2012年05月16日

独仏の小芝居。メルケル首相とオランド大統領の歩み寄りという奇妙さ

「人間だもの──みつを」

相田みつを氏の有名な言葉だが、私はドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領のほほえましいツーショットの写真をみて、

「政治家だもの──しげぞう」

と呟いてみた。

この二人、本当は唾を飛ばしながら口論すべき主義を持ち合った者同士なはずだ。しかし、そこは政治家。握手と微笑みからスタートして見せた。

15日、オランド大統領は就任するとすぐに、初の外遊としてドイツを訪問した。これがなかなかに前途の多難さを予想させる状況となった。

まず、オランド大統領は雨男らしい。パリでの就任パレードは、雨のシャンゼリゼとなった。いや、そんな情緒のあるものではない。豪雨だった。

そしてそのスーツも乾かぬうちに、数時間後にはベルリンへ向かった。

ここでまた、不吉な現象に遭う。なんとフランス大統領専用機ファルコンの機体が、よりによって雷に打たれた。「神が鳴る」から雷だ。

雷に打たれるなど、なんという小さな確率をものにする男だろうか。ファルコンは念のために一旦パリに引き返している。

そして初の外遊で、ドイツに遅刻して到着したオランドには、雨雲も付いてきた。

オランド大統領が訪れる2時間前までは、ベルリンは晴れていた。ところがオランド大統領がベルリンの土を踏むと、雨になった。

前途多難の予感が漂った。

しかし政治家はそのようなことで動じてはならない。笑顔で迎えたメルケル首相とやや緊張気味のオランド大統領は、軍楽隊の演奏をBGMに、レッドカーペットを歩き始めた。独仏の共同歩調を象徴する──はずだった。

ところが緊張が過ぎたのか、オランド大統領はあらぬ方向に進もうとしてメルケル首相とぶつかってしまった。

あはははは。いや、失礼。

しかしメルケル首相は、そっと手でオランド大統領の方向を強制して見せた。

もしこれが予兆なら、フランスの反緊縮政策は、ドイツの緊縮政策に強制されるのか?

さて、私を含め、多くの人々が独仏の政策方針の違いがぶつかり合うと懸念(期待)した。メルケル首相はとにかく緊縮が第一だ。一方、オランド大統領は、緊縮は経済成長を妨げるからだめだ、という主張で大統領の座を射止めた。

しかし、メルケル首相とオランド大統領は、気持ち悪いほどに歩み寄ってみせた。オランド大統領を支持したフランス人は、早速期待が裏切られると感じただろうか。それとも「政治家だもの──しげぞう」と、対して気にしなかっただろうか。

本来、二人の主張は水と油なはずだ。

そしてどちらかというと歩み寄りの姿勢を見せたのは、メルケル首相だった。

オランド大統領は、早速主張した。

「条約に、成長路線の項目も加えたい」

これに対し、メルケル首相は、

「成長についてもぜひ話し合いたい。23日のEU首脳会議で協議し、6月末までに合意を目指したい」

と、驚いたことにタイムテーブルまで引いてみせた。なんという歩み寄りか。

これは気持ち悪い──と思っていたら、やはり事情があった。

というのも、メルケル首相の国内外での風当たりが強くなっていたのだ。それを和らげるためには、オランド大統領を利用する方が良い。

国外では、ギリシャの反緊縮機運の盛り上がりがある。再選挙の結果によっては、EUやIMFからの支援の条件となる緊縮財政政策など守れない、という結論を出しそうな勢いだ。

そして国内では、13日に投開票されたドイツ西部のノルトラインヴェストファーレン州議会選での、キリスト教民主同盟の大敗があった。

ノルトラインヴェストファーレン州は、ドイツで第一位の人口を持つ州だ。この州は欧州危機の縮図と形容される状況にあり、メルケル首相のキリスト教民主同盟は緊縮を主張して、同州では過去最低得票率という「政治的な大惨事」とまで言われる敗北をしてしまった。

これはまずい。メルケル首相は頭を抱えた。そんなときに反緊縮のオランド大統領がやってきた。これは歩み寄りを見せねばならない──と、この政治家は考えた。

そして就任後初の外遊を友好ムードで演出したいオランド大統領も歩み寄り、緊縮に対する理解を示した。滅茶苦茶ではあるが、これが政治家だ。

オランド大統領は、自分は反緊縮を唱えて大統領の座を獲得したにもかかわらず、

「ギリシャは(緊縮策を進めるとの)国際的な約束を順守すべきだ」

などと発言してメルケル首相の顔を立てた。全く政治家ってやつは──。

ただ、それだけではオランド大統領の二枚舌で終わってしまうので、一応成長路線を印象づける発言もしている。メルケル首相との共同声明として、

「ギリシャ国民が望むなら、成長のための追加的な可能性について検討する用意がある」

と表明した。しかし、緊縮と成長は対極の政策だ。どうするのか。

ただ、オランド大統領の主張は、個人的には支持できる。オランド大統領はメルケル首相との会談後の記者会見で語った。

「経済成長が空疎な言葉ではなく、現実となることを望むと話した。成長なしではゴールにたどり着けず、債務や赤字を削減することもできない」

全くその通りだ。日本では野田政権が全く逆の政策を目指している。本当に頭が弱い人達の集まりなのではないかと思ってしまう。どこの歴史に、緊縮財政でデフレ脱却や経済成長を遂げた国があるのか。

一つでもいいから例を挙げてみろ、野田。

おっと、話が逸れて終わってしまった。



posted by しげぞう at 23:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする