ナマだ。教師も人の子だ。この退職手当のために公務員をえらんだんじゃないか。我慢してきた日々をなんだとおもっているんだ?と言いたいことだろう。よく分かるつもりだ。

次に福岡県。今のところ駆け込み退職の申し出はないという。まぁ、時間の問題だろう。

福岡県でも行政職、教職員、警察官の退職手当を、本年度から数年にかけて段階的に引き下げる条例改正案を検討している。目指しているのは2月開会予定の県議会での提案だ。

ただ、皆が私の様に教職員に同情的(つまり、その程度だと思っていただけ)ではない。福岡市中央区のある団体役員男性40歳は憤慨している。

「公務員の世界は逃げ得を許すのか。駆け込み退職なんて民間では考えられない。社会の厳しい目を公務員は自覚すべきだ」

その憤りも分かる。あなたは真面目なお方だ。偉い。しかし公務員に期待しすぎかもしれない。やはりずいぶんと前から当てにしていた金が減るのは辛いだろう。まして崇高な使命感やら責任感などない教師には辛いと思うのよね。

ただ、警察官は、教師なんぞよりも責任感を持って欲しい。それについて同じく福岡県警のOB62歳の方が、まだ福岡県では始まっていないが、他県で始まった警察官の駆け込み退職について憤っている。

「目先の利益のために辞めるのはいかがか。人生設計とかきれいごとじゃない。採用や拝命したときに抱いた『社会のために働く』という覚悟を忘れたのか」

そうだそうだ。さすがに警察官にはそこそこの責任感やら使命感を持って欲しい。しかし、やっぱり「覚悟」を忘れたのだと認めざるを得ない。怒ってもしかたないのだ。

福岡県は意見が盛り上がっている。福岡県宮若市の元中学校校長という61歳の男性は言う。

「世間では職場放棄という批判もあるが、子どもを見捨てようと思って退職する教員はいない」

いや、たくさんいるのですよ。でも彼は同情も寄せている。

「個人としては職責を果たしたいと思う。しかし、教職員それぞれに人生設計があり、仕方がない側面もある」

大人だ。実に立場をわきまえたバランスの良い意見を述べられた。

もっと生活感溢れるのは、福岡市の55歳の女性だ。

「駆け込み退職者が一概に悪質とはいえない。夫が同じ境遇だったら退職を勧めると思う」

だよね。

しかし問題は、学校から教師がいきなり減ってしまうという現場だ。そこで文部科学省は各地の情況調査を始めたということが24日に分かった。

文部科学省は、3月末までに条例改正を実施予定している自治体の教育委員会を対象として、早期退職した教職員の人数などを聞き取り調査するという。

そして佐賀県。こちらは既に25人が昨年末には退職していた。素早いではないか。県民性か。(実はカラクリがあるのだが、それは最後にお教えしましょう)

県民性とすると、静岡県は今のところ責任感があるようだ。あるいはあきらめが良いのか。静岡県も今年度中の改正条例施行を目指しているのだ。

しかし、今のところ教職員も含めて駆け込み退職希望者は出ていない。まだ分からないが。

ある県幹部は語る。

「住宅ローンの返済に退職金をあてにしていたが、財政が厳しいのは分かるし、仕事を放り出す訳にはいかない」

なるほど。偉い。また、3月末に定年だという男性警部も語る。

「他県の警察官が早期退職する現状があるが、自分がやってきた仕事に誇りや気概はないのか」

静岡県はちょっと違うぞ。個人だけでは無い。県職員組合の立場も次の様なものだ。

「年度途中の退職は職場に迷惑がかかるので、推奨はできない」

そして驚いたのは、県教職員組合だ。

「学校現場に混乱をもたらす可能性がある」

としている。

と、ここで前述した素早かった佐賀県民の県民性か、とうっかり思ってしまった佐賀県には、カラクリがあったのでご紹介したい。

これはどこの県でも認められているカラクリでは無い(念のため)。

佐賀県では、教師も含めて行政サービスの現場への影響を回避するために、一旦退職した職員のほとんどを、「臨時任用」という形態で再雇用するのだそうだ。そしてもともと定年予定だった3月末まで現場で働いてもらう。

おいおい。確かにその方法であれば現場の混乱は生じないが、それって要するに、退職金は正規のまま手に入れて、その上本来予定されていた定年までの給与もちゃっかり手に入れることができるという「裏技」であれ、モラルハザードが起きるではないか。

結局支払い額はかえって(この年度末だけは)増加してしまうではないか。

ずるい!

が、現場の混乱を無くすには、しかたがないか。ただ、他県でも認められるかどうかは微妙だ。



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2013年01月23日

アルジェリアの人質事件で見えてこない日本大使館の不思議

23日午前に行われた記者会見で、菅義偉官房長官が明らかにした。

「22日、7人の遺体を首都アルジェに搬送し身元の再確認が終わった」

早ければ24日中にも、7人の遺体と無事であった7人が帰国する。ただ、まだ3人の安否が分かっておらず、これについては菅義偉官房長官も、

「残念ながら、(情報は)無い」

と述べた。

安倍晋三首相の特使として派遣された鈴木俊一外務副大臣は、アルジェリアに到着すると、セラル首相と会談し、ブーテフリカ大統領に首相親書を渡す予定だ。同時にいまだ情報がない3名の安否の確認を急がせる。

前日の22日には、既に現地対策本部にいる城内実外務政務官がガブリア内務相と会談しており、亡くなった7人の遺留品回収を求めると同時に、アルジェリア国内での日本人の安全確保への協力要請を行った。

なお、アルジェリアに向かった政府専用機には、被害に遭った日揮の関係者らも同乗している。当然、亡くなった方々や無事だった方々の迅速な帰国を支援することと、残る3名の安否確認のためだ。

──と、ここまで各方面の関係者らの動きを簡単に書いてきたが、この間、アルジェリアの日本大使館の動きが見られない。どうしたことか。

このような緊急事態に、真っ先に邦人保護の活動や情報収集に動けるのは現地の日本大使館ではないのだろうか、と誰もが思ったに違いない。

しかし、日本大使館は、アルジェリア軍が人質をとった武装勢力への攻撃を行うという情報を掴んでいなかったらしい。これだけでも失態だが、その後の情報収集も満足にできていないという。

その日本大使館のトップは、川田司特命全権大使57歳だ。

川田司特命全権大使が外務省に入省したのは1977年。その後、在イタリア参事官、駐フランス公使を経て、アルジェリア大使に就いたのは昨年の9月だった。

ただ、この川田司特命全権大使には傷がある。2001年に外務省の裏金プール事件が発覚し、厳重訓戒を受けている。また、国連行政課長時代には、国連への出向職員に対して給与の二重払い問題を起こしている。

その川田司特命全権大使をトップとする日本大使館は、アルジェリア政府とのパイプを構築していなかったのか、軍の攻撃に関する事前通告を受けないばかりか、情報収集もできていなかったらしい。事件は起きていたのにだ。

これではいざというときに役に立たないではないか。実際、役に立たなかった。犠牲者も出た。

下世話な情報で恐縮だが、川田司特命全権大使クラスになると、年俸は3000万円前後(ボーナスや配偶者手当など込み)だという。

このような日本大使館の姿勢について、戦場ジャーナリストの志葉玲氏は日刊ゲンダイの1月22日号で語っている。

「イラクで邦人の人質事件が起きたとき、外務省の大使館職員はアルジャジーラを見て情報収集していたと聞きました。それほど、日本の大使館の情報収集力は乏しい。欧米の大使館は日常的に現地で情報収集しているが、日本はそういう危機意識が低く、コトが起きたときの交渉パイプもない。だから、われわれのようなフリー記者は、大使館をアテにしません」

当てにしません──って、いろいろ事情はあったのかもしれないが、この間の緊迫した報道には、日本大使館の役割が見えてこない。


以下、アルジェリア並びにマリ共和国関係の記事です。

『アルジェリア政府は、テロに屈しないために、人質を犠牲にしたのか』(2013/01/18)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/314066284.html

『マリ共和国へのフランスの軍事介入とイスラム武装勢力』(2013801/15)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/313564347.html



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国連安全保障理事会の北朝鮮への制裁決議に中国も妥協したが…。

22日午後、国連安全保障理事会は、北朝鮮に対して海外に保有する資産凍結や渡航禁止の制裁を強化するという決議を、全会一致で採択した。

これは昨年の12月に、北朝鮮が事実上の長距離ミサイルを発射したことを受けたものだ。このことで国連安全保障理事会がミサイル発射に対する制裁決議を初めて採択したことになった。

さらに、今後も核実験などを含めた挑発的な行為を北朝鮮側が行った場合は、

「意味ある対応を取る」

とさらなる警告を加えている。

決議では、弾道ミサイル計画に関わる全ての活動停止が要請されている。すなわち、2009年の安保理決議1874と2006年の1718に明確に違反していると指摘された。

この度の制裁では、各国政府が貨物を差し押さえる実効性が高められている。例えば貨物の中身が禁輸品の指定を受けていない場合でも、発送元が制裁対象であれば、差し押さえることができるものとした。

この採択が発表された後、西田恒夫国連大使は取材陣に対して評価の言葉を語った。

「わが国の意向が反映された」

しかし米国のライス国連大使はこの度の決議内容だけでは少々不満だったのか、北朝鮮に釘を刺している。

「北朝鮮が従わない場合は、さらなる重要な行動を取る」

それでもこの度の決議が出せたことは大きい。というのも、これまで北朝鮮への制裁を嫌っていた中国が比較的強い議決内容に妥協したからだ。中国で何かが変化している。

安保理の外交筋の話ということだが、この度の日米韓は、まだ新指導部が発足したばかりの中国に対して、以下の様に迫ったという。

「決議案に賛成しないと孤立化しかねない」

他にも中国が妥協せざるを得なかったのは、昨年4月の議長声明でも既に、

「さらなる発射には相応の行動を取る」

と釘を刺していたことを安保理として示さねばならなかったこともあるからだと見られている。

中国の李保東国連大使はこの度の決議について語った。

「この決議をスタート地点として、六カ国協議再開など地域の安定に力を尽くしたい」

また、中国外務省もこの度の決議を評価するコメントを寄せている。秦剛報道局長のコメントだ。

「全体的にバランスの取れたものだ」

何故このようなコメントになったのか、いくつかのメディアを見ていたら、関係ありそうなコメントがあった。李保東国連大使のコメントだ。

「最初の交渉では北朝鮮経済と人々の生活を危険にさらす要素が入っていた。採択された決議には、そのような要素は含まれていない」

要するに、当初(日米韓の?)議決案はより強い内容だったようだ。それに対し、中国が妥協しやすいように、(恐らく日米韓側により)内容が見直されたのだろう。

しかしこの瞬間から、北朝鮮がさらなる強硬措置を執った場合は、六カ国協議の早期再開を目指す中国にとっては、非常にやっかいな事態となることが決まった。次の李保東国連大使のコメントには、その辺りの事情がにじみ出ているように感じる。

「今回採択した決議は多くの交渉の結果だ。これは朝鮮の打ち上げに対する国際社会の立場を表明している。同時に、対話と交渉を通じた平和的な問題解決を希望していることや6カ国協議の再開に向けた積極的な姿勢を示している。国際社会の当面の急務は情勢の悪化とエスカレートを防止することだ。中国は最初から、安保理の決議と制裁だけでは問題を解決できないと強調している。対話と外交を通して問題を解決することが根本的な方法だ。新たな年を迎え、各方面が誠意を持って積極的に朝鮮半島の平和と安定と言う大局を維持するよう努め、誤解をなくし、相互信頼を増し、互いの関係を改善させ、情勢の改善に向けて進むよう期待している。これも決議が各方面に明確に発信している重要な情報である」

実際、北朝鮮はやる気だと思えるニュースも入っているので後ほど触れたい。

さて、この度の決議に盛り込まれた制裁措置の中心は、2006年と2009年の決議に基づいている。それは資産凍結と海外渡航禁止措置だ。

具体的には既存の制裁対象リストに、この度のミサイル発射を企画した「朝鮮宇宙空間技術委員会」などの6団体と4人の個人が追加された17団体と9個人が対象となった。これらの団体並びに個人の国連加盟国にある金融機関の資産は引き出せない。また、ビザも発給されないこととなる。

中国が妥協した案になったとは言え、日米は共に「強い内容だ」と評価している。

ただ、懸念材料は相変わらず存在しており、それは、妥協したはずの中国が制裁違反を犯してしまう可能性だ。既に中国経由で制裁違反が報告されているためだ。

それでも安倍晋三首相は歓迎のコメントを出した。

「我が国の考えが多く反映される形で安保理決議が採択されたことを歓迎する」

その上で、

「北朝鮮に対し、国際社会の断固たるメッセージを重く受け止め、さらなる発射や核実験を含む挑発を決して行わないことを強く求める」

と加えている。

と、各国の思惑が妥協点をなんとか見いだした決議が採択されたが、党の北朝鮮はやる気を見せているから困ったものだ。

23日、北朝鮮外務省は上記の国連安全保障理事会の決議の採択に反発するコメントを出した。

「米国の制裁圧迫に対し、核抑止力を含む自衛的な軍事力を質的、量的に拡大強化する物理的対応措置を取ることになる」

これは、3度目となる核実験をするぞ、という意思表示だとも受け取られている。というのも、北朝鮮の癖があるからだ。

2006年の安保理非難決議の約3ヶ月後に北朝鮮は核実験を行った。また、2009年にも安保理議長声明が出された約1ヶ月半後に、2度目の核実験を行った。

常に反発してきているのだ。だから、この度の議決採択は、却って北朝鮮の核実験を促してしまう可能性がある。

実際、米国は、北朝鮮北東部豊渓里にある核実験場の衛星写真を分析した結果、2週間程度で核実験を行える体制が維持されているという結論を出している。

そのような分析をされていることを見越した上でだろうか、北朝鮮の外務省は以下の声明を同じ23日に出している。

「平和的衛星打ち上げをあえて不法化し、わが国の経済発展と国防力強化を阻害する敵対措置だ」

さらにより挑戦的な声明を加えた。

「より威力のある運搬ロケットをさらに多く開発して打ち上げるだろう」

ただ、これもいつもの北朝鮮の声明の出し方だが、一方では米国と協議を続けたいというようなコメントもしている。

「朝鮮半島と地域の安定を保障するための対話はあっても、非核化対話は存在しない」

それにしても、やっかいな国が核を持っているものだ。吉外に刃物(ATOKはわざと正しく変換してくれない)か。



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2013年01月20日

迷走する日本維新の会。「船頭多くして船山に上る」にならないか?

19日、相変わらずまとまりの無い日本維新の会は、今度はいよいよ党の代表者を二人立てることにした。

現在代表代行の橋下徹大阪市長を代表にすることに決定したのだ。ただし石原慎太郎代表はそのままなので、二人を共同代表にするという。

これはあからさまな夏の参院選対策だ。しかし代表を二人にしたかたといって、支持率が倍になるわけではなるまいし。なんだか滑稽だ。

しかも日本維新の会はいまだに石原慎太郎氏の太陽系と橋下徹大阪市長の大阪系が混ざれずにいる。却って分離するきっかけを作ることになりはしないか。(個人的にはそれを歓迎するが)

橋下徹大阪市長は都内での党会合後の記者会見で述べた。

「東京、大阪という二つの拠点で党運営していく。東京一極集中を分散化する意味もある」

相変わらず印象論が好きな人だ。政党を一極集中しなければ、ただの分離ではないか。

いつもの様に、抽象的で何を言いたいのか、何をしたいのか全く分からない。橋下徹大阪市長というのは、庶民に心地よくあるいは新鮮に響きそうな言葉選びをしているだけの男だ、と私は思っている。

そして参院選対策をちょろっと述べた。

「みんなの党の力も借りたい。みんなは改革志向を通している。二大政党制を前提としているいま、野党が分かれているのは絶対得策じゃない」

それは戦略としては分かる。しかし日本維新の会のような政策が曖昧(太陽系と大阪系が併存している)な党が二大政党の一躍を担うなど国民にとっては迷惑だ。そもそも「維新」だの「改革」だのといった意味の無い印象的な用語を振り回している政党など信用出来ない。

特に橋下徹大阪市長が信奉している新自由主義あるいは新古典派的な経済政策は、格差拡大とデフレ悪化を促進するだけの政策だ。現在の日本には有害である。

そしてもう一人の代表の石原慎太郎氏に至っては、何をしたいのかさっぱり分からない。官僚さえ潰せばよいのか?日本の優秀な事務方である官僚は潰すべきでは無く使いこなすべきなのだ。

その石原慎太郎氏は言う。

「夏の参院選は日本の政治を根底的に変えるきっかけにしなければいけない。そのために力を出していきたい」

所謂「グレートリセット」と呼ばれる考え方だ。このグレートリセットが好きということだけが二人の代表の共通点かもしれない。

要するに、現在の日本社会の停滞感を払拭するために、一旦原爆(象徴としてのね)を堕として焼け野原とし、全部チャラにしましょう、という恐ろしく幼稚な思想だ。が、長くなるので、ここでは深入りせずに先に進める(気力があったら、後ほどしつこく触れるかも…)。

参院選に向けて橋下徹大阪市長を代表にしたのは、彼のメディアを利用した国民扇動力を期待しての事だろう。

要するに我々国民は舐められている。しかし、実績として、日本維新の会においては、国会議員が太陽系が14人であるのに対し、大阪系は40人もいる。

それだけ橋下徹大阪市長の発言が国民を扇動出来ているという実績なのだろう。

とにかく日本維新の会としては、夏の参院選で自民・公明が過半数を確保することを阻止したい。そしてそれは、恐ろしいことだが可能性はある。

橋下徹大阪市長のグレートリセット論に、閉塞感の強い国民が踊らされやすい常態にあるからだ。つまり、集団催眠もしくは集団ヒステリーを起こしてしまう可能性がある。

ただ、この2頭体制が徒になる可能性もある。何しろ先ほどから述べているように、太陽系と大阪系には溝がある。まとめられずにいるのに、さらに船頭多くして船山に上るといった常態を作りかねないからだ。

なるほど橋下徹大阪市長がメディアに露出する機会を増やせば、人気取りに成功するかもしれない。しかしそれは同時に大阪系をますます強くし、太陽系を追いやる可能性もある。

そもそも日本維新の会がこの度の衆院選で反省しているのは、第3極が乱立してしまったために、自民・公明に圧倒的議席を取られてしまった事である。

そのため、こんどこそみんなの党などと選挙協力をせねば成らない。

ただ、もう一つ反省点があることを忘れている。それは、大阪側の一部がいまだに主張していることだ。

つまり、「石原氏と組んだのが間違いだったのではないか」という考えだ。

私はその懸念は当たっていると考える。何しろ土壇場で全く主義主張の異なる太陽の党と組んだときは、「はぁ?日本維新の会って何やってんの?」と呆れたからだ。

恐らく同じように感じた人々が、それまで日本維新の会を支持していた人々の中にも多かったのでは無いだろうか。そして彼らの票は流れたと思える。

政治評論家の浅川博忠氏が面白いことを指摘している。

「共同代表は分裂の引き金になる。石原氏個人はスターだがチームをまとめる力がないうえ、いまは燃え尽き症候群のようになって意欲が落ちている。橋下氏は国会議員ではないのが弱点だ。どちらも党をグリップしきれないのでは」

面白いところを突いている。

さて、ここまで書いて長くなりすぎたと思ったのだが、やはり少しは触れておきたいのが日本維新の会という「宗教団体」が教義としているグレートリセットの危険さだと思った。

そこで少しだけ触れておきたい。

当然、私が批判する対象は、日本維新の会の教義を最も色濃く主張している教祖の橋下徹大阪市長の主張になる。後のメンバーは、橋本人気に便乗しただけの雑魚である。

橋下徹大阪市長が得意なのは、長いデフレで閉塞感を持つ国民に対して、

「既存政党や既存の制度が悪いのですよ。もうこりごりでしょう?こんなもの、ぜーんぶぶっ壊してしまいましょうよ。そうです、一旦リセットすれば、新しい社会が築けるのですよ!」

という幼稚な発想だ。ゲームじゃ有るまいし、リセットすれば良いというのは乱暴だ。

我々は、少なくともこれまで試行錯誤しながら築き上げてきた社会のシステムを「改善」する事はあっても、「破壊」してはならないだろう。

もう少し具体的な話を出来るかもしれない。うーむ、例えば「道州制」についてはどうだろう。

日本維新の会は道州制を導入することで、地方交付税交付金を廃止するとしている。これは、各県の県庁所在地の機能を剥奪し、州都(と呼べば良いのか?)への一極集中を行うことになる。例えば関西州であれば大阪だけが栄え、地域社会を破壊する。

実は前例がある。これは京都大学の藤井聡教授が指摘したのだが、北海道という例だ。まさに北海「道」だ。

北海道という道州制を導入する前は、根室、函館といった大都市に地方政府機能が分散されていた。しかし道州制が導入されると、札幌だけに一極集中し、人口も北海道の4割(!)が札幌に集まってしまった。そして函館や根室といった分散されていた地域が凋落していった。

おまけに財源が地方に移管される(交付税の廃止)と、どうなるか。例えば関東や関西といった人口が集中している州であれば財源は豊かかもしれない。

しかし四国や九州は衰退するだろう。日本内の地域格差を増長してしまう可能性が高い。

また、橋下徹大阪市長自身が首相になりたいがための「首相公選制」も恐ろしい。

何が恐ろしいって、橋下徹大阪市長が立ち上げた日本維新の会がこれほど躍進してしまう国民の選択が恐ろしいのだ。

国民は、経済政策などの主張よりも、扇動的な感情論や抽象論を語る橋下徹大阪市長を支持してしまう可能性が高い。この程度の民度の国民が「人気」で首相を選んでしまったらどうなるのか。

ただ、これは考え方で、「首相公選制」にすれば、国民がもっと勉強するかもしれない、という淡い期待もできなくは無いが…。

次に「スリムで機動的な政府」を実現し、「プライマリーバランスの黒字化」を主張している。

もはや狂信だ。

デフレやグローバル化が進んだ場合は、どこの国も「大きな政府」を必要とすることこそグローバルスタンダードだ(嫌いな言葉だが)。また、政府の黒字化というものは、第一目標に掲げるべきでは無い。そんなものより重要な目標が政治にも政府にもたくさんあるからだ。

たとえ赤字であろうとも、まずは国民経済を豊かにし、国防を強化する必要がある。政府がまるで民間企業のように、己の利益を追求するなど、恐ろしいではないか。失業率が高まろうが、自殺者が増えようが、国防機能がずたぼろになろうが、黒字を追求するのだ──そんなことを平気で口にしているのが橋下徹大阪市長だ。

そして極めつきの思考停止状態が、「無駄な公共事業の復活阻止」という主張だ。

そもそも利益が出る事業なら民間に任せれば良い。利益が出なくても「必要」だからこその公共事業だという基本的なことを忘れた日本維新の会の連中は、自宅を一歩出た際に、道路を使ってはならない。なぜならその道路は間違いなく赤字であり、料金所も設けていないからだ。

また、地震・洪水・津波などから国民を守るインフラは、間違いなく赤字でも良いのであって、これらから利益を取ろうなどと考えたら、恐ろしいことになってしまう。

つまり、簡単にいってしまえば、日本維新の会は、政府を(まるで企業のような)利潤追求体にすることで、国民を殺しても構わない、と言っている様なものだ。

また、「地方公務員も含めた公務員の総人件費削減」を主張しているが、その根拠が印象論でしかない。「公務員は悪だ」というものだ。

この様な抽象論や感情論は、国民受けする。確かに、不況でボーナスが廃しされたり、減俸にあったりしている国民(私のことだ)にとっては、ボーナスが出るだけでも公務員が憎い。確かに改善すべきところは多いだろう。

しかし、本当に公務員は多すぎるのか?先進国で比較すれば、日本の公務員は(国民一人当たりの人数としては)最低で頑張っている。ドイツ・アメリカの約半数、フランスの約4割程度だという。

しかも公務員を削減したら、その瞬間に発生する失業者をどうするのだ?

彼ら新自由主義者は馬鹿だから、セイの法則によって失業者は存在しないとしている。次の仕事に就くから大丈夫だというのだ。

そこには最低賃金の保証や、人の適性は全く無視されている。セイの法則によれば、失業者が存在するのは、需要供給曲線の交差点を無視しているからだという。つまり、供給(失業者)が多ければ、全員が雇われるまで賃金を下げ続ければ良いというわけだ。

その証拠に、橋下徹大阪市長はかねてより「最低賃金の保証制度を無くすべきだ」と恐ろしいことを主張している。

それだけでも吉外沙汰だが、さらに人はどんな職業にでも就けるという前提がある。前日まで銀行の融資担当者が失業しても、大工の人手が不足していれば、そこで働けるし、前日まで削岩機を操って日々の糧を得ていた人が失業しても、クラウドサービスのエンジニアが不足していれば、そこで働けば良いではないか、というのが彼らの考えだ。

正気な人間の考えることでは無い。

そして教育改革、社会保障改革、TPP推進もどうようだ。もう、長くなりすぎているし、これまでも書いてきているので、具体的には触れないが、これらは社会を不安定にするだけだ。

最後に、橋下徹大阪市長が2006年に出版した『まっとう勝負』に明記した言葉と、週刊文春集2012年2月16日号に掲載された言葉と、それらと比較するために亀井静香氏が石原慎太郎氏から新党結成を呼びかけられて断った時の言葉を紹介して今回の投稿を終えたい。

まず、橋下徹大阪市長の言葉。

「政治家を志すっちゅうのは、権力欲、名誉欲の最高峰だよ。その後に、国民のため、お国のためがついてくる。自分の権力欲、名誉欲を達成する手段として、嫌々国民のため、お国のために奉仕しなければならないわけよ。....別に政治家を志す動機付けが権力欲、名誉欲でもいいじゃないか!....ウソをつけないヤツは政治家と弁護士になれないよ!嘘つきは政治家と弁護士のはじまりなのっ!」

「ディテールとか細かいことは考えていない。今の政治はわかりやすいワンスレーズだ。(馬鹿な)有権者にわかりやすいワンフレーズで選挙に勝って、力を握ることが大事だよ。」

そして比較して欲しいのが亀井静香氏が石原新党への参加を断ったときの言葉。

「オレが国民のため、日本のためにオールジャパンでやろうと言った時には断っておきながら、今になって何サマのつもりだ。アンタが今やろうとしていることは、国民のためじゃない。それこそ我欲じゃないか。政治家というのは、国民のために己を殺すものだ。アンタは間違っている。オレは合流しないぞ」

これでも橋下徹大阪市長を国民は支持するのであろうか…。



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2013年01月18日

アルジェリア政府は、テロに屈しないために、人質を犠牲にしたのか

アルジェリアでのイスラム武装勢力による人質事件に対して、国営アルジェリア通信は、鎮圧作戦(人質救出作戦では無い)が17日夜に終了したと報道した。同時にサイード情報相は語った。

「犯行グループは無力化された」

しかし、人質の安否については情報が錯綜している。プラント建設大手の日揮は現地の日本人スタッフ17人の内、わずか3人についてのみ無事を確認出来たという。残りの14人については全く分からない。人質に捕らわれていたのかどうかも分からないのだ。

ロイター通信によれば、少なくとも2人の日本人が死亡したと伝えている。

この度の事件での人質は、約40人と言われている。武装勢力はアルカイダ系のイスラム武装勢力らしい。

アルジェリア軍は、この武装勢力を鎮圧する作戦を決行したが、人質30人が殺害されたとしている。しかし、武装グループに依って殺害されたのか、アルジェリア軍の攻撃によって死亡したのかは全く分からない。

武装勢力側の死亡者は11人とされているので、案外アルジェリア軍による攻撃で死亡した人質も多いのではないか。

再びロイターの報道によれば、死亡した人質には、日本人2人、英国人2人、フランス人1人が含まれているという。ただし、それぞれの身元はまだ分かっていない。

一方、殺害された武装勢力側の身元は一部分かっている。リーダーのアルジェリア人であるターヘル・ベンシェネブ容疑者は殺害された。他に、エジプト人3人、チュニジア人2人、リビア人2人、マリ人1人、そしてなぜかフランス人1人が含まれている。

攻撃のきっかけは、武装勢力の要求をアルジェリア政府が拒否したことから始まった。

武装勢力は、人質を確保しながら、アルジェリアを出国させろと要求した。これをアルジェリア政府は拒否し、軍によるヘリコプターや地上部隊を投入した。

武装勢力が人質を移動しようとしたところに、軍は攻撃を開始したという。軍の攻撃目標は武装勢力の車列だったというから、まるで最初から人質の命など眼中になかったのではないか、と疑いたくなる状況が浮かぶが、この辺りの事情はまだ分からない。ただ、今後アルジェリア政府が人質の人命を疎かにして性急な判断を下したのではないか、という非難が出てくることだろう。

そしてこの鎮圧作戦は約8時間で終了した。

ただ、作戦の全容が分からない。軍が制圧したのは施設の一部でしかない、との情報も流れている。

一方、人質事件のきっかけとなったマリ共和国でのフランス軍は、地上部隊を増員し、軍事作戦を強化する動きを見せている。武装勢力の要求など、全く無関係にことは運ばれている。

今朝8時になると、横浜市にある日揮本社で記者会見が行われた。日揮によると、現場のイナメナスの駐在員は78人で、日本人は17人だという。そのうち無事が分かっているのは日本人3人とフィリピン人1人だけだ。彼らからは直接電話で「無事です」との連絡を受けることができた。

日揮はの担当者は、まだ安否が分かっていない日本人14人や他のスタッフについての安否確認に全力を挙げるとしている。その一環として、日揮の社長ら3人が今晩中に日本を発ち、明日にはアルジェリア入りして情報収集を開始する。

それにしてもかなり乱暴な作戦だった可能性は残る。地元メディアによると、現地時間17日午前に軍の攻撃は始まった。

すると人々は脱出を開始した。脱出したアルジェリア人の一人は言う。

「朝8時に攻撃を受けて、150人のアルジェリア人と7人の外国人が逃げました。アルジェリア軍のヘリコプターの攻撃を受けて、すごい煙が立っている。救急車もたくさん集まっている」

また、攻撃のきっかけについてアルジェリア通信相は言う。

「武装グループが人質を無理やり外に連れ出そうとしたことが、攻撃のきっかけだった」

人質事件が発生した直後、日米両国は人命第一で対応する方針を確認しあった。しかし、それを無視するかのように素早くアルジェリア軍の攻撃が始まっている。

かなり性急な印象を受ける。

武装グループは、人質を取って施設を占拠した理由を、マリのイスラム過激派を攻撃するフランス軍機が、アルジェリアの領空を通過することを許可したことだと主張していた。

マリの北部はイスラム過激派やアルカイダ系組織によって制圧され、内戦状態となっている。それに対し、国連安全保障理事会は「テロの温床」になる、という理由によって国際部隊による軍事介入を認める決議を採択している。

また、マリ暫定政府からの要請により、既にフランス軍が介入し、この度の事件が発生した。

事件発生後、すぐにアルジェリア政府は方針を出した。

「テロとのいかなる交渉も拒絶する」

要するに、初めから武装グループとの対話などあり得ない、という姿勢を打ち出していたのだ。

この時点で、私は「これは強硬突破のつもりか。人質は死ぬな」と思った。

確かにテロに屈しない、テロの要求には応じない、テロによって世の中は変わらない、ということを示す必要はある。そのことの重要性も分かる。

しかし、人質の人命も軽んじてはならないだろう。アルジェリア政府は性急すぎたのではないか、とも思える。

今後の情報によっては、アルジェリア政府が国際的な非難をあびることになるだろう。

以下、マリ共和国へのフランス軍軍事介入に関する記事です。

『マリ共和国へのフランスの軍事介入とイスラム武装勢力』(2013801/15)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/313564347.html



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2013年01月17日

未発表の「安倍ドクトリン」への批判を始めた中国と韓国

安倍晋三首相の対中国戦略がまだ良く見えないが、18日には「安倍ドクトリン」が明らかにされるという。

その内容はまだ憶測しても仕方ないが、中国は、「中国包囲網」であろうと警戒している。

16日、安倍晋三首相はベトナム、インドネシア、タイの歴訪を始めた。

早速反応したのが韓国のメディアで、

「安倍ASEAN3カ国歴訪、中国包囲網の構築を試み」
「日本の安倍が東南アジア歴訪、中国けん制外交路線の構築」

といった見出しを付け、安倍外交が中国牽制を始めた事を印象づけたという。

実際、16日の午後にベトナムに到着した安倍晋三首相は、グエン・タン・ズン首相と首脳会談を行った。そこでは、中国に対する脅威に、両国は協調して対応すること等が話し合われた。

そのため韓国は(当然中国もだろうが)18日に発表されるという「安倍ドクトリン」に注目している。

日本政府は東南アジア諸国に対し、道路や発電所などのインフラ整備を支援したり、借款を提供することで協力関係を強めようとしているが、韓国メディアによれば、それは無駄だという。

韓国メディアが日本による中国包囲網が無力だとしている根拠は、既に東南アジア諸国の経済は、中国に縛られているからだ、とするものだ。さすが中国の属国韓国の論調だ。

しかしこれは韓国の皮相な見方かもしれない。なぜなら、東南アジア諸国にしても、中国一国への経済依存はリスキーだからだ。また、決して中国に対して良い印象を持っているとも思えない。

つまり、東南アジア諸国としても、日本との経済関係を強化すれば、リスクの分散になるのではないか。

そして当の中国メディアはというと、韓国以上に日本の外交に警戒しており注目しているようだ。例えば環球時報の社説では、日本のことを「アジアの沈む太陽」と呼びつけ、日本が中国包囲網を築くことは不可能であると断じているという。

さらに尖閣諸島を巡る日中の緊張レベルはもはや局地的衝突が起きるレベルに達したとし、中国人民解放軍が全軍に「戦争対応訓練指示」を下したことを報じた。メディアレベルではもはや臨戦態勢に入った様相を示している。世論を煽っているのだろうか。

以上、韓国や中国が注目している安倍外交だが、まずはベトナム訪問についてもう少し詳しく見てみる。

ベトナムのハノイに到着した安倍晋三首相はグエン・タン・ズン首相と首相府にて会談を行った。

ここではアジア太平洋地域の平和と繁栄のために、日越が経済・安全保障分野を含めた包括的な協力関係を発展させることで一致した。

そして日本は新たに5億ドルの円借款を供与すると共に、原発建設計画への協力でも合意している。

安倍晋三首相は語りかけた。

「アジア太平洋の戦略的環境は大きく変化した。ベトナムと連携強化していくことは地域の平和と安定にとって大変意味がある」

これに対し、グエン・タン・ズン首相は安倍晋三首相が外遊先の初めにベトナムを選んだ事を高く評価すると表明している。

さらに今年は日越の外交樹立40周年記念でもあり、今年を「日越友好年」とした交流の深化も確認しあった。

安倍晋三首相はこの後、タイ、そしてインドネシアに向かう。

──と書いている内に、タイには到着されたようだ。

安倍晋三首相はタイでも同様に、地域問題と国際関係、また、タイとの経済関係について話し合う予定だ。

タイにとっても日本は既に最大の貿易相手国である(日本にとっては6番目の貿易相手)。また、日本はタイにとってはこれまた最大の投資源でもある。既にタイに導入されている外資の60%以上が日本からとなっている。

そのような関係なので、ここでの会談も無難に終わるであろう。

さて、安倍晋三首相だけを追いかけていても中国側の警戒感は分かりにくいかもしれない。

まず東京では17日、米国からカート・キャンベル国務次官補が訪れ、「日米防衛協力のための指針」の再改訂協議が始められる。

ここでは集団的自衛権行使に関して協議することが決まっており、つまりは同盟国が攻撃を受けた場合には、自国が攻撃を受けたと見なして防護することの可能性について確認される。

また、遡るが13日には岸田文雄外相がオーストラリアを訪問し、安全保障協力の強化について会談している。

これらの動きを見て、中国は恐らく安倍晋三首相が就任直後に明らかにした「ダイヤモンド安全保障」構想を思い出しているのだろう。

「ダイヤモンド安全保障」は、オーストラリア、米国、ハワイ、インド、日本で構成する安全保障構想だ。世界地図上でこれらの拠点を繋ぐと、綺麗なダイヤモンド型になる。要するに中国封じ込めの一環と思われる。

特にオーストラリア側は、民主党政権時代から日本に対して戦略的パートナーとなることを希望していたが、安倍政権になってようやく進展が見られることになった。

というのも、オーストラリアは民主党政権時代の3年間に、なんと22回も閣僚を来日させていたのに対し、日本からはたった7回の訪問だった。

このことに対し、外務省幹部は言う。

「日本がどれだけ豪州のラブコールに応えられているのかという反省はある」

オーストラリアの安倍政権に対する期待は熱いようだ。また、オーストラリアは対中国ということでは米国との関係も強化している。既に昨年4月には米軍のローテーション展開を受け入れている。その延長線上で、オーストラリアは日本に対しても集団的自衛権行使の容認を求めてきている。

これに対して、安倍政権では、「豪印両国との関係をより高い段階にしたい(外務省幹部談)」としており、政府内部からは、「公海上で日豪いずれかの船舶が攻撃を受けた際に、双方が守る“疑似同盟”を将来的には考えるべきだ」との声まで出ているという。

安倍晋三首相はこの「ダイヤモンド安全保障」構想を示す論文を発表しており、そこには、海上交通路が通る南シナ海を「北京の湖」と呼び、中国の影響力増加を警戒している。

そのために、インド洋と西太平洋の海洋安全保障を目的とした協力関係を、日米豪印で強化すべきと主張している。

以上の動きに対して、中国の人民日報(共産党機関紙)は16日に「日本、米国の東南アジア回帰戦略を模倣」という記事を掲載した。そこで日本の中国包囲網が不調に終わることを述べている。

「東南アジア諸国は経済的に中国依存度が高く、日本の『中国包囲戦略』はうまくいかないだろう」

さらに米国側も迷惑しているという論調を張った。

「米国はすでに東南アジアが中国に対抗する能力がないことを認識しており、安倍首相の歴訪は米国を困らせることになる」

また、オーストラリアにしても、協力的では無い、という内容を掲載した。すなわちオーストラリアのボブ・カー外相の言葉として、

「安全保障協力の大枠には同意したが、中国を封じ込める考えはない」

と明言したとしている。

共産党のメディアであるため、どこまで確かなことか分からない。

一方、日本でも売れっ子外交評論家の孫崎享氏はインドは協力的にはならない、ということを東京新聞でのインタビューで主張している。

「インドと中国の貿易量は、日本との貿易量より規模が数倍大きい」

だから、

「国家重要度は中国の方が高いため、インドが中国に対抗する安保ライン構築には積極的でないだろう」

と、言っている。

もっとも孫崎享氏には注意が必要だ。彼の著書はいずれもベストセラーになっているが、要するに、米国依存を止めて、中国に屈するべきだ、という考えが背後に見え隠れしており、なにやら中国の情報操作を担っている人物にも見える。

だれか彼の正体について詳しい人は、ブログやサイトで暴露してください。

その怪しさは、例えば、尖閣諸島については、「(中国の歴史から見ると)すでに14世紀にはその軍事力が尖閣諸島一帯に及んでいたという史実がある」故に、「日本人にとって受け入れがたい事実だが、尖閣諸島は日本固有の領土ではない」といった主張をして、中国を喜ばせている。

また、著書(孫崎享著、ヤン・ギホ訳『日本の領土紛争』(メディチ社))で竹島を韓国領であると主張している。

とにかく孫崎享氏は、日米に亀裂をいれ、中国からの日本への介入の地ならしをしたいようにすら見える(まぁ、考えすぎだろうが)。

ともあれ、明日には「安倍ドクトリン」が発表されるらしい。



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2013年01月16日

米国は、銃を規制しうるか

米国の銃規制はなかなか難しい。何しろ悪人が銃を持っている以上、善人は武装して身を守らねばならない、というジレンマがある。両者が「せいのっ!」と銃を放り出すことでもしない限り、銃は必要だ、という考えは無くならないだろう。

とはいえ、銃規制に向けての動きはある。

15日、ニューヨーク州は、銃規制法をより厳格化した改正案を可決した。東部コネティカット州の小学校で先月の14日に銃乱射事件(26人の児童等が射殺された)後では、初めて成立した州法となった。

しかし、銃を止めることはできなかった。あくまで厳格化だ。例えば装填できる実弾がこれまでの10発から7発に抑えられるとか、インターネットでの攻撃銃の売買が禁止されたり、精神的な病歴がある者については、病院関係者は当局に通報せねばならないなどだ。

あまりこれまでと変わらない気もするが、まずは第一歩というべきか。

しかし、全くアメリカ人ってやつは──と呆れてしまうかもしれないが、このタイミングでラスベガスではアメリカ最大となる銃の見本市が開幕した。

主催者は全米射撃協会だが、本部は前述の銃乱射事件が起きた小学校からわずか5キロ離れた場所にある。

銃の見本市は既に34回目だが、約1600社が出展し、大変な賑わいとなっている。会場には世界約100カ国から銃のバイヤーが集まるのだという。

これがアメリカだ。そしてこの国では、スーパーで銃が買えることがある。実際、銃乱射事件があった小学校の近くにある大手スーパーには、規制を求める市民が詰めかけ、銃の販売中止を訴えた。

そして世論はどうだろう。

9日から13日にかけて、米ピュー・リサーチ・センターが全米の成人1502人を対象に行ったアンケートでは、以下の様な結果が見られた。

・銃見本市での銃の売買に身元調査を義務づけるべきである:85%
・精神病患者の銃購入は禁止すべきである:80%

少々気になるのは、後者の回答で20%側に回った人は、精神病患者に銃を買わせても構わないということだろうか。

また、連邦政府が銃の売買を追跡するデーターベースを作成することに賛成は約3分の2を占めた。但し、まだまだ圧倒的多数が銃を規制すべきとしているわけではないことに驚く。

・殺傷力が高い「アサルト・ウエポン(突撃銃)」タイプの銃器の禁止に賛成:55%
・弾薬のオンライン販売禁止に賛成:53%

逆に言えば、約半数は規制に反対しているわけだ。やはり銃には銃を、といった考えがあるのだろうか。そのためか、銃を持って銃を制する考えに賛同する人は多い。例えば、武装した警備員や警官を学校に配置することについては約3分の2が「進めるべき」と解答している。

だから銃規制と銃を持つ権利については以下の割合で回答があった。

・銃規制に賛成:51%
・銃を持つ権利に賛成:45%

これでは当分、銃を手放せない。

そんな世論の中、14日にオバマ大統領は銃規制強化案を検討する特別チームを設置し、そこでは大統領令による規制も検討することを発表している。

大統領令は議会の承認を必要としない。これは議会が銃規制を承認しないだろう、と見ていることの表れかもしれない。それほど米国での銃規制は困難だということか。

特別チームはバイデン副大統領らがメンバーとなり、先週には重犯罪犠牲者の遺族や規制推進派と会談する一方、逆の立場であるNRA(全米ライフル協会)とも会談を行った。

さて、このNRAだが、14日に「スポーツマン・チャンネル」というテレビチャンネルで、トーク番組を始めることを発表した。この番組は毎晩放映されるものだが、ホストを努めるのはキャム・エドワーズ氏という銃支持派だ。めちゃくちゃ偏った番組になることは必須だろう。

同時にNRAは、子供達を銃乱射から守るために米国全ての学校に武装した警備員を配置することを提案している。

当然、ますます銃は売れる。

さて、米国の人々は、銃を一斉に手放すことができるか、それとも、銃には銃を、の精神を維持するのか。



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2013年01月15日

マリ共和国へのフランスの軍事介入とイスラム武装勢力

フランスが軍事介入を開始した南アフリカのマリ共和国は、日本とは関係ない彼方の国だと思われている方も多いと思うが、少々関係はある。

まず、日本は2010年度までに有償資金協力として87.02億円、無償資金協力として553.41億円、技術協力として86.96億円提供している。

また、日本に対しては、ゴム製品や打楽器などを輸出しており、特に鉱物資源は豊富でウランに関しては日本が独占契約を結んでいる。2008年度の日本への輸出額は2,166万円となっている。

逆に日本からは精米、亜鉛のメッキ鉄といった輸入をしており、日本からの輸入総額は7億6,302万円となっている。

他にも、日本からは4社が進出している(2008年10月現在)。

以上のソースは、外務省情報なので、より詳細は外務省サイトで確認できる。

さて、そんなマリ共和国(以降、単にマリ)に、いよいよフランスが軍事介入を始めた。それに続いて米国やEUも軍事介入の支援を始めた。

標的は、マリで勢力を拡大しているアルカイダ系組織である。これが将来、欧米の脅威になるであろうということで、マリで潰しておくことになった。

14日、バネッタ米国防長官は仏軍に対して情報収集面などで支援すると記者団に伝えた。その理由は、

「マリを拠点とする国際テロ組織アルカイダ系の“イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ”(通称AQIM)が、将来的に欧米諸国でテロを計画するおそれ」

が有るからだという。

このAQIMについて、米国側は、リビア東部ベンガジで米大使らが殺害されたテロに関与したのだとみている。

そのため、既に米軍は軍事衛星や通信傍受によって集めた情報を仏軍に提供し始めている。さらに、給油機も派遣することを検討中だ。但し、前線で戦闘に加わることについては今のところ控えている。

一方のEUでは、週内に外相理事会が開かれ、そこでマリへの支援内容を協議することになっている。見込みでは、マリ政府軍の訓練とアドバイスをするための部隊を早急に派遣することになりそうだ。

これらの動きに対して、マリで活動しているテロ組織の「西アフリカにおける統一とジハードのための運動」は、仏軍への報復としてフランスでのテロ活動を行うと予告した。テロ組織代表の一人であるアブ・ダルダル氏は言う。

「フランスはイスラムを攻撃している。我々はフランスの心臓を撃つ」

当然、フランスはこの予告を警戒し、国内の警戒態勢を強化している。特に公共の建物や輸送機関の監視が強化された。

マリがテロ組織を中心とした武装勢力に占領されているのは北部だ。マリ軍は仏軍の援護を得て、イスラム主義者らに選挙されていた都市のコナを開放することに成功している。また、仏軍が空爆を行う事で、やはり北部の都市ガオがイスラム主義者らから開放された。

ガオへの空爆は13日に行われた。空爆は10回行われたという。ガオを支配していた武装グループは「アンサール・ディーン」という組織らしい。この攻撃の成果をファビウス仏外相は述べた。

「武装勢力の南進阻止には成功した」

仏軍は西アフリカ各地に駐留している部隊から約550人をマリで展開しているが、今後は本土からの部隊投入も行う構えだ。そのために、マリの北に接しているアルジェリアが、仏軍機の領空通過を認めた。

同じく国境を接しているニジェールやブルキナファソ、セネガルも、部隊を派遣する考えを示している。

仏軍が介入しているのは、マリ政府からの要請による。フランスはマリの旧宗主国なのだ。マリのトラオレ暫定大統領と軍事介入について合意した11日、オランド仏大統領は宣言した。

「これはテロリストとの戦いだ。作戦は必要な期間続く」

トラオレ暫定大統領はマリ全土に非常事態宣言を発令して語った。

「イスラム過激派に大規模で容赦ない反撃を加える」

ことの経緯について簡単に触れると、昨年3月にマリでは正規軍が待遇に不満を持ってクーデターを画策した。詳細は以下の記事を参照されたい。

『西アフリカのマリ共和国でクーデターが起きている。』(2012/03/22)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/259411818.html

その結果、政府機能が麻痺してしまい、アルカイダ系のイスラム過激派がその混乱に乗じてマリの北部地域を掌握してしまった。

そこで暫定政府は旧宗主国のフランスに軍事介入を要請したのだ。

事態が悪化すると、国連安全保障理事会も昨年の12月に、軍事介入を認める決議を全会一致で採択した。

国連安全保障理事会の決議を受け、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)も、「国連決議に基づく軍隊の派遣を承認した」との声明を発表し、具体的にナイジェリアとセネガルが軍事介入に加わることをマリ国防省報道官が説明したが、まだ現時点では仏軍が単独で介入している。

マリの安定を取り戻さねば、ただでさえ不安定な北・西アフリカ諸国の政情がさらに悪化する危惧があり、これらの地域から原油や鉱物資源を調達している国々にとっても不安要素となる。

そのため11日には、ヘイグ英外相が

「フランスの決定を支持する」

と表明し、ウェスターウェレ独外相も、

「軍事面だけではなく、政治的な解決を図るべきだ」

と述べ、ヌランド米国務省報道官は、

「マリ政府の要請に基づく仏政府の軍事支援を理解している。仏政府とは緊密に連絡を取っている」

と揃って仏軍介入を支持した。

中東だけでなく、アフリカも紛争が耐えない地域だ。今後も注目しておきたい。

以下、マリ関係の記事です。

『西アフリカのマリ共和国でクーデターが起きている。』(2012/03/22)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/259411818.html



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2013年01月11日

閣議決定された緊急経済対策と市場の評価

11日、政府は「日本経済再生に向けた緊急経済対策」を閣議決定した。民主党政権時代は可処分所得を減少させる増税ばかりを目指し、その上「コンクリートから人へ」などと世迷い言を唱えていたが、ここに来てやっとまっとうな経済政策を目指す政権が登場したと言える。

が、効果のほどは、まだわからない。経済予測は非常に難しいからだ。ただ、本来経済政策は「どうなる?」ではなく「どうする?」であるべきなので、まずは本格的な数字を出したことを評価するべきかもしれない。

事業規模ベースで20.2兆円、国の財政支出(いわゆる真水)が10.3兆円となる。目標は内閣府の試算で出された数値として、GDPを2%押し上げ、雇用創出効果を60万人程度まで持っていくことだとする。

この数値が達成されると財務相は困るはずだ。というのも、増税ではなく、成長こそが税収を増加させる事が証明されてしまうであろうからだ。

と同時に心配なのは、消費増税法案の景気条項に基づき、GDPが2%成長したからもう良いだろうとして増税してしまうことだ。拙速な増税は、せっかくの景気浮上に冷や水をかけてしまうからだ。

その辺りも安倍政権がどのように振る舞うか注目したい。

さて、柱となる対策は、

 復興・防災対策
 成長による富の創出
 暮らしの安心・地域活性化
 潜在力の発揮を可能とする規制改革
 為替市場の安定に資する施策

と掲げられた。

また、金融政策では日銀との連携を強化することで、早期にデフレ脱却を行う事を目指し、日銀に対しては、「明確な物価目標の下で日銀が積極的な金融緩和を行っていくことを強く期待する」とした。

そもそもこのような目標は、本来中央銀行の仕事なので、いまさら要請されなくてもとっくに実施していなければならなかったのだが、日銀の体たらくは政府主導で目標を与えてやらなければならないところに来ている。だから日銀は海外から「デフレターゲットを行っているのか?」と皮肉られていた。

この度の緊急経済対策は、まだ安倍内閣にとっては「景気回復に向けた政策対応の第一弾」と位置付けられているので、今後も様々な手を打ってくることは期待して良いのだろうと思う。

もうすこし内訳を見てみると、復興と防災(インフラの補修も含む)といった公共事業に3兆8000億円。暮らしの安心や地域活性化のための公共事業を地方自治体が行う際の負担を軽減するための交付金としては、3兆1000億円(内、1兆4000億円は交付金として)。成長による富の創出としては、産学協同研究の推進やベンチャー企業支援のための資金として3兆1000億円としている。

そして今回の経済政策で印象づけられているのは、マスコミや新自由主義者や新古典派が大嫌いな公共事業の復活であろう。

そもそもデフレでは、個人は消費を控え、企業は投資を控える。また、個人も企業も債務の返済にやっきになる。現金こそが価値を持ってしまうからだ。また、需要もないから雇用も無く、収入も伸びない。

ますます消費や投資が減少するという悪循環を絶つには、「最後の使い手」として政府が金を使うしかないのだ。新自由主義者や新古典派のように、政府の介入を無くし、規制を取っ払い、市場と自由競争に任せておけば万事上手くいくなど、単なる迷信の類に過ぎない。

それこそデフレの時に、自由競争で需要拡大を争わせてどうするというのか。

安倍晋三首相は緊急経済対策について言う。

「従来とは次元の違うレベルだ」

さて、市場はどのように評価しているか。日本経済新聞Web版の1月11日発行記事を参考にダイジェストしてみた。

芳賀沼千里・三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフストラテジスト(肩書きで舌を噛みそうだ)は言う。

「円高・デフレからの脱却などを据えた内容で、これまで民主党が掲げた、再配分を重視した「最小不幸社会」政策から企業重視の政策への転換が明確だ。足元で低迷する経済を浮揚させる効果が見込まれ、株式市場も好感するだろう。」

同感。

「緊急経済対策では震災からの復興や老朽化した社会インフラ対策なども盛り込まれたが、効果が一過性のものであっては意味がない。投資家の関心はその次の段階の、企業業績が伸びてくるのか、日本企業に本当に成長性があるのか、という論点に移ってくる。」

これも同感。ただ、インフラは一度作ったら終わりではなく、メンテは継続されねばならない。また、大がかりなプロジェクトは長期間継続することも政府は示す必要があると思う。

「そのためには環太平洋経済連携協定(TPP)や規制緩和の実施」

これは反対。TPPは米国の近隣窮乏化策であり、日本から見れば雇用の輸入であり供給過剰政策であるから、インフレになるまでは保留にすべきだろう。

矢嶋康次・ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストは言う。

「政府と日銀が共同文書で拘束力の強い政策協定(アコード)を結ぶことも視野に入っており、株式市場にとっておおむね好材料といえるだろう。」

同感。

「復興に関しては予算をつけても執行する機関がうまくいっていない面が強まっている。予算をつけるだけでなく、執行組織も含めた全体のビジョンを考え直す必要があるだろう。」

これはよく分からない。

門司総一郎・大和住銀投信投資顧問チーフストラテジストは言う。

「2013年度の実質経済成長率を0.5〜1%程度押し上げる効果があるだろう。」

それは楽しみだ。

「注目したいのは、防衛省が防衛装備品整備を盛り込んだこと。13年度予算案では防衛関連費を11年ぶりに増額するとも伝わっている。今後、海上保安庁や自衛隊の装備強化の流れになる可能性が高く、日本の国防政策転換の一里塚になる。」

間違いないだろう。国防は国の要だ。ここを疎かにしては外交も立ちゆかない。ああ、ついでに、

「国防関連の三菱重や島津などの株価上昇の一因になる可能性があるだろう。」

ということで、投資家はこれらの銘柄を買って置いても良いかもしれない。

丸山義正・伊藤忠経済研究所主任研究員は言う。

「20兆2000億円の緊急経済対策のうち、即効性がある景気刺激策は5兆5000億円規模の防災・減災対策だ。関連した公共投資支出は早ければ4〜6月期には出てくる。」

それほど早いだろうか。そうなると、参院選に影響が出そうだ。

「日銀への金融緩和を求めており、日銀が緩和的な金融政策を維持することで金利の上昇を抑制する。」

そうなれば、投資効果も出やすいだろう。

「公共投資では財政支出の効果が後ずれする可能性がある。建設業界では人手不足が深刻になっており、需要の回復に対応できなくなっているためだ。」

マスコミが主導した公共投資悪玉論のツケが回ってきたのだ。せっかく有効需要が発生しても、既に供給力が破壊されている。これが長期デフレの怖さだ。供給力が破壊されてしまっては、せっかくの成長が始まっても、供給能力不足により、余り良くないインフレ率になってしまう可能性がある。

末沢豪謙・SMBC日興証券チーフ債券ストラテジストは言う。

「政府が閣議決定した緊急経済対策は予算規模が大きく、相当の景気浮揚効果があると考えている。景気刺激効果が早く出るよう、即効性の高い政策も多く盛り込まれているようだ。」

同感。

「規制緩和や税制改正なども含め、より中長期に民間の潜在需要を顕在化する政策がなければ、短期的な景気刺激効果にとどまる可能性がある。」

出た、規制緩和原理主義者だ。いったい何の規制を緩和するのかが分からない。いたずらに規制を緩和すると、過剰な競争原理が働き、再び供給過剰と低価格競争に陥ってしまう可能性があるではないか。

──と以上のような評価だが、おおむね市場関係者は好意的なようだ。ただ、朝日新聞を始めとするマスコミは、「ばらまき」といった印象操作により、否定的な報道を繰り出してくる可能性がある。

国民は、どう評価するだろうか。



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2013年01月10日

尖閣諸島の実効支配を決意した中国の「時空交錯」作戦

10日、中国政府は「全国海洋工作会議」を開いた。今年一年の海洋政策を議論する場だ。

国家海洋局の劉賜貴局長は前置きした。

「主権維持の闘争は今後、さらに激しく複雑な局面を迎える」

そして次の様に主張した。

「我々は勇敢に立ち向かい、海洋権益を断固守らなければならない」

他人の物を盗みに行って、権益を守らねばならない、と勇ましいことを言っているのが異常な光景だが、これが中国である。盗人猛々しいの典型だ。

そして盗み取ったものを誰から守るのか、具体的な国名を上げた。

「今年も日本やフィリピン、ベトナムなどの主権侵害の活動を効果的に抑止する」

当然、尖閣諸島周辺海域での巡視活動の継続も含まれる。

中国が領海侵犯を始めたのは2012年後半からだが、いよいよこれを常態化することを政府の会議で決めた事になる。しかも最近は領空も侵犯している。

何がなんでも尖閣諸島を中国領にしようという意志を感じるではないか。

しかもその作戦は巧妙だ。

昨年の12月に北京でシンポジウムが行われたのだが、そこで習近平に近いと言われている上海復旦大学の沈丁立教授が「時空交錯案」というものを提案した。

どのようなことかというと、日本との軍事衝突を避けながら、尖閣諸島の領空を実行支配しようという作戦だ。

具体的には、日本が尖閣諸島を巡回する時間を割けて、中国が巡回するというものだ。

このことで、日本に圧力をかけると同時に、恐らく巡回タイミングをずらすことで日本が黙認するであろうことを見込み、その結果として、あたかも中国が実行支配しているかのような既成事実を作ることを狙っている。

なんだか姑息だが、そこから先の戦略が見えないから不気味だ。

まだ安倍政権の尖閣諸島に対する戦略が見えないが、安倍政権は、どのように対処するのだろうか。



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富裕層増税で自公が大筋合意した。

私はデフレ期の消費増税は反対の立場だ。可処分所得が減少し、消費が減少し、GDPが減少するからだ。

また、消費税には逆進性がある。これは何かというと、収入の貧しい人ほど負担が大きくなるという考え方だ。

例えば月給が30万の人も、300万の人も、生きていく上では月あたりの消費はあまり変わらない。まぁ、多めに考えて月給30万円の人が月あたりに20万円消費し、月給300万円の人が月あたり50万消費するとしよう。

そのとき、支払う消費税は以下の通り。

月給30万の人→20万×0.05=1万→収入の3.3%

月給300万の人→50万×0.05=2.5万→収入の0.8%

つまり、税の負担度が、収入が大きい人ほど少なくなるというものだ。それだけではない、高額所得者は、消費税が掛からない方法での資産運用なども可能なため、さらに逆進性が大きくなる。

しかも消費税は、収入が少ない人も、失業者も負担せねば成らない。このことをスタビライザー効果が無い、と言う。

さらに大資本が得するような仕組みも組み込まれているのだ。この辺りの詳細は、以下の小論文を参照してほしい(間接的に拙著の宣伝にもなり恐縮ですが)。

『小論文サンプルダウンロード』
http://outline-kijutsuhou.seesaa.net/

そこで所得税の増税に目が向けられる。なぜなら累進課税としての所得税には以下の様なメリットがあると考えられているからだ。

・富を一部の階層に集中させることを防ぐ。
・富を広く社会に再配分して社会福祉を実現する。
・所得格差拡大を防ぎ、社会の治安維持に効果的である。
・身分階級の固定化を防ぐ。特に相続税とセットにすると効果的。
・高額所得者は収入の割に消費を行わない。これを再配分機能で是正することができる。
・景気により、スタビライザー効果がある。(失業者は納税を免れ、次の就職までの猶予を与えられるなど)

もちろん、デメリットもあるが、消費税の増税に比べると、明らかにデフレ期に向いた増税だ。

という予備知識の元に以下のニュースを見てみる。

9日に開かれた与党税制協議会で、自民党と公明党は、富裕層への課税を拡大することに大筋合意した。

そこで政府自民党は、所得税と相続税を2015年から引き上げる方向で調整に入った。

現在の所得税は、滅茶苦茶だ。例えば年間所得が1800万円超の人と、3億円の人とで、税率が同じ40%なのだ。

そこで検討されているのが、新たに3000万円超に対しては45%の税率を掛けようという案だ。同時に相続税の基礎控除枠も引き下げることで課税率を上げようとしている。相続税の最高税率も50%から55%に引き上げることが検討される。

まだ案で、詳細については今後の税調協議で詰めていく。

公明党の案では、課税所得「3000万〜5000万円」に45%、「5000万円超」の部分に50%を適用しようという案が出ている。自民党ではまだ案の調整が遅れているらしい。そのため、自民党では11日の午後までに意見の集約を行うとしている。

なぜ今この話が出たのかというと、実は民主、自民、公明の3党合意した消費増税法の付則に「12年度中に必要な法制上の措置を講ずる」と明記されていたからだ。これは格差是正のために、所得税と相続税を見直すことを意味している。

自民党は安倍政権では最初の3党協議を来週中に開くことを目指しており、24日には税制改正大綱をまとめたいとしている。

ただ、増税時期は3党合意の時に2015年1月からとしていたが、1年ずらし、2016年1月からにすることも検討され始めた。

ただ、この所得税増税と相続税増税は、消費増税による国民負担の理解を得るために行うという意図があったため、いよいよ消費増税の準備が始まったとびびるが、消費増税には景気条項があるため、時の政権がデフレ脱却を認めない限りは実施されない(はずだと認識している)。

少なくとも、消費税を上げることで自殺者は増えるが、富裕層の所得税や相続税を上げても、自殺者は増えないだろう。

『自殺者統計と消費税の相関関係、野田政権が邁進する増税の向こう側にあること』(2012/01/11)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/245608160.html

だから私は、消費増税は反対だが、富裕層の増税は賛成だ。


以下、消費税関係の投稿です。

『野田佳彦首相は財務相のホームページなど見たこと無いだろうなぁ。消費税増税が税収を下げるなんてしらないだろうなぁ。』(2012/01/16)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/246537107.html

『自殺者統計と消費税の相関関係、野田政権が邁進する増税の向こう側にあること』(2012/01/11)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/245608160.html



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安倍政権の外交は「自由と繁栄の弧」構想なのか

10日、岸田文雄外相はフィリピンのマニラでデルロサリオ外相と会談した。そこで、海上安全保障面での連携強化について一致した見解を確認し、アジア太平洋地域の安定と繁栄の構築に向かって協力していくことを確認した。

また、インフラ整備への円借款やODA(政府開発援助)といった経済協力を強化することも確認している。

これは明らかに中国を牽制している。というのもフィリピンは南シナ海のシカボロー礁(中国では黄岩島)の領有権で中国と争っている最中だからだ。

つまり、日本はフィリピンと協力して中国の海洋権益拡大を牽制する包囲網を作ろうとしているとみられるのではないか。

フィリピンは明らかに中国との領有権争いについては日本からの支援を期待していた。例えば日本からの巡視船供与や沿岸警備隊の人材育成、あるいは海上通信システムの整備などである。

また、インフラ整備の円借款も、日本は約540億円拠出することを表明している。

そして岸田文雄外相は、この後シンガポール、ブルネイ、オーストラリアを訪れた後、帰国する予定だ。

一方、安倍晋三首相はというと、来週にはベトナムなど3カ国とASEAN(東南アジア諸国連合)を訪問する予定があると言われている(まだ確かな情報を得ていない)。

表向きはアジアの経済成長を取り組むため、と言われているが、明らかに中国を牽制する動きだろう。

そういえば第一次安倍政権の際、当時の麻生太郎外務大臣は、「自由と繁栄の弧」構想を提唱していた。これはアジア太平洋地域において、民主主義や市場経済といった同じ価値観の国々での連携を目指すものだった。

そしてこの度の第二次安倍政権の動きは、この「自由と繁栄の弧」構想に似ていなくも無い。

同時に、安倍晋三政権は、外交上の立場を強化する後ろ盾として、防衛力の向上も行おうとしている。

これは自然な動きだ。外交は防衛力、もっと露骨に言えば、軍事力という後ろ盾を必要とするからだ。

そのため、緊急経済対策に沿って、パトリオットミサイルシステムの更新、チヌークヘリコプター調達といった装備面での強化を図るため、防衛省は新政権の景気刺激策10兆3000億円に1850億円を防衛関連支出として盛り込むように要求している。

防衛費はGDPを押し上げるので、経済対策としても矛盾しない。

また、岸田文雄外相はオーストラリアでは、ボブ・カー外相と2国間の軍事協力に関する協定を結ぶとみられている。この協定が結ばれれば、平和維持活動として、燃料供給、輸送といった支援を行えるようになる。

この10年間で始めて防衛費を増額使用としている安倍晋三政権の、外交策が少しずつ見えてくることに、中国も注目しているに違いない。



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2013年01月08日

ソニーが世界初の56型の4K有機ELテレビの試作品を発表

前回の投稿で、CESで日本勢が脱テレビ依存と4Kテレビへの参入を始めた事に触れた。

と、続けてソニーの4Kテレビについての情報が入ってきた。

ソニーが米ラスベガスで開催中のCESに持ち込んだのは、56型の4K有機ELテレビの試作品だ。この大型サイズで4Kの解像度を有機ELで実現したのは世界初となる。

有機ELパネルは、台湾のAUO社との共同開発だった。

また、56型で4Kを可能にするために、従来の有機ELで採用されていた低温ポリシリコンTFTは採用せずに、酸化物半導体TFTを採用したのだという。

また、他にも革新的な技術の採用として、有機EL素子構造に独自のSuper Top Emission方式というものを採用した。その結果、開口率が高まり、有機EL層から効率的に光を取り出せるのだというが、正直、意味が良く分からない。

以上の技術により、結局どうなるのかというと、有機ELテレビとしては、コントラストが高まり、輝度も高まり、高速動画応答性能が高まり、視野角が広がるという特長が出たのだという。なるほど。

ソニーはこれまでの有機ELテレビあるいはモニターに取り組んできたが、前述の通り低温ポリシリコンを採用することで、大型化の限界に達していた。それがこの度の酸化物半導体の採用により、一気に大型化を可能にしたことになる。

さらにソニーは、今後(恐らく春頃)にさらに大型の65型も発表するとしている。このとき、同時に55型も発表する。但し、まだ価格については情報が出ていない。

また、4Kテレビの普及を見越して、コンテンツの対応も進めることが発表された。まずはこの春から、既存の10数タイトルの映画作品を4K用に処理したブルーレイディスクである「マスタード・イン4k」として提供する予定だ。

夏からは4K対応テレビをメディアプレイヤーに接続することで4K対応映画を視聴できる様にコンテンツ配信も行うとしている。

私はついて行けそうも無いが、メーカー間では、4Kテレビの開発・販売競争が始まる。



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CESに見る、日本勢の脱テレビ志向

8日に、米ラスベガスでCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)が開催される。世界最大の家電見本市だ。

日本や韓国のメーカーが事前発表会を開いている。今年目立っているのは、「4K」対応と呼ばれる高性能テレビで、フルハイビジョンの約4倍の解像度を持つテレビだ。

再び「テレビ戦争」が始まる。

ただ、パナソニックやシャープは既に激しい価格競争と通貨安政策を採る韓国などとの競争を強いられているため、今回のCESでは、美容家電の本格参入やIGZO(イグゾー)といった独自の新型液晶搭載商品の発売を発表することで、テレビ依存からの脱却を試みるようだ。

とはいえ、テレビを捨てるわけでは無いとシャープの高橋興三副社長は言う。

「競合は数多いが、テレビ事業を捨てるつもりはない」

それを示すように、シャープはアクオスの4Kテレビを初披露する。それだけではない。CESではなんと、8Kテレビも参考出展するという。しかし、それほどの高性能をユーザーは求めているのだろうか。

対する韓国もLG電子が4Kテレビの65型と55型を発表する。また、同社は「グーグルテレビ」という米グーグルのコンテンツ配信サービス対応機種も発売を開始するという。なかなかユーザー視点で、特色を出そうとしていることが分かる。

これに対し、シャープの関係者は言う。

「テレビだけでなく、他社にはまねできない分野で戦う」

それは、IGZOの32型業務用ディスプレーや超薄型ノートパソコン「ウルトラブック」向けのIGZOを出典することを示している様だ。

とにかく、単なる価格競争から抜け出すために、独自路線を打ち出す必要があることは、どのメーカーも痛い程感じている。

パナソニックも、テレビを出すことは出すが、「スマートテレビ」に注力する。こちらはインターネットを利用できるテレビだ。

また、パナソニックも美容家電の米国での本格参入を決めた。この手の商品は、直接体に使うため、多少高額でも品質の良さで勝負出来るかもしれない。

このパナソニックの脱テレビ志向は、既に米国での販売戦略として実行されている。美容家電、調理家電などに先進的なデザインを取り入れるだけで無く、販売戦略としても、ニューヨーク・マンハッタン近郊に美容・調理家電を販売するための店舗も開いている。

以上の様な日本勢の動きに対し、証券アナリストの一人は言う。

「テレビだけで、応戦すれば価格面、性能面で確実に韓国勢に負けてしまう。オリジナル分野を少しでも多く確立することが先決」

また、今回のCESで目立つのは、各社ともスマートフォンやインターネットとの連携を売りにした家電を出してくることだ。日本勢もこれらの連携機能を白物家電に搭載して勝負にでる。

ところでテレビについては、東芝もまだ頑張る様だ。やはり4K対応テレビを発表するが、昨年発表した55型に続けて、この春からは58型、65型、84型と大型化していくらしい。

しかも価格でも勝負にでるようで、1インチ当たり単価を1万円以下に抑え、他社の半額以下で勝負に出るというから凄まじい。深串方彦執行役専務は言う。

「4Kを家庭で楽しめる時代を切り開く」

うーん、少なくとも私には必要無いなぁ。そもそもテレビを余り見ないし。しかし世間は飛びつくかどうか、楽しみである。

さらに東芝も、テレビとインターネットの連携を売りにする予定で、クラウド技術を利用してテレビ番組の出演者情報や検索機能、さらには知人との番組情報やメッセージを共有できるサービスを2月から米国で開始する計画もあるという。

もはやおじさんにはついて行けない。テレビをみるのも選ぶのも、ややこしい時代になってきた。はたしてユーザーが欲しいのはどんな機能なのか、各社見失わない様にせねばならないだろう。

CESには、3000社以上が参加し、約15万人の来場者を見込んでいるという。

来場者が欲しいものは、どのような家電だろうか。



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2013年01月05日

日韓犯罪人引き渡し条約という国際条約より、中国の顔色を優先する韓国の前近代性

前回に引き続き、韓国関係の話題。

韓国は中国も含めてめんどくさい隣国だ。中韓共に、日本が手をさしのべる度に、こちらの顔に泥を塗る大変に失礼な国である。

韓国は、靖国神社の門に放火した中国国籍の劉強元受刑者38歳について、「日韓犯罪人引き渡し条約」に基づく日本への身柄引き渡しを拒否した。

劉強元受刑者はソウルの日本大使館に火炎瓶を投げたため、韓国で服役していたが、靖国神社への放火も供述したため、日本側は引き渡しを要請していた。

しかし韓国は、中国がかねてから韓国側に要請(指示)していた通りに、劉強元受刑者を中国に帰国させてしまった。

これを受けて、安倍晋三首相は、4日の年頭会見で不満を語った。

「条約を事実上無視し、極めて遺憾だ。抗議したい」

もっともなことである。

劉強元受刑者は日本の裁判所で裁かれねばならなかった。

韓国側は、日本に引き渡しをしなかった理由として、劉強元受刑者は「政治犯」だという屁理屈をこじつけた。子供じみた屁理屈だった。

政治犯とすれば、日韓犯罪人引き渡し条約の例外対象になるからだ。

その理由が下らない。

すなわち、放火の対象となった靖国神社は、「国家施設に相当する政治的象徴性がある」と一方的に都合良く決めつけ、劉強元受刑者は「過去の日本政府の認識と政策に怒りを感じ、政策を変化させようとした」と勝手に憶測し、「政治的大義のために行われた」と自由に決めつけた。

そして大げさに、さも崇高な理念によって裁いたかのごとく、「韓国の憲法や多数の文明国家が目指す普遍的価値と軌を一にする」と訳の分からない評価をしている。

これ、どんな放火魔も、器物破損者も、「政治犯」とこじつければ引き渡さないで済むというデタラメな拡大解釈である。

このようなことでは、韓国の裁判所の国際常識は却って疑われることになろう。

しかも、韓国が明らかに中国の指示に従ったと分かるのは、一度は韓国側は劉強元受刑者を「引き渡し条約の対象犯罪に該当する」と判断していたことだ。

そこに中国から韓国に圧力がかかると、あっさりと態度を変えた。いまだに韓国は中国の属国根性が抜けていない。

その結果、日本との条約を無視するという、国際的な信用を失墜する暴挙にでてしまった。恥も外聞もない国だ。

しかも、日本は、安倍晋三首相の特使として額賀福志郎元財務相を朴槿恵次期大統領と会談させ、

「良好な関係を築くため良い船出をしたい」

との意向を伝えたそばからだった。日本を馬鹿にしていること明らかではないか。

やはり、この国とは親密な信頼関係は結ぶことは出来ない。今一度経済制裁などの圧力を加えることも検討すべきであろう。

そして中国。この国も相変わらずである。

釈放された劉強元受刑者が4日に上海に到着すると、中国のネット上には、毎度おなじみの反日活動家は英雄であるとする書き込みが殺到した。いつぞやの尖閣諸島沖での漁船衝突事件の中国人船長が英雄氏されたときと同じ状況だ。

「英雄の凱旋を歓迎する」
「このような英雄は五輪の金メダリストより尊敬される」
「暗闘は中国の完勝だ」

しかし、一部の良識有る冷静な中国人(だと思う)が以下の書き込みをした。

「放火は刑事犯罪だ。法によって裁かれるべきだ」
「事件の経緯を見て、中国人として恥ずかしくないのか?」

すると案の定、下品な反応があった。

「投稿者は日本人だ」
「ゴミ」
「ブタ」

中国人らしいではないか。

ネットの住人だけではない。中国外務省の華春瑩報道官はこの日の定例記者会見で、ソウル高裁の採決を歓迎することを表明した。

属国韓国は、中国に誉められてしっぽを振っているに違いない。

そして中国では、おきまりの世論を煽り立てている。

「屈辱的な歴史を韓国も忘れられないことを証明した。われわれは一致して敵愾心を持ち、日本人に歴史上の過ちを認めさせ、軍国主義の台頭を抑えよう」

もはや手に負えない。こんな煽りを続ければ続けるほど、日本は堂々と軍事力を拡大する世論を作り上げることができる。恐らく尖閣諸島に中国軍が侵攻したときが、日本の軍拡の世論を盛り上げる最大のチャンスになるのだ、とは思っていないのだろうか。それとも、それでも日本は泣き寝入りをすると、舐められているのだろうか(実際、その可能性はあるが)。

日韓犯罪人引き渡し条約の様な条約は、相互の司法制度を信頼する相互主義が基本にある。しかし、今回の韓国の態度について、日本政府の外交筋は言う。

「どんな容疑者でも『政治的動機があった』といえば無罪放免になってしまう」

そこで政府としては、今後韓国側に対して、「政治犯」の定義と見解について明確な回答を求めるとしているが、そんな甘い態度では無く、条約を破棄すると突きつけてみてはどうか。それくらいの憤りを示した方が良いのではないか。

特使の額賀福志郎元財務相は朴槿恵次期大統領との会談でこの度の問題に触れなかったことについて、

「まだ彼女(朴氏)は次期大統領で、行政権を持っていない」

と逃げたが、ならば親書を渡すことや会談も「彼女はまだ行政権を持っていない」から行うべきでは無い、という理屈になりやしないか。

タイミング的に難しかったかもしれないが、やはり不快であるとして、親書を渡すことを直前で取り消してみせるといった態度も必要だったかもしれない。

いや、それどころか、まさに韓国はこのタイミングを狙ってソウル高裁の採決を発表したとも考えられるからだ。

すなわち、日本を舐めた。国際的な条約より、中国への配慮を優先させたということだからだ。日本が何も出来ないことを見越した上での判断ではないか。

やはりこのような国とは、条約締結そのものに困難がある。そう主張しても良いだろう。

だから韓国政府高官はぬけぬけと語った。

「今後の日韓関係において、ほかの分野へ広がらないことを希望する」

自分たちから不誠実な態度を見せておきながら、相手に対して「騒ぐな」と命じているようなものだ。なんと厚かましい国なのか。

例えば逆のことがおきたらどうだろう。

誰か(国籍は問わない)が、ソウル日本大使館前にある慰安婦像を破壊して日本に逃げ込んだ場合、韓国は当然日韓犯罪人引き渡し条約に基づいて犯人の引き渡しを要請するだろう。

そのとき、日本が犯人を「政治犯」だと裁決して引き渡しを拒否したらどうなるか。

恐らくこの身勝手な韓国は、怒り狂う事だろう。国民など発狂するかもしれない。

こんな国には「おまえのような前近代的な国とは条約締結は無理だったわ。」と突きつけても良いのではないか。

本当に韓国には苛立つ。



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2013年01月04日

韓国初の化学的去勢命令。性犯罪が止まらない韓国

これまで韓国の性犯罪の異常な多さについて、何度か取り上げてきた。

『韓国の性犯罪は過激で止まらない。もはや去勢しかないとの意見が出始めた』(2012/12/03)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/305019997.html

『(続)韓国の破廉恥さには目眩がする。性的犯罪国家は韓国である』(2012/10/16)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/297727339.html

『韓国の破廉恥さには目眩がする。性的犯罪国家は韓国である』(2012/09/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/294844966.html

そしていよいよ、性犯罪の多さに手を焼く韓国は、初の「化学的去勢」判決を下した。

ただ個人的には、化学的去勢は必要はあるがそれだけで性犯罪を減少させることは難しいと思い、以前にもそのことを書いてかなりの反響があった。

『化学的去勢は性犯罪を防げるか?私はやや懐疑的なのだが。』(2010/03/25)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/144582554.html

さて、この度、性犯罪大国である韓国で初の化学的去勢判決が下されたのは30代(31歳と明記した記事もある)の男性だった。男はバリスタ(コーヒーを淹れる専門職みたいなもの)だという事は何故か報道されている。

この男を各種報道では頭文字で表しているので、ここでもそれにならいHとする。

Hが性犯罪へ向かうきっかけは、スマートフォンに出会い系チャットのアプリケーションを入れたことで、これが2011年の事だったという。

Hは早速その年からチャットを活用し、その年の11月から7ヶ月の間に、5人の女性に会った。いずれも10代だという。そして6回の性交渉を持つことに成功した。

まぁ、これだけでも犯罪なのだが、Hはこのとき、女子学生達の裸を写真や映像に撮って脅した。

「言うことを聞かないとインターネットで広める」

そう脅迫しては、性的暴行を加えるに至った。

そして昨年の8月、ソウル南部地検はHを性暴行犯罪処罰法違反容疑で逮捕し、起訴した。その起訴内容に「性衝動薬物治療(化学的去勢)」命令の請求が含まれていた。

この請求は、韓国で検察が請求した最初の事例となった。


そして今年の1月3日、ソウル南部地裁はHに懲役15年を言い渡した。それと同時に、「性衝動薬物治療(化学的去勢)」3年も命令した。他にも20年間の位置追跡電子足輪付着や、個人情報の10年間公開、さらに性暴行治療プログラム200時間の履修を命じている。

これはソウル南部地裁がHに対して、性的倒錯者であり、再犯の危険があると認めた結果となった。「性暴力犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律」が実施されたのが2011年7月だったので、約2年6ヶ月ぶりの判決となる。

裁判所は言う。

「被告が同じ犯罪の累犯期間に多数の被害者を相手に犯行をした」

ことを指摘し、

「歪んだ性意識を持っているうえ、性欲過剰障害を自ら統制できない状態と判断される」

と判断し、さらに

「青少年の性を買って強姦し、その場面を撮影して脅迫までするなど罪質が極めてよくない」

ことを指摘した。

3年間の性衝動薬物治療では、3ヶ月毎に「ルクリン」などの性ホルモンを抑制する薬物治療を受けると言うことだ。これが化学的去勢である。こんな治療は薬が切れたらどうなるのか。反動でさらに性的衝動が激しくなることはないのだろうか。

従って本当の去勢でも良いと思うのだが、とりあえず身体的に除去するというのは、さすがの韓国もまだ野蛮だと判断しているのだろうか。

上記判決に対し、ソウル南部地裁のファン・スンテ公報判事はコメントした。

「断固たる処罰の意志が反映されたとみられる」

韓国で現在裁判所が審査中の化学的去勢命令請求事件は、最高検察庁によると6件有るという。いずれも最近のもので、昨年の9月から12月にかけて、大田地検・ソウル北部地検・光州地検・釜山地検と相次いで請求している。

ちょっとよく分からなかったのは、ソウル北部地検と光州地検が請求している事件だ。これらは両方とも性的虐待を受けたのが男性である。男性といっても抵抗力の有る大人ではなく、子供だったため、検察は小児性愛・性的倒錯患者と判断している。

このような同性に対する欲望にも化学的去勢が効果的なのかどうかは知らない。何か違う気もする。そういう意味でもこの2つの事件は注目されているらしい。

以上の様に、韓国では本格的に化学的去勢が実施されることになり、その効果があるかどうかの実験にもなるであろう。

また、薬物の効果が切れたときに、同時に行われる性暴行治療プログラムの効果も分かるかもしれない。

いずれにせよ、これだけで韓国の凄まじい多さの性犯罪が沈静化するとは思えないが、何もしないよりはましだともいえる。

もっと根本的に、なぜ、韓国が国際的にも異常に性犯罪が多いのか、その原因が追及されない限り、韓国の性犯罪は減少するとは思えない。

以前の記事でも書いたが、単に性欲が旺盛というだけでは、性犯罪に走らないからだ。単なる女好きが性犯罪に走るとは言えないのだ。

性犯罪を犯す者には、おそらく性的な衝動を抑えるために、通常の男性には備わっているはずの何かが欠落しているのではないか。

そんな風に思えるのだ。

以下、韓国の性犯罪に関する記事と、化学的去勢に関する記事です。

『韓国の性犯罪は過激で止まらない。もはや去勢しかないとの意見が出始めた』(2012/12/03)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/305019997.html

『(続)韓国の破廉恥さには目眩がする。性的犯罪国家は韓国である』(2012/10/16)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/297727339.html

『韓国の破廉恥さには目眩がする。性的犯罪国家は韓国である』(2012/09/30)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/294844966.html

『化学的去勢は性犯罪を防げるか?私はやや懐疑的なのだが。』(2010/03/25)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/144582554.html



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2013年01月03日

PMI(購買担当者景気指数)が示すユーロの危機と中国の持ち直し

PMIという数値がある。「Purchasing Manager's Index」の略で、日本語では「購買担当者景気指数」と呼ばれている。

PIMは景気の先行きを占う指標とされており、GDPを2ヶ月先行して示すとも言われている。

とはいえ、PMIはなんだか怪しげな(つまり科学的に見えない)調査方法によって計測される。

ずばりアンケート調査なのだ。概要を簡単に言ってしまうと、製造業の購買担当者に、生産意欲などをアンケート調査して数値化するのである。つまり現時点で、今後どの程度の生産計画を立てているのか、どの程度の資材を必要としているのかをアンケート調査して、それを数値化するのだ。

詳細な計算方法は私自身良く理解できていないので説明を省くが、結果としてPMIが50を超えれば景気拡大が予想され、50未満であれば、景気後退が予想されるとする(占う)。

ただ、怪しげではあるが、このPIMに対する信頼は高く、原材料メーカーが生産計画の参考値としたり、金融機関や投資家の運営計画にも影響を与えているという。

国際的なPMIは、米サプライマネジメント協会(ISM)が公表しているものが利用される。ここが最も早く毎月のPMIを公表するためだ。

他にも各国独自の調査結果が発表されている。日本であれば、日本資材管理協会が、英国ではマーケットエコノミック社が、中国でも国家統計局と物流購買連合会が発表している(もっとも、中国が発表するあらゆる統計数値は怪しいのだが)

さて、このPMIが注目されている理由を知るために、もう少しその内容を見てみる。

まず、アンケートの調査結果は11個の指数に算出される。その11項目は以下の通り。

 生産高
 製品価格
 受けた注文の総計
 受けた輸出用の注文
 仕事の受注残
 仕入れ数量
 仕入れ品の平均価格
 供給業者の納期
 購入資材の在庫レベル
 完成品の在庫レベル
 従業員数レベル

怪しげと思われたPMIだが、これだけの具体的な項目が調査されているのであれば、なるほど当てになりそうな気がする。回答者は、これらの項目について、「今月は先月に比べて」どうだったのかを回答する。回答は以下の3グループのいずれかが選ばれる。

「増加/良くなった/早まった/高い」
「同じ」
「減少/悪くなった/遅くなった/低い」
「わからない」

最後の「わからない」以外は、順番に「増加」「同じ」「減少」が判断できるわけだ。そしてそれぞれに、起業の規模や分野別の重みが付けられ、全企業の集計が出される。そして「増加」「同じ」「減少」の割合を百分率に変えて、さらに各結果に重み付けをする。順番に1、0.5、0だ。

そうしてPMIが算出される。具体的な計算式については「購買担当者景気指数」で検索すれば見つけられる(それでも見つけ出すまでにちょっと根気が要る)。

さて、このPMIだが、アンケートの設問が国際的に同じであるため、国際的な比較ができるとされている。

──と、長い前置きになったが、以下のニュースを読むために必要だったので、ここまで書いてみた。

今年に入ると早速各国のPMIが発表され始めた。

2日にはマークイット(本社はロンドン)がユーロ圏のPMIを発表した。その数値は46.1と出た。げっ、低い。

この数値は、前述したとおりPMIは50が分岐値なので、景気が悪化する事を示している。新年早々、ユーロ圏はヤバイ、と出たわけだ。ちなみにユーロ圏は2011年8月からずっと50未満を続けている。

一方米国のISM発表のPMIは、前月の49.5から50.7に上昇した。PMI上は米国が景気回復に向かっていることを示している。

さて、ユーロ圏のPMI低下だが、これについてはドイツの産業部門が大きく落ち込んだことが原因とみられているから大変だ。

実際にドイツだけのPMIを見ると、既に先月46.8にまで落ち込んでいたが、今回はさらに46.0にまで落ち込んでいる。ユーロの牽引役がいよいよその役目を担えなくなってきた可能性もある。

他の国は当然50未満で、ユーロ圏で50を超えたのは、唯一アイルランドだけだった。

ちなみに英国は調子良い。なんと51.4になっている。

さて、世界経済の牽引役として期待されている中国はどうか。昨今、景気の失速が注目されているところだ。

ただし、中国の場合は中国国家統計局が発表しているPMIなので、どこまで信じられるかは分からない。

その値は50.6と、かろうじて50を超えた。

ちょっと当てにならないので、HSBC(ロンドン本社。香港上海銀行から発展した世界最大級の金融グループ)も中国のPMIを発表しているので、その数値を見ると、51.5とより高い数値だった。

やはり高い。両者とも、中国の景気回復を示唆している。

但し、国家統計局は慎重なコメントを加えている。

「生産は引き続き50を上回っており、製造業は成長予想を維持しているようだ。ただ、生産の伸び率は低下した」

なぜかというと、新規輸出受注に限れば、50.0という高くない数値が出ているからだ。

つまり、中国経済の回復は、固定資産投資が原動力なのではないか、とアナリスト達は見ている。

それでもPMIは中国の製造業が拡大しつつあることを示している。この原因として、インフラ整備が急ピッチで進んでいることにあるとも見られている。そうであれば、しばらくは中国のPIMは50を上回った状態を維持できるだろうということになる。

GDP上では一時の年平均10%程度の成長を示していた中国が、2012年第3四半期では7.4%まで鈍化した。

しかし、PMIはGDPに先行する指標だ。中国はインフラ整備を牽引役として、今暫くは景気を持ち直す事になるかもしれない。

ユーロはどうなるのか。いまのところ、良いニュースは見つけられなかった。



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2013年01月01日

紅白歌合戦で美輪明宏が歌う「ヨイトマケの唄」に感動してしまった昭和な私

今年初めての投稿は、時事問題ではなく、今朝方ネット上で偶然発見してしまったNHK紅白歌合戦での美輪明宏氏の「ヨイトマケの唄」についてとなった。

偶然見つけた映像は、その後すぐにNHKによる著作権侵害の訴えにより、削除されてしまったので、この記事の最後には、代わりの動画二つを貼り付けた。

ともかく、その映像を見たとき、私は画面に釘付けになり、感動した。

私は例年、NHK紅白歌合戦を見ない。興味がないし、まぁ、HNKが好きでは無い、ということもある。

また、今年の紅白には余り好きでは無いプリンセスプリンセス(ファンにはすまんが)が出ていることもあり、なおさら興味が沸かなかった。

ちなみに、私は若い頃、ブレイク直前のプリンセスプリンセスと同じステージ(横浜 7th AVENUE)に立ったことがあるが、まぁ、当時のボーカルの傲慢で性格の悪さ丸出しの立ち居振る舞いには「なんだ、見たまんまだなぁ」と改めてがっかりしたものだった。他のメンバーは性格が良かったように記憶している。

その時の共演は、まだ横浜で集客力がないプリンセスプリンセスに代わって、集客力のある私のバンドが(要するに客寄せパンダとして)指名されたのだった。(と記憶している)

それにしても、あの若き日に、もっと真剣に、貪欲に脇目も振らずに夢を追っていたら、今とは全く違う人生を送っていたに違いない、などと埒の無いことを思ってしまった。そういう意味では、夢を追い続けてきちんと結果をだしたプリンセスプリンセスには、敬意を払わねばならないとも思える。

さて、話は戻って美輪明宏氏。私は彼が、純朴な人々を騙して金儲けしているスピリチュアルカウンセラーなる江原啓之氏を信奉していることは嫌悪しているが、それ以外に関しては、大した人なのだと思っている。

特にその歌唱力と演技力(つまりは表現力)の卓越した様は、この度の紅白初出場でも遺憾なく発揮されたことをネット上の動画で再確認させられた。

そのため、不覚にも、動画を見終わる頃には、やや涙目になってしまった。

特に「ヨイトマケの唄」の歌の主人公として歌う(というより演じる)美輪明宏に、自分の子供時代を重ねてしまったのだ。

美輪明宏が語る炭坑の父親とそれを助ける母親は、まさに今は亡き我が父(造船所下請け工場の溶接工)と母(いろいろなパートや内職)ではないか。

私は当時「鍵っ子」と呼ばれた子供達の一人だった。だから子供時代に自宅で暖かいお昼ご飯を食べた事は無いし、学校から帰宅しても「お帰り」と言われたことも無い。

だから、結婚して(正確には同棲して)会社から帰宅したときに、家内から「お帰り!」と言われたときには、不思議な気分になったことを覚えている。

紅白での美輪明宏氏は、あくまで歌を主役に引き立てるためにと、自らは黒ずくめの衣装に身をまとい、黒子に徹していた。

また、頭髪もトレードマークである黄髪(金髪?)ではなく、黒のショートヘアで登場した。美輪明宏氏は前日に関係者に語っていたそうだ。

「衣装は歌のジャマをしないものに。『愛の讃歌』ならゴージャズでいいけど、ヨイトマケはワークソングですから」

その狙いは見事な演出として結実したと言えるのではないか。

そしてスポットライト一つだけという演出で、美輪明宏氏は、見事に「ヨイトマケの唄」を歌った、というより演じた。

その表現力は、ここで言葉にするのは困難だ。記事最後の動画を参照されたい。

それにしても、良く「土方(どかた)」という言葉の入った歌をNHKが生出演オファーしたものだと感心したが、このことの事情は後ほど触れたい。

私の父は鉄板を扱う溶接工だったので、正確には土方ではないが、当時の造船下請け工場の作業場は露天だったので、口癖のように言っていたのを思い出す。

「土方殺すに刃物は要らぬ。雨の三日も降れば良い。」

何かの都々逸だろうか。その後、日本の造船業は壊滅し、父の会社も倒産した。さすがに父は荒れた。当然だろう。まだ私は中学生だったが、この後息子を高校や大学に出してやりたいと思っていたにもかかわらず、収入が途絶えたのだから。しかも父と私は45歳も歳が離れていたので、既に高齢だった父にとって、次の仕事を探すのは、いくら経済成長期の日本でも困難だったに違いない。

それでも父は、既に衰えたとは言え戦争で鍛えた(父は大正生まれ)体にむち打って、知り合いの工場で非正規労働者として働き続けた。不安な日々だったに違いない。ふがいない日々だったに違いない。

自分も家庭を持ち働くようになり、そしてデフレに入った後、2回も勤め先が倒産する経験を持って、痛い程わかる様になった。

それでも父は働き続け、私は三流とはいえ大学を出ることができた。そのとき、父が私以上に喜んでいたことを思い出す。

おっと、また、自分のことになってしまった。話を戻す。

「ヨイトマケの唄」は1965年に発売された。炭鉱労働者を題材にしたこの曲は、作者である美輪明宏氏も関係者も予想しなかった大ヒットになる。

しかし、前述の様に差別用語が含まれているということで、放送禁止になった。ばかばかしい限りである。差別用語を使用禁止にしても、差別は無くならない。ばかげた言霊信仰だ。

80年代になると放送禁止楽曲から解除されたが、6分間という尺の長さによりテレビ局からは敬遠されたという。

実際、この度の紅白歌合戦出演により、2010年の「トイレの神様」(7分50秒)に次ぐ長さとなった。

それにしても77歳になるとは思えない力強い歌唱だった。このときばかりは騒然としていた楽屋ロビーまで静まりかえったという。

ステージを終えた美輪明宏氏は、楽屋口にある神棚に手を合わせた。

「無事に終わることができて、ありがとうございました」

信心深い彼らしい。ちなみに彼は法華経の信奉者でもある。そして語った。

「観客の1人1人の人生に自分の歌が染み込んでいくのが分かった。最近は命を捨ててまで我が子の命を守る無償の愛が希薄になっている。その無償の愛を伝えたくて歌いました」

そう語る美輪明宏氏の目には涙が浮かんでいたという。そうだな、そうだな、と誰もが思ったことだろう。

それにしても今回のNHKは頑張ったようだ。これまでにも何度か美輪明宏氏には「ヨイトマケの唄」を歌って欲しいと打診してきた様だが、美輪明宏氏は歌手一人の持ち時間に制約があったため、「ヨイトマケの唄」が歌いきれないと断り続けてきた。

ただ、今回の紅白歌合戦には、同じくNHKの番組である「SONGS」のスタッフが含まれており、この者に美輪明宏氏は語っていた。

「アナタが紅白をやるようになったら出てあげるわ」

さらに美輪明宏氏には、NHK側から言われていたことがあり、気になっていた。

「もともと離島の方たちなどから紅白を楽しみにしているという話が来ていて、出なきゃいけないのかなとは思っていたんです。それできまりました」

この後も「ヨイトマケの唄」が作られた際のエピソードで触れるが、美輪明宏氏は「使命感」を持って歌っているのだと感じる。

そしてSMAPの木村拓哉氏が楽曲を紹介した。

「今夜、美輪明宏さんが『ヨイトマケの唄』を歌います。戦前、戦中、戦後の激動の時代を貧しく、つらく、苦しくとも生きる、親子の絆を描いています。親が子を想い、子が親を想う無償の愛の歌をお送りします」

美輪明宏氏でなければ歌えないのではないか、という深いテーマだ。

そして飾りの無いステージで、まだスポットライトが照らす前の闇の中から美輪明宏氏の力強い歌声が響き始めた。

「父ちゃんのためならエンヤーコーラー」

場内も、楽屋も静まりかえった。そして、私も動画を見て、鳥肌が立った。

「ヨイトマケの唄」は、美輪明宏氏が自ら作詞作曲している。ただし、当時は丸山明宏という芸名だった。

この奇妙なタイトルの「ヨイトマケ」は、美輪明宏氏によると、まだ建設機械が発達していなかった時代に、日雇い労働者達が数人がかりで滑車を使って持ち上げねばならないほどの重量の槌を持ち上げるときのかけ声である「ヨイっと巻け」というかけ声にちなんだものなのだという。

それにしても歌謡曲といえば恋、シャンソンと言えば愛というような時代に、どうして炭鉱労働者を描いた歌を作ったのか。

まだ華やかな衣装に身を包んでシャンソンを歌っていた美輪明宏氏(当時は丸山明宏)に、あるとき炭坑町でのコンサートの仕事が入った。

当時の美輪明宏氏は、乗り気では無かったというが、いざ現場に行くと、炭鉱労働者達が少ない賃金のなかからチケットを買い、客席が埋まっている情景を目にして衝撃を受けてしまった。

「これだけ私の歌が聴きたいと集まってくれているのに、私にはこの人たちに歌える歌がない」

若き美輪明宏氏の感受性の豊かさを物語るエピソードである。そして、彼は、労働者の為の楽曲を作ろうと決心し、生まれたのが「ヨイトマケの唄」だった。

この楽曲がテレビで放映されると、放送した放送局(NETテレビ。現在のテレビ朝日)になんと10万通以上の投書があり、アンコール放送を余儀なくされた。それほど多くの人々の心を打ったのだ。

レコードはシングルとして40万枚を売り上げた。

しかしまもなく前述した通り、歌詞に使われている「土方(どかた)」が放送禁止歌謡曲として指定され、民放では放送されなくなった。但し、この放送禁止歌謡曲というのは、日本民間放送連盟で指定したものだったため、恐らくNHKは関わっていなかったと考えられ、その延長線上に、この度の紅白歌合戦でのフルコーラス出演が可能になったとも思える。

実際、紅白歌合戦では堂々と「土方(どかた)」と読みも含めて字幕が表示された。ここはNHKを誉めてあげたい。

以下、「ヨイトマケの唄」を歌う美輪明宏氏の動画を2本貼り付けた。前述したように、紅白歌合戦の映像もネット上にアップされていたのだが、すぐに削除されてしまったので、代わりの動画だ。

最初の動画はこの度の紅白歌合戦とほぼ同じ衣装や演出になっているが、残念ながら音声と画像がややずれていて見づらい。

2つめの動画は、衣装などは異なるが、歌詞が字幕で表示されているので、分かり易い。従って、どちらかというと後の動画をお勧めしたい。


【NHK紅白での演出に近い映像】




【歌詞が分かり易い映像】





posted by しげぞう | Comment(4) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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